松山英樹のメンタル面での成長とさらなる飛躍を予感させる言葉

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松山英樹のコメントで「おっ」と思わされたことがありました。

それは優勝を飾った日本オープンの最終日を迎える前の、3日目のホールアウト後の言葉でした。

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松山英樹の飛躍を予感させた日本オープンでの言葉

以下はデイリースポーツ電子版からの引用です。

最終日は東北福祉大の先輩、池田に1打差をつけてのスタート。勝てば、国内メジャー初優勝を果たすことになる。「優勝も1打差のリードもあまり考えず、しっかりリズムを守れば、いい結果がついてくると思う」。落ち着いた言葉に揺るぎない自信がのぞいた。

引用元:松山が首位に来た!圧巻5連続バーディー

第3ラウンドで松山英樹は65の好スコアで単独首位に浮上し、最終的には3打差をつけて優勝しました。

しかし、3日目を終えた時点では2016年は賞金王となった好調の池田勇太が66と好スコアで1打差、同じく1打差に李京勲、2打差に片山晋呉がいるなど、安心できるほどの差はありませんでした。

さらに、この時点で松山英樹のプロトーナメントでの優勝は逆転ばかりで、逃げ切ってのものはなかったこともあり、全く不安がない状態で最終日を迎えるというわけでもありませんでした。

しかし、「しっかりリズムを守れば、いい結果がついてくると思う」という非常に落ち着いたコメントをしていました。この言葉は「自分がやるべきことをやれば勝てる」という自信がなければ出てくるものではありません。

松山英樹がアメリカでも日本でも勝てない時期が続いた時には、優勝することに対して難しく考えすぎているところが目につきました。

もちろん優勝することは容易いことではないのですが、アメリカでもいつ勝ってもおかしくない実力がありましたし、日本のトーナメントではさらに高い確率で勝てる状態でした。

ただ、「勝ちたい」と思うと同時に「勝つことは簡単ではない」と過度に思いすぎていることが逆効果となり、勝負どころで実力が発揮しきれず、勝てなくなっているように見受けられるところが多々ありました。

そのため日本オープンの最終日を迎えるあたって、どのようなコメントをするのか注目していたのですが、先のようなコメントをしたのを目にし「おっ」と驚くと同時に、「明日はこのまま逃げ切ることができそうだ」とも感じました。

「自分でコントロールできない要素をコントロールしよう」としたり、「自分が持っている力以上のものを出さないといけない」と考えてしまったりすると、往々にして不安や重圧に押しつぶされてしまうものです。

ですが、この「しっかりリズムを守れば、いい結果がついてくると思う」という松山英樹の言葉は、自分を信じて「自分のやれること」「自分が持っている力」を発揮することに集中していくという意志が感じられるものでした。

調子が万全であったり、技術的に全く不安な要素がないわけではなかったはずですが、自分のやるべきことをやる、自分のやれることに集中すれば結果が出るというシンプルな意識に集約できているように見受けられたため、最終日も安心して見ていられそうだと感じました。

そして前日の言葉どおりのプレーぶりで、さら差を広げて日本オープンのタイトルを獲得したことで、一つステップアップしたことを感じざるを得ませんでした。

この日本オープンの第3ラウンド終了時点のコメントに、メンタル面で成長を遂げていて、飛躍の準備ができつつあることを感じたのですが、その印象をより確信に近いにものに変えたのがWGC-HSBCチャンピオンズの第3ラウンドを終えた時点でのコメントと最終ラウンドのプレーでした。

自分を信じ、自分のやるべきことにフォーカスできるように

以下はゴルフダイジェスト・オンラインからの引用です。

ラウンド後の公式記者会見で「日本人として初めてWGCでの優勝がかかっているが?」という質問に、松山はうなずいて言った。「あした勝って、ここでそれを話したいと思う。それまでは自分のベストを尽くしたい」。

引用元:逃げる松山英樹の“守らない”1打 WGC制覇へ築いた足場

ゴルフ世界選手権という大舞台で、ビッグスコアを出して強烈に追い上げてこれる選手が揃っている中でしたが、非常に落ち着いたコメントをしています。

「それまでは自分のベストを尽くしたい」という言葉は「自分のやるべきことに集中する」「自分のやれることに集中する」ことができていることの大きな証でした。

最終的に7打差をつけての圧勝となりましたが、第3ラウンドを終えた時点では前年覇者のラッセル・ノックスが3打差につけていたため、完全な楽勝ムードというわけでもありませんでした。

それでも自分のやるべきことに、自分のできることにフォーカスしていることが伺えるコメントをしていたため、日本オープンの時と同様に逃げ切れる可能性が高いと予感しました。

そして実際に落ち着いたプレーぶりで、世界のエリートプレイヤーが集うフィールドを圧倒して勝利するのを見て、メンタル面で完全に一皮むけたことを確信せざるを得ませんでした。

2016年のマスターズとプレイヤーズではともに優勝争いの最中にいながらもショットが乱れて、フロントナインで優勝争いから脱落するようなところまで落ちました。

プレイヤーズのホールアウト後には「自分の抱えていた不安が、そのまま出てしまった」、大会終了後には「すべてに対して不安がちょっとずつあったのが、悪い方向に出てしまったのかなと思う」と話していました。

もちろん技術的な面で不安定な部分があったことは間違いないのですが、それが大きくマイナスに働いてしまったのは、やはりメンタル面の影響が大きかったのではないかと考えられます。

というのも優勝争いをすれば、ほとんどの選手が不安や重圧を感じることを避けられず、優勝したジェイソン・デイも松山と同様に不安を抱えていたためです。ジェイソン・デイは以下のように優勝した後に話しています。

「今朝は、ものすごく重圧を感じていた。おそらく、これまでの試合で一番大きかったかもしれない。妻にも、そう話した。これまで、僕が3日目を終えてリードしていたのは、4回ある。そのうち、3回は勝っている。だから余計に、『負けられない』というプレッシャーがかかった。でも『負けられないから、絶対に弱気なプレーだけはするまい』、そう誓ってプレーした」

引用元:優勝争いの「不安」にもがく松山英樹に、J・デイがかけた言葉

松山英樹も不安やプレッシャーを感じていたことになりますが、それは優勝したジェイソン・デイも同様でした。しかもデイは重圧に関して、これまでで一番だったと吐露するほどです。

しかし『負けられないから、絶対に弱気なプレーだけはするまい』と自分のできること、自分の力を発揮することにフォーカスすることで打ち勝ち、バックナインで立て直し優勝しています。

松山英樹が様々な面でジェイソン・デイに及ばないとプレイヤーズを終えた時点で話していましたが、このメンタル面の差が大きく最終日のスコアに反映されたのではないかと、コメントを比較した時に感じざるを得ませんでした。

ジェイソン・デイに技術的に及ばない部分があることを示すスタッツや指標があるのも事実ですが、松山英樹のほうがデイよりも優れた部分があることを示すスタッツがあるのも事実です。

ただ、どんなに優れた技術があっても、メンタル面で負けてしまえば、それを発揮することは困難になります。

2016年後半の躍進は技術面ではパッティングの改善が大きな要因だったと考えられるのですが、それと同時にメンタル面でもバランスのとれた状態、不安に打ち勝ちやすくなる状態を長時間維持できるようになったのも大きな要因だったのではないかと考えられます。

2017年のさらなる飛躍を予感させる松山英樹

松山英樹がメンタル面での大きな壁を一つ乗り越えたことを感じさせるコメントをしているのを記事で目にし、2017年はさらに躍進するのではないかと予感しています。

以下はゴルフダイジェスト・オンラインからの引用です。

松山は言う。「最近は『自分はできるんじゃないか。やるべきことができれば、結果はついてくるんじゃないか』と思えるようになった」と。10月に中国・上海で行われた「HSBCチャンピオンズ」では2位に7打差をつける圧勝でアジア勢初となる世界選手権制覇を遂げた。「上海(HSBCチャンピオンズ)もそうだった。他の人どうこうじゃなくて『自分がやりたいことを貫き通せばできるんだ』というのを、ちょっと思ってきた」。

もともとは「マイナス思考」で、周囲からの期待が高まることに、以前は困惑すらあったという。「みんなに『もっとできるでしょ?』と言われたり、高い評価を受けたとき、前は『いや、おれ無理だよ』って思ってたんですけど…。それを最近は逆に『できる』と思い込んだ方がいいのかなって思い始めた」。

引用元:松山英樹の2016年総括 「もっとワガママに」芽生えた自信

『いや、おれ無理だよ』と思っていたことを正直に明かしています。「勝ちたい」と思いながら、「自分は無理」という思いを抱いているのは、サイドブレーキをかけながらアクセルを踏むようなものです。

しかし、今は「最近は『自分はできるんじゃないか。やるべきことができれば、結果はついてくるんじゃないか』と思えるようになった」、「『できる』と思い込んだ方がいいのかなって思い始めた」、「他の人どうこうじゃなくて『自分がやりたいことを貫き通せばできるんだ』というのを、ちょっと思ってきた」と話しています。

自分に厳しく、鋭い観察眼、深い洞察力があるからこそ、自身の足りないところが目につきマイナス思考が強まる傾向がありました。

しかし、日本オープン以降の松山英樹は自分への厳しさ、鋭い観察眼、深い洞察力を維持しながらも、同時に「自分はできる」というプラス思考を兼ね備えることができるようになり、メンタルのバランスが良くなっているように見受けられます。

また上記のコメントは自分のプレースタイルに関しても確信を深めていることを感じさせる内容でもあり、これもまた大きな収穫です。

以下は、元世界ランク1位、マスターズ王者のアダム・スコットが日本オープン出場した際に、ジュニアに話した内容です。

「(PGAツアーで活躍するには何が必要?)PGAツアーは競争がとても激しく、トッププレーヤーですら困難を味わうので、1Wからパターまで、“強い自分のゴルフ”を確立しないといけない。そして、自分がどうすれば良いプレーが出来るかということを本当に理解しないといけない。自分も昔は、グレッグ・ノーマンやタイガー・ウッズのようなプレーをしたいと思ったことがあるが、結局はアダム・スコットのゴルフを見つけないといけない。たとえば、ロリー・マキロイとジョーダン・スピースは、自分から見ると全く違うタイプのゴルファーだ。それでも、2人ともメジャー大会で勝っている。トップ選手になるには多くの道があるということだね」

引用元:アダム・スコットと松山英樹が次世代ジュニアに伝えた言葉

「最近は『自分はできるんじゃないか。やるべきことができれば、結果はついてくるんじゃないか』と思えるようになった」、「他の人どうこうじゃなくて『自分がやりたいことを貫き通せばできるんだ』というのを、ちょっと思ってきた」といったコメントは、松山英樹が「自分らしいゴルフでメジャーを勝てる」と思えるようになりつつあることを感じさせるものです。

自分を信じれない人が結果を残すことは困難です。

逆に自分を信じて、自分のやるべきこと、自分がコントロールできることにフォーカスして、エネルギーを注ぐことができると、不安やプレッシャーに打ち克ちやすくなり、結果も出やすくなります。

2016年の一連の出来事や本人のコメントをあらためて振り返ってみると、松山英樹はとても強固な柱となるものを手に入れつつあるように感じられます。

プロ転向後では最も悪い成績を残す期間もあれば、キャリアベストを多く更新するという年でしたが、振り返ってみれば、すべての経験がメジャー制覇のための準備として必要だったようにも思える2016年でした。

2017年は早々にトーナメントに出場することになる松山英樹ですが、どんな成長を、どんな歩みを、私たちに見せてくれるのか楽しみでなりません。

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