スタッツ解析・分析シリーズ(2) データ・指標分析を重視し選手を指導している世界のプロコーチたち

前回はゴルフにおいてスタッツでデータによる解析が有用であるということを書いたのですが、その時には、伝統的な旧来からのスタッツの問題点について次回に書く予定でした。

ですが、その前に、前回紹介したショーン・フォーリーの他に、データ解析を選手の指導に取り入れている世界のトップクラスのコーチについて紹介しておきたいと思います。

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データ・指標解析を特に重視するトッププロコーチ

ゴルフのデータ解析の第一人者でストロークスゲインド(Strokes Gained)のスタッツを解析したコロンビア大学のマーク・ブローディ教授は、選手よりもコーチから問い合わせを受けて話すことが多いと自身の著書であるゴルフデータ革命(EVERY SHOT COUNTS)で明かしています。

わたしに寄せれられる要求や質問の多くは、コーチからのものだ。コーチが選手のプレーに問題があると気づいても、選手自身はそう思っていないこともある。稼いだ打数はコーチの考えを客観的に数値で裏づけることができ、実際に裏づけとなってきた。

引用元:ゴルフデータ革命 P.19

旧来からのスタッツでは選手のプレーの長所や課題を正確に把握することが困難だったのですが、ストロークスゲインド(Strokes Gained)のスタッツではより正確に把握できるため、コーチからも重宝されているというこです。

そのコーチたちの中でも以下の4人は非常にデータ解析を重視して指導を行っているマーク・ブローディ教授は述べています。

  • ショーン・フォーリー(Sean Foley):ジャスティン・ローズ、ハンター・メイハン、リー・ウエストウッド、ショーン・オヘア、エドアルド・モリナリらのコーチ。タイガー・ウッズのコーチも一時務める。
  • コリン・スワットン(Colin Swatton):ジェイソン・デイ、グレッグ・チャーマーズらのコーチ
  • ジャスティン・ポインター(Justin Poynter):J.J.ヘンリー、ハンター・ハース
  • パット・ゴス(Pat Goss):ルーク・ドナルド

前回の記事でショーン・フォーリーがジャスティン・ローズの指導をしている際に、データが非常に役に立ったと話していることを紹介しましたので、ここでは割愛しますが、興味がある方は前回のものをご覧下さい。(参考:ゴルフにおいてスタッツによる分析・解析が重要な理由とは?)

コリン・スワットンはジェイソン・デイのコーチであると同時にキャディでもあります。12歳で父親を失ったジェイソン・デイのメンタル面を支えたり、彼のスイングを作り上げる上で大きな役割を果たしたコーチです。

コリンは四半期ごとに指標レポートを作成して指導している選手たちの上達ぶりを確認して、それから目標を設定し指導しているそうです。

ジャスティン・ポインターは、全米トップクラスのコーチとして5本の指に入ると評されることもあるジム・マクリーンの主催するゴルフスクールのインストラクションディレクターを務める人物でジュニアの育成でも定評があります。

アメリカのゴルフチャンネルでモーニングドライブやゴルフセントラルなどの番組にも出演しています。

コリン・スワットンとジャスティン・ポインターの両者は、ジュニアゴルファーを指導する時には点数制の技量テストを採用して得意・不得意を見極め、練習計画を立てているそうです。

パット・ゴスはノースウエスタン大学ゴルフ部のヘッドコーチを務める人物でルーク・ドナルドを大学にリクルートし、世界ランク1位になった際もコーチを務めていました。

ルーク・ドナルドは、一時スイングコーチをパット・ゴスからチャック・クックに変えたものの、その後に成績が低下してしまい、現在は再びパット・ゴスに師事しています。

パット・ゴスはゴルフ分析の威力を高く評価していて、マーク・ブローディ教授と協力して2011年からルーク・ドナルドのプレーを分析しているそうですが、以下のように話しているそうです。

「これまでルークのプレーを統計的に評価して、こうした統計を生かして実力を測定できる効果的な練習方法を編み出すことに苦心してきた。わたしはいつもそういう風に考えてしまう」

引用元:ゴルフデータ革命 p.17

これらのコーチたちは、良いスコアを出して優勝できる確率を高める最善の方法としてデータ、指標の解析を、かなり重視している部類に入るようです。

「太り気味だと思っているミス・キャンパス」のような間違った思い込みを避ける

では、このようにトップコーチたちが、なぜデータを重要視しているのか?ということになるのですが、その理由を簡単にまとめると、(1)先入観や思い込みにとらわれることなく正確に状態や問題を把握するため、(2)その問題や課題に取り組むことの重要性を客観的な根拠をもって説明できる、ということになります。

2012年のジャスティン・ローズはストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(ショットで稼いだ打数)がPGAツアー全体で4位でした。

2013年1月にショーン・フォーリーがローズに「ショートゲームの調子はどうだ?」と聞いたところ「練習が必要だ」との答えが返ってきたそうです。

しかし、マーク・ブローディからデータを渡されていたショーン・フォーリーは「君は2012年のショートゲームが1位だよ。まるで太り気味だと思っているミス・キャンパスみたいだね。」と話してデータを見せ、その必要が無いことを理解させています。

ミス・キャンパスに選ばれるほどスタイルが整っていて評価されているのに、さらに痩せようとしているような状態になっているよ、とジャスティン・ローズを諭しています。

すでに十分なのにやり過ぎていたり、逆に必要なことに取り組めていなければ、同じ時間を練習したとしても大きな差が生じることになります。

そのため信頼できる客観的なデータによる分析を適切に使うことは、成績向上につながると考えられます。

その信頼できるデータとして「フィールドの平均的な選手より何打稼いだのか?」を示すストロークスゲインド(Strokes Gained)が登場することになるのですが、その前に旧来のスタッツの問題点を次回にまとめておきたいと思います。

この記事に関連するシリーズの記事は以下のとおりです。

  1. バウンスバックと優勝に因果関係はあるのか?2014-15シーズンのPGAツアーの優勝者のデータで検証
  2. パッティングと優勝の関連性は?2014-15シーズンのPGAツアーの優勝者のデータで検証
  3. スタッツ解析・分析(1) ゴルフにおいてスタッツによる分析・解析が重要な理由とは?
  4. スタッツ解析・分析(2) データ・指標分析を重視し選手を指導している世界のプロコーチたち
  5. スタッツ解析・分析(3) 伝統的な旧来からのゴルフのスタッツが抱える問題点とは?
  6. スタッツ解析・分析(4) PGAツアーの距離別のパット数の平均値とストロークスゲインド(Strokes Gained)

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