岩田寛の2016年のスタッツとデータで見る入れ替え戦と来季に向けての課題

Stats and Data_Catch

岩田寛は入れ替え戦で2015-16シーズンのPGAツアー出場資格を手にしたものの、残念ながらシード権にステップアップすることはできず、再び入れ替え戦に望むことになりました。

29試合に出場して予選通過が14試合、トップ10か1回、トップ25が3回とかなり苦しんだPGAツアーの初シーズンだったのですが、その内容をスタッツ・データで分析し、入れ替え戦も含めた今後の課題について検討してみたいと思います。

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ストロークスゲインド(Strokes Gained)で見る岩田寛の2015-16シーズン

近年PGAツアーに登場した新しいスタッツがストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(SG: TEE TO GREEN)、ストロークスゲインド・パッティング(SG: PUTTING)、ストロークス・ゲインド・トータル(SG: TOTAL)でした。

このスタッツによってわかることを完結に述べると「ストローク数により、ツアーの平均的な選手よりもどれだけ優れているか、もしくは劣っているかを」ということです。

ショットで平均的な選手よりも打数をゲイン(gain:稼げている)している選手はストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーンがプラスになり、逆にこちらで打数をロス(loss:失っている)している選手はマイナスになり、ストロークスゲインド・パッティングも同様です。

ストロークス・ゲインド・トータルはPGAツアーの平均的な選手よりも、どれだけ良いスコアもしくは悪いスコアでラウンドをプレーしているかを示しています。

この平均的な選手よりもどれくらい優れているかを数値化することで、その選手が優れているのか劣っているのかどうか、さらにどの程度優れていたり、劣っているのかを判断するという手法で、すでに野球のセイバーメトリクスなどでは一般的な考えです。

これをゴルフに持ち込んだのがコロンビア大学ビジネススクールのマーク・ブローディ教授です。

さらに今年のシーズン半ばから新たにストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(SG: TEE TO GREEN)を細分化した、オフ・ザ・ティー(SG:OFF-THE-TEE)、アプローチ・ザ・グリーン(SG: APPROACH TO THE GREEN)、アラウンド・ザ・グリーン(SG: AROUND THE GREEN)が導入されました。

旧来の紙ベースで集計できるスタッツ、データよりも選手の実態を詳細に知ることができる画期的なスタッツで、選手のどの分野が優れ、どの分野が弱点となっているかを知ることができるようになりました。

このストロークスゲインドで岩田寛の今シーズンを振り返し、今後の克服していくべき課題について見ていきます。

岩田寛の2015-16シーズンの8月30日時点でのストロークスゲインドのスタッツは以下のとおりとなっています。

SG:OFF-THE-TEE -0.127(137位) TOTAL SG:OTT – -8.387
SG:APPROACH-THE-GREEN -0.606(185位) TOTAL SG:APP – -40.009
SG:AROUND-THE-GREEN -0.042(120位) TOTAL SG:ARG – -2.762
SG:PUTTING 0.154(65位) TOTAL SG:PUTTING – 10.162
SG:TEE-TO-GREEN -0.775(184位) SG:OTT – -0.127
SG:TOTAL -0.621(172位) TOTAL SG:T – -40.998

岩田寛がプレーした66ラウンドでストロークスゲインドのスタッツが集計されています。

ストロークス・ゲインド・トータル(フィールドの平均との差)が-0.621となっているため、岩田寛は毎ラウンド、PGAツアーの平均的な選手よりも0.621打悪いスコアしか出せていないことになります。

予選ラウンドの2日間では1.242打も平均的な選手より悪いスコアしか出せなかったことになりますので、予選落ちが出場の半分以上となるのは必然の結果でした。

原因となったのがショットで、ストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(SG: TEE TO GREEN)は-0.775で184位と苦しみました。

そのためパッティングでストロークスゲインド・パッティング(パッティングで稼いだ打数)が+0.154で65位となったのを完全に打ち消してしまいます。

1ラウンド当たり-0.775という数字は物凄く悪い数字ではないように思えるかもしれませんが、それは66ラウンドの平均値であるためで、トータルでは約40ストロークも平均的な選手より悪いスコアとなっています。このショットの不安定さが岩田寛の苦しむ原因となりました。

さらにそのショットの中でも低迷の原因となったのが「30ヤードを越えるアプローチショット(パー3のティーショットを含む)」です。

「30ヤードを越えるアプローチショット」のスコアへの貢献度を示しているのが、ストロークスゲインド・アプローチ・ザ・グリーン(SG: APPROACH TO THE GREEN)というスタッツで、-0.606の185位とストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(SG: TEE TO GREEN)のマイナスの大部分を占めています。

パーオン率が59.50%で191位、30ヤードを越えるアプローチショットによって残った、カップまでの距離の平均を示すプロキシミティ・トゥ・ホール(PROXIMITY TO HOLE)は37’11″で175位といずれも悪く、グリーンを捉えることができていないし、なおかつピンまでの距離も遠いところに行ったことが多かったことになります。

このような数字を見ても30ヤードを越えるグリーンへのアプローチに難を抱えていたことがわかります。

プラスとなったのはパッティングだけでしたが、ストロークスゲインド・パッティング(パッティングで稼いだ打数)はシーズン中盤まで30位台をキープしていた状態から、終盤には徐々にスタッツとランクともに落ちていったのが気になるところです。

PGAツアーではロングゲームが重要になります。PGAツアーは距離が長いコースが多いため、良いスコアを出すためにはキャリーで300ヤードを出せる飛距離を持つか、ミドルアイアン、ロングアイアンを高い精度で使いこなすことが重要なポイントとなります。

キャリーで300ヤード前後を出せる飛距離があれば、セカンドをショートアイアン、ウェッジを使えますが、そうでない選手はミドルアイアン、ロングアイアンの高い精度で補うことになります。

今季の岩田寛はシーズン序盤は飛距離が出ていたものの、コースセッティングの厳しさもあったためか、次第に距離が出なくなり、ドライビングディスタンスは288.8ヤードで113位となりました。飛距離がある方ではありませんが、飛距離がないわけでもありません。

トップクラスでありながら飛距離があまり出ない選手では、マット・クーチャー(285.9 yds / 143位)、ルーク・ドナルド(282.7 yds / 159位T)、ライアン・ムーア(282.5 yds / 161位)、ジム・フューリック(281.8 yds / 164位T)、グラエム・マクダウェル(280.9 yds / 170位T)、ザック・ジョンソン(280.0 yds / 178位)、ケビン・ナ(279.4 yds / 180位)となどがいます。

これらの選手はティーショットの精度(フェアウェイキープ率)、もしくはアプローチショット(パーオン率/プロキシミティ・トゥ・ホール)の精度などで補うことで、PGAツアーでトップクラスを維持しています。

しかし、岩田寛はフェアウェイキープ率が58.34%で126位、パーオン率が59.50%で191位、プロキシミティ・トゥ・ホールが175位とカバーできませんでした。

ショートゲームに関してはストロークスゲインド・アラウンド・ザ・グリーン(SG: AROUND THE GREEN)が-0.042(120位)と平均よりやや悪い程度にとどまりますので、課題はロングゲームです。

パッティングはシーズン終盤に調子が落ちましたが、シーズン全体では十分に通用していましたので、グリーンとグリーン周りの良さを活かすためにも、ロングゲームを改善したいところです。

入れ替え戦を乗り切るためにも、来季のPGAツアーで戦い生き残るためにも、ショットの改善、特にグリーンへのアプローチショットの改善が急務の課題となっている岩田寛です。

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2 Responses to “岩田寛の2016年のスタッツとデータで見る入れ替え戦と来季に向けての課題”

  1. マーク より:

    岩田、フジサンケイの予選通過しましたね。彼の本番は来週以降ですから、弾みにしてもらいたいですね。
    さて、私が岩田で気になる点は、30Y以上のアプローチでも特に比較的短い距離での大ミスです。スタッツに現れているか分かりませんが、長いクラブでの曲がりよりも、ショートアイアンで大きく外しているシーンが気になります。取りたいところで取れない原因はそこにあるのではないかと。golfさんはどうお考えでしょうか。
    乗せて当たり前、あわよくば近くにつけたい状況で大きく外すとメンタルのダメージも大きいですよね。ショートアイアンを自信をもって打てるようになれば、最終の池ポチャも減るのかなと。
    数字で調べた訳ではないので、推測レベルで申し訳ありません。

  2. golf より:

    マークさん、コメントありがとうございます。
    シーズン序盤はティーショットがひどかったのですが、シーズンが進むに連れてショートアイアン、ウェッジで精彩を欠くようになったと私も思います。フェアウェイキープ率などは良くなり、良い位置から打ってもどんでもないところに外したりというのが目につくようになりました。しかもパッティングもだんだん悪くなっていったので、最後の方は申し訳ないのですが、結果を残せるような雰囲気ではありませんでした。
    それでもメンタルで強くプレーできればいいのですが、完全に引きずってしまうので・・・。完璧主義になりすぎてしまうことで、結果、自身を苦しめているような気がしてなりません。
    メンタルのコントロールは彼の課題ですね。ミスがでる自分をもうちょっと受け入れてもらいたいです。

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