バウンスバックと優勝に因果関係はあるのか?2014-15シーズンのPGAツアーの優勝者のデータで検証

年末年始にかけてスタッツの解析、分析についてシリーズで書くための準備として、関連する書籍を読んだり、アメリカのサイトを眺めていました。

そうしている間に興味深い記事が日本のメディアから発信されていました。

「松山英樹のデータは良くなっているのに、なぜ優勝できないのか」という分析をした記事でしたが、その分析結果は「バウンスバック率、パッティングが悪いからだ」とのことでした。

スタッツ解析に関する記事を、今日、明日くらいからアップしようと考えていたのですが、このメディアの分析が的を得ているものなのか、非常に興味が湧きました。

そのためスタッツ解析に関する記事のシリーズの1つとして、「優勝できない原因はバウンスバック率の問題」という論理・分析の信ぴょう性を検証していきたいと思います。

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2014-15シーズンのPGAツアーで優勝した選手のバウンスバック率と年間ランキングで検証

松山英樹の2014-15シーズンのスタッツは軒並み2013-14シーズンのものより良くなっています。

参考記事:スタッツと成績で見る松山英樹の2014-15シーズンのPGAツアー

それでも優勝できなかった原因を分析した結果、バウンスバックに問題があるとアメリカのゴルフ事情に詳しい専門家が結論づけていますが、その論理の信頼性について、2014-15シーズンのPGAツアー優勝者のデータを元に検証してみたいと思います。

バウンスバック率は「パーより悪いスコア(ボギー、ダブルボギーなど)となった次のホールでパーよりも良いスコア(バーディ、イーグル、アルバトロスなど)を出した割合」を指します。

2014-15シーズンのPGAツアーで優勝した選手のバウンスバック率と年間ランキングの一覧は以下の表のとおりとなっています。わかりやすくするため、松山英樹のスタッツも表に加えています。

PLAYERS RANK位(%)
ジェイソン・デイ 1位(34.44%)
ババ・ワトソン 2位(28.24%)
ジョーダン・スピース 5位(27.46%)
ブルックス・ケプカ 6位(27.36%)
J.B.ホームズ 7位(26.77%)
ダスティン・ジョンソン 21位(24.61%)
スティーブン・ボウディッチ 31位T(23.75%)
ジミー・ウォーカー 33位(23.32%)
リッキー・ファウラー 36位T(23.08%)
ザック・ジョンソン 38位(23.04%)
ジャスティン・ローズ 42位(22.78%)
ロバート・ストレブ 43位(22.76%)
チャーリー・ホフマン 56位(22.05%)
ベ・サンムン 60位(21.90%)
クリス・カーク 76位T(21.29%)
パトリック・リード 76位T(21.29%)
ダニー・リー 82位(21.09%)
ニック・テイラー 86位(21.05%)
ジム・フューリック 99位(20.27%)
パドレイグ・ハリントン 103位T(20.10%)
ブラント・スネデカー 118位(19.59%)
スコット・ピアシー 121位T(19.53%)
デビッド・リングマース 125位T(19.42%)
アレックス・チェイカ 128位(19.33%)
シェイン・ローリー 129位*(19.30%)
ライアン・ムーア 131位(19.19%)
松山英樹 135位(18.98%)
ジェームズ・ハーン 140位(18.60%)
ビル・ハース 158位(17.54%)
ファビアン・ゴメス 161T位(17.37%)
トロイ・メリット 168位(16.60%)
ベン・マーティン 171位(16.48%)
デービス・ラブ3世 175位T(15.97%)
J.J. ヘンリー 177位(15.83%)
ローリー・マキロイ 179位*(15.15%)
マット・エブリー 183位(14.40%)

ローリー・マキロイとシェイン・ローリーは規定試合数に到達していませんので正式な順位ではなく、スタッツから相当する順位を記載しています。

松山英樹のバウンスバック率は18.98%で135位となったのですが、それよりも良いスタッツで優勝している選手が26名、悪いスタッツで優勝している選手は9名となっています。

このことは以下のことを示します。

  1. 松山英樹よりもバウンスバック率が高い100名余りの選手は2014-15シーズンのPGAツアーで優勝できなかった
  2. 松山英樹のバウンスバック率よりも低い選手50名程度のうち9名が2014-15シーズンのPGAツアーで優勝している

現在の世界ゴルフ界でのビッグ3の1人であるローリー・マキロイの2014-15シーズンにおけるバウンスバック率は15.15%とかなり低く、正式な順位ではないものの179位相当となっています。

もし「バウンスバックが悪いと優勝できない」という論理が正確であるならば、ローリー・マキロイは優勝できないはずです。

そして「バウンスバックが悪いのはメンタルの切り替えができていない、メンタルが強くないからだ」という論理が正しいと主張するならば、それは同時にローリー・マキロイはメンタルが弱い選手と結論づけ、主張していることにもなります。

しかし、現実には、ローリー・マキロイは2014-15シーズンにおいて1試合にとどまらず、WGC-キャデラックマッチプレーとウェールズファーゴチャンピオンシップと2勝もしています。

そしてアーノルドパーマーインビテーショナルを制したマット・エブリーに至っては規定に到達した全184名中183位と下に1人しかいません。

これらの数字やデータを見ると、因果関係が全く無いとまでは言えないものの、バウンスバックと優勝に強い因果関係があるとも考えにくいと言えます。

そのため、バウンスバックが悪いと優勝できないというのは分析として、論理に飛躍があると言わざるを得ません。

次回はパッティングとPGAツアー優勝について検証してみたいと思います。

この記事に関連するシリーズの記事は以下のとおりです。

  1. バウンスバックと優勝に因果関係はあるのか?2014-15シーズンのPGAツアーの優勝者のデータで検証
  2. パッティングと優勝の関連性は?2014-15シーズンのPGAツアーの優勝者のデータで検証
  3. スタッツ解析・分析(1) ゴルフにおいてスタッツによる分析・解析が重要な理由とは?
  4. スタッツ解析・分析(2) データ・指標分析を重視し選手を指導している世界のプロコーチたち
  5. スタッツ解析・分析(3) 伝統的な旧来からのゴルフのスタッツが抱える問題点とは?
  6. スタッツ解析・分析(4) PGAツアーの距離別のパット数の平均値とストロークスゲインド(Strokes Gained)

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