スタッツ解析・分析シリーズ(4) PGAツアーの距離別のパット数の平均値とストロークスゲインド(Strokes Gained)

PGAツアーではショットトラッカーという素晴らしいシステムがあるため、応援している選手がショットをどこに飛ばしたか、ショットでどれくらいカップに近いところにつけたか、そしてどれくらいの距離のパットを入れたのか、外したのかを知ることができます。

この場合に往々にしてあることが応援している選手ばかりに注目し、期待値が高くなりすぎてしまうことです。

特にゴルフにおけるスコアが決定するグリーン上でのパッティングで、カップインを過剰に期待しすぎてしまい、外したときに落胆してしまうことがあるのではないでしょうか。

それを回避するときに役立つのが距離別の平均パット数、1パットの確率、3パットの確率です。

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PGAツアーにおけるパッティングの距離別の平均値

PGAツアーでは全てのトーナメントではありませんが、ショットリンクというボールをトラッキングをするシステムを使用しているため、カップまでの距離別の詳細なデータまで集計されています。

当然のことながらグリーン上でのカップまでの距離別の平均パット数、1パットの確率、3パットの確率が集計されています。

そしてこららの数字がパットのスコアへの貢献度を示すストロークスゲインド・パッティングの基準ともなっています。

これを知っておけば、外してもスコアメイクにおいて痛手ではないパットを外したのか、それとも痛いミスパットだったのかを、より正確に把握することができます。

以下は2003年から2012年のPGAツアーにおける400万回のパットを分析したもので、ゴルフデータ革命(マーク・ブローディ著/プレジデント社)からの引用です。

距離
(フィート・メートル)
1パット
確率
3パット
確率
平均
パット数
2 ft(60 cm) 99% 0.0% 1.01
3 ft(90 cm) 96% 0.1% 1.04
4 ft(1.2 m) 88% 0.3% 1.13
5 ft(1.5 m) 77% 0.4% 1.23
6 ft(1.8 m) 66% 0.4% 1.34
7 ft(2.1 m) 58% 0.5% 1.42
8 ft(2.4 m) 50% 0.6% 1.50
9 ft(2.7 m) 45% 0.7% 1.56
10 ft(3.0 m) 40% 0.7% 1.61
15 ft(4.5 m) 23% 1.3% 1.78
20 ft(6.0 m) 15% 2.2% 1.87
30 ft(9.0 m) 7% 5.0% 1.98
40 ft(12.0 m) 4% 10.0% 2.06
50 ft(15.0 m) 3% 17.0% 2.14
60 ft(18.0 m) 2% 23.0% 2.21
90 ft(27.0 m) 1% 41.0% 2.40

8フィート(2.4メートル)のパットが入る確率はPGAツアー平均で50%で、平均パット数は1.50、3パット率は0.4%となっています。

仮にこのくらいの距離のパッティングがあっても2回に1回は平均で外していることになりますので、意外と外しても不思議ではない距離ということになります。

例を挙げると1日のラウンドにおいて2.4メートルのバーディチャンスが6回あって3回しか決めれなくても、実はそんなに悪い確率ではなく、平均的なレベルのパッティングだったということになります。

5フィート(1.5メートル)の1パットの確率は77%で、4回のうち3回はPGAツアープレイヤーは決めていることになりますので、1ラウンドに4回この距離のパットがあり2回外した場合には、やはり問題があったと言えますし、3つとも決めていれば良かったと考えられます。

逆に15フィート(4.5メートル)は1パットの確率が23%となり、4回のうち1回しか入っていないことになりますので、仮に1ラウンドに3回くらい外していても許容範囲になると言えます。

このようにPGAツアー選手の平均値よりも良い確率でパットを決めることができていれば、パッティングで平均的な選手よりも優位に立っていて、逆であればパッティングが足を引っ張っていると考えられます。

また1ラウンドごとのパッティングの調子の良さと悪さを見る上でも、こういった距離を参考にしてある程度を把握することができます。

ただ、忘れてはならないのはデータは母数が少ないと参考にはならないことで、パッティングの出来不出来やコースのグリーンとの相性については、トーナメントの4日間トータルで判断するほうがベターではあります。

距離別の確率を基準とすることがストロークスゲインド(Strokes Gained)の基礎に

こういった距離別の平均値との差で、選手の力量を測ろうとするアプローチにも欠点はあります。

上りのラインなのか、下りのラインなのか、グリーンの傾斜は急なのか、平らなのか、などは考慮されず、距離で一括りにされてしまうという問題です。

しかし、こういった欠点はあるものの、総パット数、パーオン時の平均パット数といった旧来の指標よりも、遥かに選手のパッティングの力量を知る上で、有効なアプローチだと言えます。

このようなツアー選手の平均値からどれだけ上回っているか、どれだけ下回っているか、によって選手の力量を把握しようとするアプローチが、ストロークスゲインド(稼いだ打数)の基礎となっています。

ストロークスゲインド(稼いだ打数)では、距離別の平均値を上回るパットを決めればプラス、平均値を下回ればマイナスになります。

単純に示すと1.6パットが平均値となっている距離のパットを1パットで決めればストロークスゲインド・パッティングは+0.6、2パットになれば-0.4。

2パットが平均値となっている距離を1パットで決めれば+1.0、2パットであれば±0、3パットであれば-1.0。

1.2パットが平均値の距離を1パットで沈めても+0.2にしかならない一方で、2パットは-0.8、3パットは-1.8と大きくマイナスになります。

このような平均値を基準としてプラスとマイナスを積み重ねていって、そのプレイヤーのパッティングやショットの力量が優れるか、優れていないかを判定するという考え方がストロークスゲインド(Strokes Gained)です。

このような手法はセイバーメトリクスという野球のスタッツ解析では一般的なもので、それをゴルフに持ち込んだのがストロークスゲインド(Strokes Gained)です。

次回は、このストロークスゲインド(Strokes Gained)をさらに詳しく見ていきます。

以下はこのシリーズの記事の一覧です。

  1. バウンスバックと優勝に因果関係はあるのか?2014-15シーズンのPGAツアーの優勝者のデータで検証
  2. パッティングと優勝の関連性は?2014-15シーズンのPGAツアーの優勝者のデータで検証
  3. スタッツ解析・分析(1) ゴルフにおいてスタッツによる分析・解析が重要な理由とは?
  4. スタッツ解析・分析(2) データ・指標分析を重視し選手を指導している世界のプロコーチたち
  5. スタッツ解析・分析(3) 伝統的な旧来からのゴルフのスタッツが抱える問題点とは?
  6. スタッツ解析・分析(4) PGAツアーの距離別のパット数の平均値とストロークスゲインド(Strokes Gained)

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2 Responses to “スタッツ解析・分析シリーズ(4) PGAツアーの距離別のパット数の平均値とストロークスゲインド(Strokes Gained)”

  1. テシ より:

    こんにちは。
    このシリーズを楽しく読ませていただいております。今後も更新を期待しています!

  2. golf より:

    テシさん、コメントありがとうございます。
    トーナメントの合間、合間の時間を見つけてとなるので、不定期にはなりますが更新を継続していきますので、こちらこそよろしくお願い致します。

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