スタッツと成績で見る石川遼の2014-15シーズンのPGAツアー

2014-15シーズンの最終戦となるツアーチャンピオンシップが9月27日に終わったのですが、オープンウィーク2週を挟んだだけで、2015-16シーズンが開幕します。

石川遼の2015-16シーズンはPGAツアーのフル参戦4年目となるのですが、そのシーズン開幕を迎える前に、その3年間のスタッツとフライズドットコムオープンからザ・バークレイズまでの2014-15シーズン期間の成績を元に分析してみたいと思います。

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目次

5000文字を超える長文となりましたので、目次を作りました。

2014-15シーズン期間の成績での石川遼の分析

このブログはあくまでもPGAツアー基準であり、石川遼の主戦場もアメリカとなっていますので、あくまでもシーズンの区切りはPGAツアーのスケジュールとなっています。

2014-15シーズンの開幕戦となったフライズドットコムオープン2014から、石川遼のシーズン最終戦となったザ・バークレイズ2015の期間の成績と世界ランクの推移は以下の表のとおりとなっています。

SOF:フィールドの強さ(カッコ内はPGAツアー内でのランク)
Rank:世界ランク
Ryo Ishikawa Results_2014-15

この期間にアメリカで28試合、日本で5試合に出場しています。

アメリカの28試合ではトップ10が2回、トップ25が5回、予選通過が17回、予選落ちが11回となっています。

2013-14シーズンは24試合で2位を含むトップ10が3回、トップ25が9回、予選通過が14回、予選落ちが10回でした。

これらの成績からもわかるようにPGAツアーのフェデックスカップ年間ランキングが72位から122位に下がってしまうのも仕方のないシーズンでした。

一方の世界ランキングでは、この期間でポイントを32.72ポイント獲得したのですが、その内訳は日本が1.62ポイント、アメリカが31.10ポイントとなっています。

シード権確定が最終戦までもつれたことからもわかるように、結果をあまり残すことができず、世界ランクは開幕戦終了時点の82位から198位まで落としてしまいました。

そのため世界ランクが重視されるメジャーやWGCには思ったようには出場できず、、2014-15シーズンはメジャーに1試合しか出場できていません。

そのためPGAツアーのシーズンオフに、日本ツアーで世界ランキングのポイントを稼いで、メジャーに出場するためのランクを確保しようとするのは、戦略上悪くはないものです。

ですが、PGAツアーで上位フィニッシュをして世界ランキングを上げることができるようにならないと、世界での評価は上がっていきません。

2015-16シーズンは主戦場とするアメリカでポイントを稼いでランキングを上げてくれることを期待しています。

スタッツで見る2014-15シーズンの石川遼

石川遼の2014-15シーズンのスタッツと、前シーズンの2013-14シーズンのスタッツとの比較、そして2013シーズンのスタッツは以下の表のとおりとなっています。

Ryo Ishikawa Stats_2014-15

2013シーズンはシードを確保することができず入れ替え戦にまわったことからもわかるようにスタッツが良くないのですが、72位となった2013-14シーズンは多くのスタッツが向上していました。

そのため2014-15シーズンでのさらなる成長を期待していたのですが、残念ながらほとんどのスタッツが前シーズンを下回るものとなってしまいました。

プレーヤーの総合力を示すスタッツであるストロークス・ゲインド・トータル(フィールドの平均とスコアの差)と平均スコアでは、それぞれ0.255の73位から-0.095の120位、70.98の108位から71.25の129位に落ちてしまいました。

このように2014-15シーズンはなかなかスコアをまとめることができなかったのですが、その原因となっているのがバーディ率の低下とボギー回避率の悪化です。

2013-14シーズンではバーディ率が3.89で10位と上位になり、ボギーが多いこと(ボギー回避率17.56%で113位)をある程度カバーできていました。

しかし、2014-15シーズンではバーディ率が3.70で67位とバーディ数が減った上に、ボギー回避率は17.93%で159位となるなど、ボギーが増えたため平均スコアやストロークス・ゲインド・トータルのスタッツも落ちざるを得なくなりました。

バウンスバックに関してもバーディ数が減り、ボギーが増えていますので、2013-14シーズンより数字が落ちて1.599の46位から1.609の81位となっています。

では、なぜバーディが減り、ボギーが増えてしまったのかというところを大まかにショットとパットの全体を見れるスタッツで確認したいと思います。

ショットやパットも様々な指標があるのですが、細分化されて詳細ではあるものの全体像をなかなか捉えることができません。

しかしストロークスゲインドのスタッツでは、ショットがどれだけスコアを伸ばす/落とすことにつながったのか、パットがどれだけスコアを伸ばす/落とすことにつながったのかという観点で、ショットとパットの実力を総合的に見ることができます。

そのストロークスゲインドのスタッツではストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(ショットで稼いだ打数)は0.159の84位から0.009の100位と16ランクダウンし、ストロークスゲインド・パッティング(パッティングで稼いだ打数)では0.096の81位から-0.103の133位と大きくランクダウンしました。

ストロークスゲインドトータルは0.350落ちたのですが、そのうちショットが0.150、パットが0.199という割合になっています(注:端数処理があるため純粋に足しても0.35とはなりません)。

このことからわかるように成績が前シーズンよりも悪化したのはショットの全体の精度などが悪くなったこともあるのですが、それ以上にパッティングによるものだったということが、この数字からわかります。

ショットの細かいスタッツを見るとドライビングディスタンスは291.0ヤード(80位)から289.2ヤード(100位)、フェアウェイキープ率は53.26% (169位)から56.39%(156位)となっています。

そしてフェアウェイを捉えることができなかった時に、フェアウェイの端からどれだけボールが離れたところに落ちたかを示すフェウェイエッジからの距離は33′ 0″の172位から30′ 4″の147位に改善しています。

このことからわかるのは飛距離はやや落ちたもののフェアウェイキープ率の数字自体はやや向上し、しかも外れた時の外れ方も小さくなっています。

トータルドライビング(ドライビングディスタンスとファアウェイキープ率の順位合計)も159位から170位となっていますので、ティーショットが課題ではあるのですが、前シーズンよりも著しく悪くなったわけではありませんでした。

またパーオン率は64.96%の92位から66.41%の92位と推移し、割合自体は向上していますし、順位は横ばいです。そしてアプローチショットのボールとピンまでの平均距離を示すプロキシミティ・トゥ・ホールは35′ 5″に73位から34’0″の32位と向上しています。

ラフからのアプローチショットのボールとピンまでの平均距離を示すラフプロキシミティーは45’1″に124位から43’0″の58位に。

そしてバンカーからのアプローチショットのボールとピンまでの平均距離を示すプロキシミティ・トゥ・ホール・フローム・サンドは8’7″の49位から8’9″の43位と横ばいになっています。

このようにアイアンは横ばい、もしくはやや向上していることを示す数字が残っています。

これらのショットのスタッツ全体を俯瞰してもわかるようにティーショットを含めたショット全般が、2014-15シーズンに苦しんだ一番の理由ではないと考えられます。

では何が問題だったのかというとになるのですが、不振の大きな原因はグリーン上、パッティングだったと考えられます。

パーオン時の平均パットは1.734の6位から1.748の32位、3パット回避率は2.22%の29位から3.03%の96位に低下していますので、よりバーディを奪えなくなり、ボギーが出やすいパッティングの状態だったことがわかります。

そのためパッティングの総合力を示すストロークスゲインド・パッティング(パッティングで稼いだ打数)とトータルパッティング(パッティングの各指標の順位を総合した指標)は、それぞれは0.096の81位から-0.103の133位、179.6の80位から243.8の135位と大きくランクダウンしました。

フェアウェイキープ率とパーオン率は向上し、フェアウェイ、ラフ、バンカーからのアプローチも良くなったか、横ばいにも関わらずサンドセーブ率やスクランブリング(パーオンできなかったホールで、パーもしくはバーディであがれた割合)が前年より悪くなってしまっているのも、グリーン上でスコアを落としてしまったためです。

ティーショットの問題が大きくクローズアップされることが多かったのですが、実はパッティングのスタッツが低下していることが、シーズン全体の成績を引き下げる原因となっていたと考えられるスタッツのバランスとなっています。

2014-15シーズンの総括と来季の展望

スタッツが悪くても優勝できてしまう選手がいるのも事実です。

クイッケンローンズナショナルのトロイ・メリット、フェデックスセントジュードクラシックのファビアン・ゴメスなどはスタッツが良くありません。

その2人の2014-15シーズンの成績とスタッツは以下のとおりとなっています。

【ファビアン・ゴメス】

  • 26試合-優勝:1回/トップ10:2回/トップ25:4回/予選通過:16回/予選落ち:10回
  • SG-T2G:-0.462(156位)
  • SG-Putting:0.059(93位)
  • SG-Total:-0.403(145位)

【トロイ・メリット】

  • 29試合-優勝:1回/トップ10:3回/トップ25:3回/予選通過:16/予選落ち:13回
  • SG-T2G:-0.633(166位)
  • SG-Putting:0.385(22位)
  • SG-Total:-0.248(130位)

スタッツが悪くても勝ってしまう可能性が高いスポーツの1つがゴルフです。

ジョーダン・スピース(25戦5勝/勝率.200)、ジェイソン・デイ(20戦5勝/勝率.250)、ローリー・マキロイ(12戦2勝/勝率.167)の新ビッグ3の勝率を見ても、実力がある選手がいつも勝つスポーツではないことがわかります。

というのもゴルフは天候、風、そしてボールのキックする方向や角度、止まる場所のライなど、選手が完全にはコントロールできない要素があまりにも多く、勝敗が運に左右されやすいためです。

そのため、低迷していても、たまたまそのトーナメントでショットとパットが噛み合って勝ってしまうというケースが少なくありません。

しかし、その運に大きく助けられて優勝した選手というのは1勝だけで終わり、複数年シードが切れた後はPGAツアーから姿を消してしまうことが少なくないのも事実です。

トロイ・メリット、ファビアン・ゴメスの2人は優勝したもののメディアで高く評価されてはいません。というのも優勝以外の試合の成績が良くなかったり、シーズン全体のスタッツが良くなかったりするためです。

スタッツが良ければ優勝できるというものではないのがゴルフではあるのですが、長くPGAツアーで活躍している選手たちは弱点はあっても総合的に見てスタッツのバランスが良くとれています。

そのバランスが欠けているためトロイ・メリット、ファビアン・ゴメスの2人の評価は高くなっていません。

石川遼の2014-15シーズンのスタッツはファビアン・ゴメスよりは良いものです。そのため仮に石川遼が、昨シーズン同様のスタッツで新シーズンを戦ったとしても、優勝できる可能性はあります。

ただ、長くPGAツアーでシードを守りながら世界で活躍するためには、少なくとも2013-14シーズンレベルのスタッツのバランスにはしてもらいたいところです。

2014-15シーズンに苦しんだことが、糧となり、土台となるかは、その経験から多くのことを学び、改善できたかにかかってきます。

2013-14シーズンにはスタッツが向上していたので、2014-15シーズンでのさらなる飛躍に期待していたのですが、残念ながらそうはなりませんでした。

しかし、その昨シーズンの経験を活かして、成績と内容が向上した2015-16シーズンとしてくれることを期待しています。

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6 Responses to “スタッツと成績で見る石川遼の2014-15シーズンのPGAツアー”

  1. toki より:

    おはようございます。
    細かい石川選手のスタッツをありがとうございました。
    やはり、長くPGAでプレーするには、どうしてもスタッツの底上げが必要なことが良く分かるgolfさんの分析ですね。
    golfさんの『2014-15シーズンに苦しんだことが、糧となり、土台となるかは、その経験から多くのことを学び、改善できたかにかかってきます。』に、今シーズンを託すしかないですかね。
    この1年、私も感じていたパッティングの下手さ加減が、苦しんだ原因だったのも良く分かりました。
    ドライバーの飛距離は一つのアドバンテージであることは確かですが、以前から指摘されていた精度重視に目が向かないのですかね。
    本人は飛距離に対して「そこは常に追求していくと思います。」と言っていますので、今年も苦しむのですかね(苦笑)。
    プレジデンツカップでの松山選手の最終ホールでの勝利は感激しましたが、時折、手首などをさすっていたのが気になりました。
    すぐそこに迫った初戦を、是非、三人での揃い踏みが見たいものです。

  2. golf より:

    tokiさん、おはようございます。
    ティーショット以上に、パッティングが向上すれば、成績が一気に良くなるのではないかなと思っています。
    ラフやバンカーからのアプローチもうまくなっているのでピン近くに寄せたり、フェアウェイからピンに絡むようなショットを打ったりしながらも、パッティングでチャンスを逃していることが2014-15シーズンは目につくようになりました。
    個人的には精度重視でパッティングを磨いたほうが、PGAツアーの優勝に近づき、楽にシードも確保できると思うのですが、それは本人が追求したいゴルフではないようです。
    本人のその試みがどういう結果を生み出していくのか、開幕戦から見ていきたいと思います。
    松山英樹も岩田寛も強行軍であること心配ではあるのですが、体調万全であるならば、私もフライズドットコムオープンでの3人揃い踏みを見たいです。

  3. タカシ より:

    石川遼選手の分析ありがとうございます。
    先日のダイヤモンドカップで石川遼選手を見ましたが、PGAツアーに向けて色々と試していると感じました。ただパットの練習はあまりやっていませんでしたが。。
    松山選手や岩田選手とともに活躍を期待したいですね。

  4. golf より:

    タカシさん、コメントありがとうございます。
    元々、この分析はやる予定だったのですが、お役に立てていれば幸いです。
    ティーショット、特にドライバーに対するこだわりがあるので、そこに対する意識が強いみたいですね。
    パッティングが良くなれば、もっと楽に結果が出ると思うのですが、本人が追求したいスタイルがあるようなので、どうなっていくのか見守っていこうかと思います。
    今の試みが新シーズンでの良い結果につながることを願っています。

  5. lav より:

    分析お疲れ様です。

    分析結果を見て、どうも引っかかってたところがあったんです。

    というのは、フェアウェイキープもパーオンも向上してるのに、なんでSGTもSGT2Gも悪化してるのかな?というところでした。
    また、ボギー回避率(ボギーレシオと根拠となる数字が同じで分母と分子が入れ替わってる?)も前年よりそんなに下がってないし、むしろ、2013シーズンより良いんです。
    スクランブリングも2014より良い。

    はて?と。

    そこでざっとスコアカードを斜め読みしてみたんですけど、
    正確には数えませんでしたが、ダブルボギー(より悪いのも含む)を叩いてるのがちらほら見受けられるなと。
    おそらくダブルボギー回避率なるスコアとランキングがあるなら、かなり下位に位置してるかとおもいます。

    そうなったときに考えられるのは、フェアウェイキープできずにパーオンできずとなった場合には数回に1回の割合でダブルボギーオンかそれより悪いということもあったのかと。
    そうなってしまえば、1パットで抑えてもボギー、2パットならダブルボギーですからね。
    その原因としては、池や林に落としてアンプレになったというケースがほとんどでしょう。

    ですので、やはり今シーズンについては大怪我しないゴルフを目指してほしいですね。

  6. golf より:

    lavさん、コメントありがとうございます。
    ボギー回避率自体は、ボギー数だけでなく、ダブルボギーやトリプルボギーなどを含んでいますが、ボギーもそれ以上悪いスコアも同じ1回とカウントされている点で、正確な問題を浮き彫りにできないという問題があります。
    lavさんのご指摘通り単にボギー数が多いだけでなく、ダブルボギーやトリプルボギーが多く、その場合の多くがウォーターハザード、OB、そうではなくてもただフェアウェイに出すだけになっていることが原因です。
    つまりグリーンに行く前にボギー以上が確定してることが少なくないため、ストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(ショットで稼いだ打数)が悪くなっていると思います。
    このあたりの内容は将来的にストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーンのスタッツが細分化されたときに見えてくる気がしています。
    今Tee to Greenとひとまとめになっていますが、実際にはティーショット、アプローチ、それもラフやバンカーからのアプローチなどに細分化して数値化できているようなので、将来的にはもっと細かいストロークスゲインドのスタッツが公開されるのではないかと思っています。
    それが公表されれば、もっとより正確に現状を把握できると思います。
    兎にも角にも、ティーショットがあまりに変なところにいかなければ、アイアンは悪く無いのでパーオンができます。ティーショットの精度とパッティングの向上がポイントになるかなと思っています。

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