【PGAツアー基礎知識】PGAツアーのメディカルエクステンション(公傷制度)について

PGAツアーにはメディカルエクステンション(Medical extensions)というプレイヤー本人の負傷・故障、また家族の問題(Family Crisis)などによりツアーを離脱した選手を救済する制度が存在します。

複数年の長期シード権を有しない場合に故障などにより長期離脱し、シード権ラインに到達できなかった場合でも、この制度が利用できればPGAツアーに出場できることになります。

今回はこのメディカルエクステンション(Medical extensions)についてまとめていきます。

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PGAツアーには2つのメディカルエクステンションが存在

メディカルエクステンション(Medical extensions)について、様々な方法を使って調べたのですが、総括的に説明したものは少ないため、多くのサイトや実際のケースを寄せ集めたものとなります。

もし内容に誤りや補足があれば、コメント欄もしくは問い合わせフォームより、ご連絡ください。

メディカルエクステンションには大きく2つのものがあります。それは以下のとおりとなっています。

  1. メジャーメディカルエクステンション(Major Medical Extensions)
  2. マイナーメディカルエクステンション(Minor Medical Extensions)

詳しくこの制度について見ていきます。

1. メジャーメディカルエクステンション(Major Medical Extensions)

メジャーメディカルエクステンションは前シーズンに4ヶ月以上故障などにより離脱し、コミッショナーに承認された場合に適用を受けることができます。

このメジャーメディカルの適用を受けた選手は、長期離脱によりフェデックスカップ(FedExCup)ポイントランク、賞金ランクで125位以内に入ることができなかった場合に、プライオリティランキングの22番目の優先順位で、翌シーズン以降に認定された試合数だけトーナメントに出場するステータスが与えられます。

プライオリティランキングとはPGAツアーの出場資格の優先順位を定めたもので、フェデックスカップ(FedExCup)ランク125位以内の場合は19番目、賞金ランク125位以内の場合は20番目となっています。

そしてPGAツアーと下部ツアーとの入れ替え戦(ウェブドットコムツアーファイナルズ)を経由した出場資格は26番目となっています。

プライオリティランキングの詳しい説明はこちら(トーナメントの出場優先順位を決定するプライオリティ・ランキングシステムについて)にまとめています。

メジャーメディカルの適用を受けた選手は、通常通りシードを獲得した選手より優先順位は低いものの、入れ替え戦経由の選手よりも高い優先順位で試合にエントリーすることができることになります。

ただ、無制限に22番目の優先順位でトーナメントにエントリーできるのではなく、その出場できるトーナメント数はルールに従って決定されます。

そのルールとは以下のとおりとなっています。

“メジャーメディカルの適用を受けた選手の離脱前の直近3シーズンの平均試合数”、もしくは“前シーズンのランキング125位以内の選手の出場試合数の平均試合数”のどちらか大きい数から、その選手の“離脱したシーズンの出場試合数を引いた数”が認められる。

このようにメジャーメディカルを認められた選手はシード権を条件付きで延長(extension)してもらえるわけですが、限られた試合数である条件を満たさなければ、そのステータスを失うことになります。

その条件とは、故障離脱したシーズンで獲得していたポイントもしくは賞金と認められたトーナメントの出場試合で獲得したフェデックスカップ(FedExCup)ポイントもしくは賞金との合算で、離脱したシーズンのフェデックスカップ(FedExCup)ポイントランキングもしくは賞金ランキング125位のラインに到達する必要があります。

わかりやすくするため、2014-15シーズンに出場15試合で300ポイントと50万ドルをそれぞれ獲得した後に、故障により長期離脱した結果、ポイント・賞金のシード権を失い、メジャーメディカルの救済を2015-16シーズンに受けた選手をA選手として説明していきます。

2014-15シーズンのフェデックスカップ(FedExCup)ランク125位以内の選手の出場試合数の平均は23試合(正確には22.96)となっています。

メジャーメディカルが認定されたA選手が2014-15シーズンに15試合に出場してから離脱していますので、仮に直近の3シーズン平均で26試合に出場していれば、125位以内の平均23試合ではなく、26試合から15試合を引いた11試合は優先順位22番目の資格で2015-16シーズンに出場できることになります。

次に満たすべき条件ですが、2014-15シーズンではフェデックスカップ(FedExCup)ランクでは458ポイント、賞金ランクでは74万7899ドルが125位ラインとなりました。

A選手は15試合に出場して300ポイントと50万ドルを獲得していましたので、出場ステータスが与えられた11試合で158ポイント(458 points – 300points)もしくは24万7899ドル($747,899 – $500,000)を稼ぐ必要があることになります。

このようなルールで認定された出場トーナメント数で、フェデックスカップポイントもしくは賞金で条件を満たすことができれば、残りのシーズンを22番目の優先順位でエントリーできるようになります。

その条件を満たせない場合には、22番目の出場資格は喪失してしまいます。

ただ、離脱したシーズンのフェデックスカップ(FedExCup)ランクの125位には到達できなくても、150位相当のポイントに到達していた場合は、プライオリティランキング30番目の「前シーズンのフェデックスカップランキングで126位から150位」という出場資格で残りのシーズンをエントリーすることができるようです。

125位のポイントもしくは賞金、さらに150位のポイントを満たせず、さらに、プライオリティランキングでより下位の出場資格(フェデックスカップ(FedExCup)ランクの126位から150位、PGAツアー優勝経験者など)を持たない場合には、完全にPGAツアーの出場資格を失うことになります。

2. マイナーメディカルエクステンション(Minor Medical Extensions)

前シーズンに4ヶ月よりも少ない期間、故障などにより離脱した場合に、この制度の適用をうけることができます。

ただ、このマイナーメディカルによって与えられる出場資格の優先順位は29番目(マイナーメディカルエクステンションが適用された選手)と低いもので、エントリーしても必ずしも出場できるわけではありません。

このマイナーメディカルでもメジャーメディカルと同様に、エクステンションで認められた出場数での獲得ポイントと離脱前に獲得したポイントの合算で、離脱したシーズンのフェデックスカップ(FedExCup)ランクの125位相当のポイントに到達すれば、残りのシーズンを29番目のステータス(マイナーメディカル)でエントリーすることができます。

また、賞金ランクでもメジャーメディカルと同様に125位相当を獲得することで、残りのシーズンを29番目のステータス(マイナーメディカル)でエントリーすることができます。

賞金とポイントの両方で条件を満たすことができず、さらにプライオリティランキングで30番目以降の出場資格を持たない場合には、完全にPGAツアーの出場資格を失うことになります。

メディカルエクステンションはあくまでも救済措置

2014-15シーズンにフレディ・ヤコブセンが、子供の心臓手術という重大な問題を抱えて、5月のクラウンプラザインビテーショナル後にツアーを離脱し、シーズン終了まで復帰できませんでした。

ヤコブセンは長期シード権を持っていなかったのですが、フェデックスカップは268ポイントで167位、賞金は41万6,259ドルで167位と、いずれも125位以内に入ることができずシード権を失ってしまいました。

ですが、メジャーメディカルエクステンションが認定されたため、新シーズンで11試合に出場できることになったのですが、その間にフェデックスカップポイントを190ポイント、もしくは賞金32万6211ドルを獲得する必要に迫られました。

ヤコブセンは2015-16シーズン開幕戦からツアーに復帰して32位T(35ポイント)、71位(1ポイント)、予選落ち、17位(51ポイント)、そして5戦目のRSMクラシックで5位(110ポイント)で条件を満たし、残りのシーズンをプライオリティランキング22番目でエントリーできる権利を確保しました。

メディカルエクステンションはコミッショナーの承認を受ける必要があり、その基準については明確に示されてはないようです。

ただ、認定されても、エクステンション(延長)という言葉どおり猶予が与えられるだけで、出場資格を確保するためのハードルが下がるわけではありません。

というのも健康であれば、長期の連戦をすることで例年よりも出場試合を多くし、ポイントや賞金を稼ぐチャンスを増やすことができますが、メディカルエクステンションでは認定された試合数で、シード権ライン相当のポイントや賞金を突破することが必要となるためです。

あくまでもPGAツアーメンバーのステータスが制限付きで延長されるに過ぎないもので、故障などがなければシード権を維持できる実力がある選手を救済する、チャンスを与える制度がメディカルエクステンションと考えられます。

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2 Responses to “【PGAツアー基礎知識】PGAツアーのメディカルエクステンション(公傷制度)について”

  1. ケイ より:

    golfさん、こんばんは。ご無沙汰しております。さて、シェルヒューストンオープンが終ってもないのに些か不謹慎かも知れませんが、いよいよマスターズウイークが始まりますので松山プロのプレーが待ち遠しくて仕方ありません(^_^)
    そんな中、公傷制度の基礎知識を有難うございます。実は、ずっと気になっていた事だったので、この記事は本当に有難いです。でも、かなり複雑でgolfさんの詳細な解説があってようやく私の場合、少しのみ込めるかなと言う程度です。おかげさまで、かなりスッキリしました。これで、心置きなくマスターズの応援に臨めそうです。また、よろしくお願いします。

  2. golf より:

    ケイさん、コメントありがとうございます。
    お役に立てたようであれば何よりです。
    メディカルエクステンションに関する下調べは、3月頭の時点で終わっていたのですが、時間が見つからず、4月にようやくアップすることができました。この制度に対する説明をしている英文記事も少ないため、完全にカバーはできていないのですが、現時点での説明ということで、情報が新たにわかれば修正していきたいと思います。

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