スタッツで見る松山英樹のPGAツアー2勝目 – ストロークスゲインド(Strokes Gained)でわかる優勝の要因

松山英樹がPGAツアー2勝目をウェイストマネジメント・フェニックスオープン2016で上げました。

完全アウェーをもろともしないメンタルの強さが優勝の要因となったのですが、スタッツの面においてはストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(ショットで稼いだ打数)が12.259でフィールド1位、パーオン率が77.78%(56/72)で1位になったことが優勝の大きな要因となりました。

それに加えて課題だったストロークスゲインド・パッティング(パッティングで稼いだ打数)が1.647で29位と上位になったことも、フィールドをリードするポイントとなっています。

その松山英樹の優勝をより詳細に分析したデータを、ゴルフアナリティクスの権威であるマーク・ブローディ(Mark Broadie)教授が公開しています。

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ストロークスゲインド(Strokes Gained)で見る優勝の理由

現在、PGAツアーの公式なスタッツとしてはストロークスゲインド・パッティングとストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーンが公開されています。

現時点ではティー・トゥ・グリーンと全てショットがまとめられているのですが、まだ正式なスタッツとはなっていないものの、ドライビング、アプローチ、ショートゲームに細分化したデータが既に算出されています。

つまりストロークスゲインド・ドライビング、ストロークスゲインド・アプローチ、ストロークスゲインド・ショートゲームという数字が出されているということです。

ここでいうアプローチとはミドルホールとロングホールのティーショットを除く100ヤード以上のショット、ショートゲームとはグリーン上でのパットを除くカップまで100ヤード以内のショットを指します。

ストロークスゲインド・ドライビングはミドルホールとロングホールの全ティーショットを対象としています。

マーク・ブローディ教授がウェイストマネジメント・フェニックスオープン終了後に公開した松山英樹の4日間のストロークスゲインド関連のスタッツは以下の表のとおりとなっています。

Strokes Gained Stats_WM Phoenix2016_Matsuyama

松山英樹はラウンドあたり3.5打をフィールド平均より稼ぎ続けたのですが、そのうち38%がアプローチ、27%がドライビング、24%がショートゲーム、11%がパッティングとなっています。

松山英樹は4日間で14アンダーを出し、フィールドの平均からは13.906ストローク上回ったのですが、その原動力となったのはショットで、しかも100ヤード以上のアプローチショットだっということです。

また14アンダーのうち、その89%をショット全体で作り出していたことになり、他の選手を圧倒する原動力となりました。

パッティングは11%とスコアへの貢献度に示す割合は大きくありません。そうなった原因は第3ラウンドに3パットが多くなってしまったためです。

しかし、それ以外の3日間はフィールドの平均を上回り続けるなどパッティングが全体としてみれば、良いといえるレベルにあったため優勝できました。

続いて、トップ10フィニッシュした選手のストロークスゲインドのスタッツの一覧です。

Strokes Gained Stats_WM Phoenix2016_Top10

トップ10の選手の中で松山英樹が優れている点が伺えるのがロングゲーム(ドライビング+アプローチ)です。

毎ラウンド3.5打はフィールドの平均を上回っていたのですが、そのうちロングゲームで2.2打も稼いでいます。

ブー・ウィークリーはロングゲームで2.4打稼いでいるのですが、ショートゲームとパッティングというグリーン周りが弱かったため優勝争いには絡めませんでした。

松山が試合後にリッキーのようにショットーゲームを磨かないといけないと話していましたが、数字にもリッキーのショートゲームの上手さは現れています。

松山と同様に3.5打平均でフィールドを上回ったのですが、そのうちアプローチが1.4(4位)、ショートーゲームが1.2(6位)となっています。

リッキー側から見た敗因は正規の72ホールでは最後の3日間でパッティングが決まらなくなったことです。

初日はストロークスゲインド・パッティングが4.7で1位だったのですが、翌日からは-0.4(70位)、-0.6(40位)、-1.2(50位)とチャンスを活かしきれませんでした。

実際にファウラーも敗因として以下のように話しています。

“I wish I would have putted better the last three days, but I made a lot of good swings.”

「もっと良いパッティングが最後の3日間にできていれば。でもたくさん良いショットはできた」という感覚通りにショットは4日間安定していましたが、パッティングで差を縮められてしまい、勝ちきれませんでした。

もちろん17番の池が一番印象的なシーンとなるのですが、その前にパットを2つ3つと決めていれば痛手にはならなかったということです。

一方の松山英樹はロングゲームとショートゲームともに上位になるなど、世界屈指のショットメーカー、ボールストライカーぶりを発揮しました。

それでも明らかに本調子ではない中、これだけの数字を叩き出していますので、今後が楽しみです。

実はスコアに占める割合はパッティングよりも、ティーショットと100ヤード以上のアプローチによるロングゲームの方が占める割合が高いことが、ブローディ教授の研究で明らかにされています。

統計的なデータの解析によるとこのロングゲームがプロとアマの大きな違いとなっているし、ツアー選手間での実力の差に大きな影響を与えているとブローディ教授は話しています。

そしてそれを裏付けるようにロリー・マキロイは以下のように話しています。

「よくショートゲームが得意じゃないと優勝できないと言われるけど、全然違う」

引用元:ゴルフデータ革命 P.156

そしてジャック・ニクラスもそれを支持して以下のように話しています。

「わたしもロリーと同じ意見だ。1ラウンドで15回パーオン、ロングホールで2回2オンして、10フィート以内のパットをすべて決めればいいのだから、ショートゲームの練習などわたしはしない。チップショットなどどうでもいい」

引用元:ゴルフデータ革命 P.156

この2人は「ロングゲーム」が一番スコアに直結し重要だと話していて、マーク・ブローディ教授の研究でもそれを裏付けるデータが公開されています。

そして世界の中でもトップクラスのコーチとして名声を得ていてジャスティン・ローズ、ハンター・メイハンのコーチを務めるショーン・フォーリーは教え子たちに徹底的にロングアイアンを練習させています。

このようにスコアメイクにおいて重要なロングゲームですが、ここでの強さが松山英樹の強さの秘密でもあります。

松山英樹は2014-15シーズンのPGAツアーでティーショットの精度と飛距離のバランスの良さを示すトータルドライビング(ドライビングディスタンスとファアウェイキープ率の順位合計)は12位。

そのティーショットに加えてアプローチの正確さを示すボールストライキング(トータルドライビングとパーオン率の順位合計)は9位といずれもPGAツアートップクラスで、非常にロングゲームに強いことがうかがえます。

松山英樹が世界最高峰のPGAツアーでもトップクラスの予選通過率、トップ10、トップ25回数を叩き出す原動力が実はロングゲームにあるということです。

そしてPGAツアー2勝目もこの本来の武器が生き、さらに苦しめられてきたパッティングが見事に噛み合ったことによるものと考えられます。

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4 Responses to “スタッツで見る松山英樹のPGAツアー2勝目 – ストロークスゲインド(Strokes Gained)でわかる優勝の要因”

  1. 八太郎 より:

    ストロークスゲインドと各スタッツの因果関係。 ※ まさに・・・・ゴルフも “ 科学 ” そのものですね。
    松山プロが職場である“PGA”で万全に戦うためにサポートする “ チーム松山 ”  メンバーは実践パートナーの進藤キャディ&通訳のB・ターナー氏&過酷な肉体疲労を癒す飯田トレーナー&気心通ずる阿部マネージャーで構成されているらしいですが、他の超一流プレーヤーがあと1枠絶対必要と断言するのは「メンタルトレーナー」とよく耳にします。
    ところが、暇人シニアの小生的には、今回の様なひょうひょうとした動じない松山プロには、今しばらくメンタルトレーナーの必要性は無いのでは・・・・と見受けます。今のまま、ゆったりとわれ関せずの姿勢を見続けたいと思うのは・・・孫を見る無責任な爺さんの心境なのかも知れませんネ。
    但し、golfさんのUPデーターの如く、ゴルフを科学的し、アスリートにも理解し易く&それとなくインプットできる頭の柔軟なアドバイザーがチームには加わって欲しいと思いますネ。( とっくに居ると云われそうですが・・・・!? )
    ~~~暇人シニアの戯言とお聞き流しください。~~~

  2. golf より:

    八太郎さん、コメントありがとうございます。
    ショーン・フォーリーみたいなコーチだと、技術的なことに加えて、メンタル面、そしてスタッツ面での分析もアドバイスもできるので良いと思います。でも、彼は自分で試行錯誤するのが好きなので、まだまだその可能性は低いと思います(^.^)
    このストロークスゲインドのスタッツは非常に面白いです。ノーザントラストオープンまでに、ストロークスゲインドに関する記事を1つ、もしくは2つアップできればと思っています。

  3. どうも より:

    golfさんスタッツ、海外メディア情報等アップ有難うございます。
    英語に弱い人間には、非常にありがたいです。
    松山プロも22才でのメモリアル以後、23才ぎりですがフェニックスに
    勝ってくれまして、以前golfさんが今年覚醒するかもしれないという言葉
    を思い出しました。一歩は踏み出したようですね。次戦は勝利の余韻の
    中での試合になりますが、松山プロは心配ないと思いますが、初心を忘れず、予選を突破して4日間楽しませてほしいです。24才での勝利を、
    golfさんそしてブログに集う皆様と、楽しみに待ちたいと思います。
    寒暖が激しくなるとの事、お体にお気をつけ下さい。

  4. golf より:

    どうもさん、コメントありがとうございます。
    持っている力を全て出しきって勝ったというわけではないところが彼の凄さだと思います。
    まだ完全に底を見せずに勝ってしまいましたし、これだけ高い完成度にありながらも改善の余地は多くあることが逆に魅力であり、ポテンシャルではないかと思います。
    この1勝が本格的なブレイクの序章になっていくのではないかと思います。
    簡単に勝たせてくれるような舞台ではありませんが、さらに研鑽を積んでやってくれると思います。
    お気遣いありがとうございます。しっかり楽しめるように、体調管理に気をつけたいと思います(^.^)

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