松山英樹はリオオリンピックの出場をなぜ辞退したのか?その苦渋の決断に至った理由とは

ゴルフがオリンピック競技に加わることになったリオオリンピックで、プロも参加できる形式での開催のため、世界各国のトッププレイヤーが出場することが期待されていました。

しかし、様々な問題があり多くのトッププレイヤーが出場を辞退することを表明していたのですが、日本のNO.1プレイヤーである松山英樹も辞退することを発表しました。

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なぜ松山英樹はリオオリンピックに出ないことを選んだのか?

松山英樹のリオオリンピック辞退の理由について報じた日本のメディアの報道をいくつか引用します。

まず一つ目はゴルフダイジェスト・オンラインです。

米オハイオ州で行われた「WGCブリヂストンインビテーショナル」の最終ラウンドの後、開幕まで約1カ月となった五輪について「やめます。出ません」と欠場する意向を明らかにした。
代表辞退の理由は、ジカ熱を含むブラジル国内の衛生環境についての不安。「ジカ熱もありますし、虫に刺されたときの自分のアレルギー反応が良くなっていない。そういう不安があるところでは、まだプレーを避けたほうがいいかなと思う」と説明した。
松山はプロ1年目の2013年秋、顔を虫に刺され、口元が大きく腫れるアクシデントに見舞われた。今年6月の「全米オープン」は、腕が虫刺されで腫れ、テーピングを巻いてプレー。サポートスタッフらと相談を重ねた結果、「刺されても、腫れたりもせず、普通にプレーできるのであれば問題ないんですけど(リオデジャネイロに)行って、腫れてプレーができなくなったらもっと良くないと思いました。それプラス、ジカ熱、治安の問題もある」と語った。

続いてALBAです。

松山英樹が8月に開催されるリオ五輪の出場辞退を発表した。WGC-ブリヂストン招待の会場で明らかにしたもので、ブラジルを中心に流行するジカ熱や治安の問題から苦渋の決断を下した。
松山はこの日のラウンド終了後に「やめます。出ません」と語り五輪出場辞退を明言した。「ジカ熱もありますし、自分が虫に刺されたときのアレルギー、反応の仕方がまだ良くなっていない。そういう不安があるところではプレーは避けたほうが良いのかなと。行って刺されて、腫れてプレーできないというと良くないと思う」。
2013年には頬を虫に刺されて顔が大きく腫れたこともあった。今年6月の海外メジャー第2戦「全米オープン」は、左腕を虫に刺され腫れたことから黒いテーピングを巻いて腫れを抑えながらプレーするなど、虫刺されによるアクシデントが多かった。

ここで上げられているのをまとめると以下の様なものとなります。

  1. 本人の虫に刺されたときのアレルギー反応が強く改善されず、アレルギー反応が酷いため刺されるとプレーができなくなる可能性がある
  2. ブラジル国内でのジカ熱の流行を始めとする衛生面での問題
  3. 治安の問題

1. 本人の虫に刺されたときのアレルギー反応が強く改善されず、アレルギー反応が酷いため刺されるとプレーができなくなる可能性がある
虫に刺されやすいところがあり、しかもその後患部が腫れ上がるという強いアレルギー反応を松山英樹は抱えています。

2013年のフジサンケイクラシックの最終日のスタート前に右頬をブヨに刺され顔が腫れ上がり、ダンロップフェニックストーナメントでも顔が腫れ上がり、クラブを振れないほどになったことがあります。

そして2015年のダンロップ・スリクソン福島オープンでも同様に虫に刺されて患部が腫れ、氷嚢で冷やしながらプレーすることになり、今年の全米オープンでも開幕前に虫に刺され手首が動かないほど腫れ、その腫れを抑えるために患部にテーピングを巻きつけてプレーせざるを得なくなったりしています。

このように虫に刺されるとプレーができなくなるほどアレルギー反応が出てしまうという本人の体質の問題があります。

2. ブラジル国内でのジカ熱の流行を始めとする衛生面での問題
ゴルフは屋外でプレーする時間が長いだけでなく、林、池、草などの自然の多い環境でプレーすることになりますし、今回の会場付近にはワニやカピバラなどが生息するなど、自然が豊かです。

1日のプレーも18ホールを終えるのに5時間から5時間半は要し、その前の練習も含めれば10時間近く自然の多い環境にいることになります。

ジカ熱はヤブカ(Aedes)属の蚊によって媒介される感染症のため、ゴルフは危険度の高い競技であることは否定できません。

日本の厚生労働省によると発熱、斑状丘疹性発疹、関節痛・関節炎、結膜充血が半数以上の症例に認められ、筋肉痛・頭痛、後眼窩痛、その他にめまい、下痢、腹痛、嘔吐、便秘、食欲不振などをきたす場合もある。とのことです。

それに加えてギラン・バレー症候群や神経症状を認める症例が報告され、ブラジルでは妊婦がジカウイルスに感染することで胎児が感染し、小頭症児が多発していて、妊婦あるいは妊娠の可能性のある女性はジカ熱流行地への渡航を避けることが望ましいとされています。

痛みや発熱に対しては解熱鎮痛剤を投与する程度の対処療法しかなく、予防方法も日中に蚊(ヤブカ)に刺されないように、長袖服・長ズボンの着用、昆虫忌避剤(DEETを含むものが効果が高い)の使用が推奨されるくらいで、安全とは言い難いものとなっています。

そのためロリー・マキロイ、ジェイソン・デイなどの世界のトッププレイヤーは、このジカ熱を理由に辞退しています。

松山英樹が虫に刺されやすいところがあり、さらに強いアレルギー反応がありますので、ジカ熱を気にするのは、ごく自然なことと言えます。

3. 治安の問題
ブラジル、特にリオデジャネイロはお世辞にも治安が良いとは言えず、オリンピックの大会期間中の緊急指定病院となっている開会式開場近くの病院が襲撃されています。

オリンピックの公式な医療機関が襲われているわけで、治安が十分とは言えません。

また警備する側も十分とは言えません。

「地獄へようこそ」という横断幕で、下には「警察官も消防士も給料を支払ってもらっていない、リオデジャネイロに来る人は誰も安全ではない」と書かれています。

リオデジャネイロ州5700億もの財政難となっているとの報道もあり、社会自体が経済的に苦しく不満が鬱積しています。さらに警備をする側にも給料は十分には支払われていないようで、治安に大きな不安があります。

松山英樹が出場辞退を発表した後に、ゴルフ競技の選手派遣の責任者である倉本昌弘会長は以下のように述べています。以下はゴルフダイジェスト・オンラインからの引用です。

“松山選手の出場辞退は残念であるが、彼の決断を尊重したい”旨のコメントを発表。その上で、「先週、日本のテレビクルーが全部ものを取られたという話も聞いたし、選手が不安になるのは致し方ないと思う」などと、自身が把握している現地情勢も踏まえ、改めて松山の決断に理解を示した。

ゴルフに出場している選手は基本的に高収入で、多くの資産を持っていますので、誘拐などのターゲットになってもおかしくありません。

さらにゴルフの開催コースは敷地が広大でセキュリティを確保するのも簡単ではありません。

このように本人のアレルギー体質、そして本人に同行するキャディを始めとするメンバーの健康面、安全面なども考慮した結果、出場を辞退したようです。

私利私欲を優先するのであれば、早々に辞退することもできたのですが、本人がぎりぎりになるまで決断を迷ったことからも、「五輪で国を背負うことは大事」であることを認識していたためです。

またプロゴルファーは獲得する賞金で生計を立てている個人事業主であり、オリンピックではなくマスターズを始めとする四大メジャーを中心として動いています。

オリンピックを中心としたスケジュールが組まれ、それに合わせて強化プログラムやスケジュールが組まれているアマチュア選手とは大きく事情が異なりますので、プロ選手が辞退することは個人の選択として許されるべきものではないかと言えます。

また本人は「難しいですよね。東京(五輪)だったら(雰囲気や状況が)分かるけど」とスポーツ報知のインタビューで答えています。

リオではなく東京であれば出場を決断しやすいと話していることからも、オリンピックそのものの価値を否定したり、賞金が出ないことなどを問題視したりしているわけではなく、あくまでも健康面、安全面などを重視していることがわかります。

松山英樹の決断に対して、「私利私欲を優先した」というような的はずれな趣旨で批判するメディアも現れるかもしれませんが、客観的に冷静に判断すれば、決してそうではないということがわかるのではないかと思います。

最後に松山英樹の所属事務所を通じての公式なメッセージです。

 さて、このたび、私、松山英樹はリオデジャネイロ開催のオリンピックにおける、ゴルフ競技出場辞退を決意いたしました。

 ゴルフがオリンピック正式種目に採用されたことは大変嬉しく、オリンピックで活躍することにより日本の皆様にゴルフの魅力を伝え、競技発展に大きく寄与できることは重々承知しております。

 しかしながら、関係者から情報はいただいてはおりますが、開催地リオデジャネイロにおけるジカ熱および治安に関する不安を十分に払拭出来ませんでした。私は虫刺されに対して極度に強い反応が出る傾向があり、これまで何度も虫刺され部位の化膿による影響で十分な態勢でプレーに臨めない事態に見舞われました。こうした不安を抱えながらでは、世界と戦う上でベストなコンディションで臨めないと考え、苦渋の決断ではございますが、辞退を決意した次第です。

 ゴルフがオリンピック正式種目として採用されるに当たり、関係者の皆様の多大なるご尽力には大変感謝しており、また、世界ランキングの日本人選手最上位選手が欠場することでご迷惑をおかけするのは本意でございませんが、何卒事情ご賢察の上、ご理解頂ければ幸いです。

 末筆ながら、オリンピックにおけるゴルフ競技が盛況に終わりますこと、また、日本代表選手の皆様のご活躍を心よりお祈り申しあげます。

敬具

松山英樹

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9 Responses to “松山英樹はリオオリンピックの出場をなぜ辞退したのか?その苦渋の決断に至った理由とは”

  1. ニャン丸 より:

    当然の帰結ですね。

    しかし、自分の周りでゴルフを見る人々も決してこの決断の理由を知りません。
    正しく報道される事を願いますが、恐らく無理でしょうね。

    周囲の報道にカリカリせず、メジャーを楽しみにするのみですね^^;

  2. ゆり より:

    おはようございます。
    お疲れ様でした。
    オリンピック出場辞退を語った松山選手・・
    個人的にはこの決断を待ってました。
    虫刺された後のあの腫れは普通じゃないとは
    思ってましたが「アレルギー」症状だったのですねぇ・
    自分の事だけじゃなく「チ-ム松山」の方達の
    心配もありますしねぇ・・心の内を察します。
    発表をきにスッキリとし・次戦メジャ-に向かって
    精一杯、力を出し伸び伸びと一段一段歩んで行って
    欲しいと願ってます。

  3. golf より:

    ゆりさん、コメントありがとうございます。
    私もこの決断で良かったと思っています。一旦アレルギー反応になると、どうしようもないので、賢明な決断だと思います。
    彼のことなので、チームの面々の健康とセキュリティも考えたはずです。
    的はずれな批判をする人たちが少なからず出てくるかもしれませんが、オリンピックは命をかけてまでやるものではないので、これで良いと私は思います。
    これでメジャーに集中できるようになったと思うので、少しでも良い成績が残せるように頑張ってもらいたいです。

  4. golf より:

    ニャン丸さん、コメントありがとうございます。
    プロの選手が、突然オリンピックに命をかけろと言われても難しいので、多くのトッププレイヤーが辞退していると思います。
    心ないことを撒き散らす人は出てくるだろうし、そういう人たちの心を満足させたり、逆に応援している人の気持を逆撫ですることを生業としているジャーナリストやメディアがいるので、色々と書かれるかもしれません。
    でも批判したい人は、批判材料を探して、叩くことしか考えていないので、シャットアウトして目標に向かって頑張ってもらいたいですね。

  5. PGA より:

    大変ご無沙汰しております。
    久々の投稿です。
    とはいえ、このサイトは毎日チェックしておりました。

    さて、完全個人的意見ですが、
    松山Pの最近の不調は、今回の件が大きく影響していたのではないか、と考えています。
    オリンピックが近づくにつれ、「正直参加したくない。しかし、現在の立場上出ざるを得ない・・・」「辞退したいがその後の世論の反応は・・・」などなど、いろいろと考える事が多く、ゴルフに集中できなかったのではいか・・・と。
    ゴルフは集中力が非常に重要ですが、集中できなかった結果が最近の不調だったのではと思うのです。
    golfさんの言われる通り、「批判」が必ず出るでしょう。
    ぜひ、これからのトーナメントで「批判」を払拭するような活躍をして欲しいです。

  6. golf より:

    PGAさん、かなりご無沙汰でしたね(^.^)
    お元気そうで何よりです。
    かなりオリンピックについては悩んでいたようなので、プレーへの影響が無かったといえば、それは嘘になるのかなと私も思います。
    この決断によって心の重荷が取れて、プレーの質が上がっていくことを願っています。批判したい人は、松山が何をやっても批判すると思います。
    はじめから批判を目的とする人、ジャーナリスト、メディアは参加したら参加したで、参加しなかった参加しなかったで、何かしら文句をつけてくると思います。なので、そういう人たちの言葉に惑わされることなく、頑張って行ってもらいたいです。松山が今回の決断をしたことを多くの人が支持していますし、多くの人が応援してくれています。なので、安心して彼には頑張ってもらいたいです。

  7. ジャッキー より:

    初めてコメントさせていただきます。いつも拝見しています。
    他の方のコメントにもありましたが、私も最近の不調はオリンピックのことが引っ掛かっていたのではないかと思いました。
    気が進まないけれど自分の立場としては出るべきではないか、と悩んでいたのではないかと。
    最近見たインタビュー記事に、日本から一人しか参加していなかったマスターズでの責任感、オープンで宮里勇作選手が代わりに頑張ると言ってくれてメチャメチャ嬉しくて涙が出そうだったとか、傍目から見て想像できないくらい繊細な青年なのではないかと思いました。
    決めたからにはふっきって、雑音に惑わされることなくツアーに専念して欲しいです。
    長文になって恐縮ですが、マスコミについては腹が立って以前投稿しようと思ったこともあるのですが、記事を読んだ人たちがゴルフ場で拡散するんで困ったものです。

  8. golf より:

    ジャッキーさん、コメントありがとうございます。
    色々と悩むことが多かった期間に、重要なトーナメントが続いたのは、少々可哀想でしたね。
    彼の決断が自分一人だけではない大きな影響があることをわかっていたがゆえの苦しみで、そして辞退すれば批判を受けることも想像できただけに、余計に苦しかったことと思います。
    練習ではできていて、実戦では出せないというのはメンタル面も大きかったと思います。
    オリンピックのほとぼりが冷めるまでは、気にならないと言えば嘘になると思いますが、少しは気がラクにはなったと思うので、良い方向に行ってくれることを願っています。

  9. goodshot より:

    golfさん
    いつもありがとうございます。

    良かった、良かったよくぞ決心してくれました。
    かわいい英樹がヤブカの餌食にされてはたまりませんからね。
    スッキリして全英へ、新しいドライバーじっくり調整してください。

    ちなみに、道具替えるとこんなにも違うもんですかね、僕もドライバー変えてみようかな。へへへ

    コメント不要です。

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