世界ランク12位になるには日本ツアー(JGTO)で何勝することが必要なのか?

テニスもゴルフも世界ランクというものが存在していますが、そのシステムには大きな違いがあります。

テニスではATPが世界の試合を階層化し格付け(グランドスラム/マスターズ1000/500など)していて、同じ1勝でもその重みが違います。

優勝賞金もそうなのですが、優勝で獲得できる世界ランキングのポイントが異なるためです。

しかし、ゴルフは世界各国でツアーが運営されているため、テニスと同様の階層化した世界ランキングのポイントシステムは採用できません。

そこで現在ゴルフで採用されているのは世界ランキング上位の選手が多く出ていれば出ているほど、その大会に割り当てられる世界ランキングのポイントが増加するというポイントシステムです。

世界ランキング100位以下の選手ばかりや200位以下の選手ばかりの試合と、世界ランクトップ50の選手ばかりの試合では、優勝の難易度、そして上位に入ることの難易度が異なるため当然の措置と言えます。

そのためゴルフにおいても「優勝」と言っても、その一つ一つの価値には大きな違いあり、何もかも一緒にしてしまうのは正確に世界のゴルフシーンを理解しているとは言えません。

スポンサードリンク

世界ランキング12位になるために必要なポイントは?

現在、日本人で最上位の松山英樹は世界ランク12位となっているのですが、ポイント可算の対象となっている試合とその獲得ポイントの一覧は以下の表のとおりとなっています。

Hideki Matsuyama 2014-16_Results_20160212_1

この期間でPGAツアー2勝と日本国内ツアーの1勝などを含む成績で合計408.66ポイントを獲得しています。

このうち優勝したメモリアル・トーナメントは64ポイント、ウェイストマネジメント・フェニックスオープンは54ポイントと非常に高いポイントになっています。

というのもメモリアル・トーナメントではその当時の世界ランク1位のアダム・スコット、その年のマスターズ王者のババ・ワトソン、そしてロリー・マキロイなど世界のトップランカーが多く出場していたためです。

そして今回PGAツアー2勝目を上げた松山英樹ですが、ウェイストマネジメント・フェニックスオープンでも世界ランク4位のリッキー・ファウラー、5位のババ・ワトソンらが出場していたため世界ランキングの優勝ポイントも高くなりました。

このような多くの世界のトップランカーが揃うところで勝つことは簡単なことではないのですが、その分、勝った時には大きくポイントを稼ぐことができます。

つまりテニスの優勝と同様に、ゴルフにおいても優勝を、勝利数ですべて一括りにするのは乱暴であり、その重みや価値が異なるという事実を認識することは選手の実力を知る上で重要です。

世界ランク12位といったような世界ランクトップ20、そして世界ランクトップ10となるには、世界のトップクラスが揃う試合で勝つ、トップ5に入るということがコンスタントにできなければなりません。

そして現時点では残念ながら、日本国内ツアーに専念しているプレイヤーが世界ランク12位となるには非常に困難を極める状況となっています。

世界のトップランカーになるには日本ツアーでは優勝が何回必要なのか?

2014年と2015年の日本ツアーの試合と割り当てられた世界ランクのポイントの一覧は以下の表のとおりとなっています。

JGTO2014-15

世界ランキングの対象となっている試合数は2年間で49試合ですが、その合計ポイント数が849ポイントで、1試合平均にすると17.33ポイントとなります。

日本ツアーでは世界ランク上位の選手が出場しないため、世界ランキングのポイントが稼ぎにくいという現状があります。

そのためもし日本国内ツアーに専念しているプレイヤーが、日本ツアーだけで世界ランク12位相当の408.66ポイントを稼ごうとすれば、単純に計算すると2年という限定された期間で23.6勝が必要になります。

日本ツアーでは2014年と2015年の2年間で49試合が行われていますが、その短いスパンで24勝ないし23勝しないと世界ランク12位にはなれないということです。

また松山英樹がいかに海外で素晴らしい成績を残しているかということも、これらの簡単な計算からもうかがい知れます。

実際にはポイントの比重が期間を経る毎に変わるため、さらに詳細な計算が必要になるのですが、あまりにも煩雑となるため、ざっくりとした計算にしましたが、かなりの勝利数が必要であることは間違いありません。

全盛期の尾崎将司が年間に40試合前後行われていたような時代の1994年に年間7勝、1996年に同8勝、1997年に同7勝にとどまります。

そして通算勝利数では尾崎将司が94勝、青木功が51勝、中嶋常幸が48勝、尾崎直道が32勝、倉本昌弘が30勝、片山晋呉が29勝、杉原輝雄が28勝と、中村通とグラハム・マーシュが20勝と、20勝以上している選手は歴代で8名しかいません。

いかに2年間でこれだけの勝利数を上げることが困難なことかがわかるのではないでしょうか。

日本国内ツアーに専念している場合にはこれほどの勝利数がなければ、世界のトップランカーにはなれないということです。

日本ツアーももっとポイントが稼げる時期があったのですが、残念ながら現在は世界ランキングのポイントが稼ぎにくくなっています。

そのため今日本人プレイヤーに求められているのは、日本でしっかりと勝つことに加えて、PGAツアーに限らず、アジアンツアーやユーロピアンツアーなどの世界を舞台にして活躍することです。

そして4大メジャー、世界ゴルフ選手権シリーズ(WGC)などの大会に出場した場合には上位フィニッシュすることで、大きなポイントを獲得することも大切です。

WGC-HSBCチャンピオンズ2014で3位タイとなった岩田寛は21.31ポイントと日本ツアーの優勝以上のポイントを獲得していて、彼の自己ベストの獲得ポイントです。

そして2015年にマスターズで単独5位となった松山英樹は24.00ポイントを獲得しています。

このように世界のビッグトーナメントで結果を残せば日本ツアーで優勝する以上にポイントを稼ぐことができ世界ランキングも上昇しますので、日本に戻った時に出場した日本ツアーのトーナメントの割当ポイントを増やすことに貢献できます。

日本ツアーの中でダンロップフェニックストーナメントの世界ランクのポイントが高くなっているのは、出場している松山英樹の世界ランクが高いのが大きな要因の1つです。

現在は、世界ランキングでメジャーや世界ゴルフ選手権シリーズの出場資格が決められていますし、オリンピックの出場資格にも関係するため、世界ランクを上げることは非常に重要です。

日本ゴルフ界が世界水準であるためには、多くの日本人が世界を舞台に活躍し世界ランクを上げて、日本ゴルフ界全体が世界基準で通用するようなレベルアップをしていくことが必要です。

現在、松山英樹はPGAツアー2勝ですが、その2試合で獲得したポイントは118ポイントで、2014年と2015年の日本国内ツアーベース(17.33)で見れば6.8勝分のポイントとなります。

そのため2勝と言えど世界的な基準、世界ランクという観点で見れば非常に価値の高い2勝です。

世界ランク12位にいることは本当に簡単なことではありません。かなり難しいことです。

そしてそれを若い23歳の青年が成し遂げていることは称賛に値するもので、しかもそれをやっているのが日本人プレイヤーです。

2015年に世界ランク20位以下になることは一度もなく、現在、世界ランク12位にまで上ってきていることが、いかに素晴らしいことであるか、そして非常に高いレベルで戦っていることが、正確に伝わることを願ってやみません。

スポンサードリンク

よく読まれています

6 Responses to “世界ランク12位になるには日本ツアー(JGTO)で何勝することが必要なのか?”

  1. TETSU より:

    golfさんお疲れ様です、そしてすいません。今週忙しくて
    録画を観れたのが一昨日でfan失格ですね。
    出張先でも持ちきりだったのですが、自分は見てないので・・・
    素晴らしい試合でしたね。シナリオを知っていても感動する映画を見たようでした。THE GREATEST GAME って映画のラストで,
    ハリーバードンがフランシスウィメットに「またやろう」と声をかけるシーンを思い出しました。
    で、golfさんのこの記事にも感動しました。本当に解りやすいし
    JGTOとの比較がまたいいです。JGTOにも見せなければいけない
    ですよ。世界とどれほど差が開いてしまったか解るように

  2. golf より:

    TETSUさん、コメントありがとうございます。
    仕事で仕方ないとはいえ、生で見れないと悔しいですよね(T_T)
    本当にドラマチックで、米メディアでも勝負強さの応酬だったと評しているものがありました。本当に見応えがありました。
    そして最後に勝ってくれたので、本当に気持ちが良いですよね。
    この2年間で松山英樹が成し遂げていることは、かなり凄いことなので、それが正確に伝わることを願っています。
    世界基準で勝てる選手が増えれば増えるほど、日本のゴルフ界も盛り上がると思うので、そうなってもらいたいです。
    特に若い世代は小さい頃からネットで世界の情報に触れていますので、世界基準で勝てるプレイヤーが増えないと、感心も高まらないし、競技人口も増えないと思うので、頑張ってもらいたいです。

  3. やまもも より:

    いつも面白い角度からの記事楽しみにしてます
    tetsuさんのコメントにもありましたようにJGTOにも読んでもらいたいです。

    私個人の感想ですが日本のサンデーバックナインで2位以下の選手が後ろを振り返り下位に抜かれないように現状維持でホールアウトする姿が感じてなりません、PGAでそういうプレーをしたら確実にズルズルと下位に後退すると思います。

    トップの選手が守りのプレーをするのはわかりますが2位以下の選手が守りのプレーをするのはツアー全体のレベルが下がります

    そういう思いからPGAのほうが面白くなりましたし、ポイントの公平性もよくできている。よりエキサイティングに観戦できるよう変なプライドなくツアー機構が稼働してると思います。

    これからもサイト独自の記事楽しみにしてます!

  4. golf より:

    やまももさん、コメントありがとうございます。
    2位以下の選手が優勝を目指すよりも、現状の順位を維持することに意識が強くなっているように見受けられ、試合の終盤が盛り上がりきれていないのが、日本ツアーを観戦して気になるところです。
    おそらく試合数が少ないので、一度チャンスを逃すとシード権も怪しくなるということが影響しているのだと思います。
    試合数が少なくなり、より選手が保守的になってしまうと、さらに悪循環になるような気がしてなりません。
    PGAツアーだと試合数が多いので、トップ10を2回は最低ラインで、3回から4回はとらないとシード権が怪しくなりますので、チャンスがあるときに勝負をかけて優勝を狙う選手が多いように思います。その結果、優勝争いも盛り上がり、試合も盛り上がっているのではないかと思います。
    色々とPGAツアーから学びながら、良い物は吸収し、日本ツアーが発展することを願っています。

  5. Ken より:

    golfさん、おはようございます。
    今回のコラムは極めて価値ある情報で、松山選手の戦績がいかに素晴らしいかを如実の物語っている動かし難いデータに他なりません。
    恐らく、JGTOにおいても同一のデータを収集・分析していると思われますが、特定の選手に対する肩入れと取られかねないので、公表したり話題にしたりはしないでしょうね。
    ただし、松山選手の活躍がある意味日本のゴルフ界に貢献していることはgolfさんのデータからも読み取ることが可能なので、この点はJGTO等に是非とも理解していただきたいものです。
    いずれにせよ、否が応でも次週のノーザントラストオープンでの活躍に期待が高まりますが、冷静な応援に努めたいと思います。

  6. golf より:

    Kenさん、おはようございます。
    世界ランクの観点で見れば、他の日本人選手が1年から2年以内に松山英樹のランクまで登っていくことは至難の業です。
    かなり突出した成績で、だからこそ世界のトップランカーになっていて、ビッグ4に次ぐグループにいると言われています。
    彼の凄さや素晴らしさが広く、そして正しく伝わると良いなあと願っています。
    メジャー、世界ゴルフ選手権シリーズに出場した松山英樹以外の日本人選手の結果は芳しくありません。この2年位では岩田寛が頑張っているくらいでしょうか。
    確かに日本のプレイヤーの技術レベルは上がっているのですが、それよりも遥かに速いスピードで世界のトップレベルは進化しています。
    物事の改善は現状の正確な把握と分析が不可欠で、そこからしか本当の意味での向上は生まれてこないと思います。
    ゴルフは確かに個人事業主の集まりではあるのですが、世界基準で活躍するプレイヤーが増えるようなツアーとしての運営方針など、頑張っていってもらいたいです。

コメントを残す

このページの先頭へ