観客動員数で見るPGAツアーと日本男子ゴルフツアー(JGTO)の格差

ゴルフ豆知識キャッチ

世界のゴルフ界では競技人口の減少に危機感を抱く声があり、生き残っていくために様々な方策が練られれています。

しかし、ナイキは用具事業から撤退し、アディダスはゴルフ事業が重荷になっているためテーラーメイドを売却する方向性となっています。

そのような世界的な趨勢の中、日本男子ゴルフツアー(JGTO)は開催試合数と観客動員の低迷に直面しています。

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日本男子ゴルフツアー(JGTO)の年間観客動員を一つのイベントで上回るUSPGAツアー

日本ツアーは1991年のピーク時には年間で98万6000人が動員されていますが、2015年には33万6427人までに落ち込んでしまいました。

若い世代のゴルフへの関心の低下、スター不在など様々な問題が指摘されていて、これを改善するのは容易ではないところまで落ち込んでいます。

では、アメリカのPGAツアーの観客動員はどうなっているのでしょうか。

PGAツアーに関してはイベント毎や年間の観客動員数などは公式にはリリースされていないようで、アメリカメディアでも大々的に報道されてはいません。

ですが、2016年の2つのトーナメントを取り上げて比較するだけでも、日本ツアーとPGAツアーの差は歴然です。

松山英樹がPGAツアー2勝目を上げた2016年のウェイストマネジメント・フェニックスオープンは、これまでの記録であった2014年の56万4368人を上回る61万8365人の観客を集めました。

その内訳は月曜日から水曜日のトーナメント開催前に9万596人。木曜日の第1ラウンドが10万1021人、第2ラウンドが16万415人、第3ラウンドが20万1003人。最終ラウンドが6万5330人となっています。

通常のトーナメントであれば、日曜日の最終ラウンドに観客が増えるのですが、この日はアメリカで最も人気が高いプロスポーツイベントであるNFLのスーパーボウルが開催されるため、ギャラリーが減少しています。

そのようなビッグインベントとバッティングしなければ、第3ラウンドと同様の20万人が最終ラウンドにも訪れた可能性が十分あります。

スーパーボウルと重なるという大きなハンデがあるにも関わらず、その観客動員は61万人と日本国内男子ツアーの年間観客動員数の2倍近くとなっています。

このウェイストマネジメント・フェニックスオープンは、PGAツアーのトーナメントの中でも図抜けて観客動員が多いのは事実です。

ですが、フロリダで開催されるホンダクラシックの観客動員を見ても、PGAツアーと日本ツアーとの差は歴然です。

2016年のホンダクラシックはアダム・スコットが制したのですが、4日間の観客動員数はこれまでの最多記録を9,076名更新する20万2,128人を記録しています。

ホンダクラシックの2015年大会は悪天候で長い中断があり、プレーオフが月曜日となったのですが、その月曜日も含めて16万5,200人の観客動員となっています。

悪天候でサスペンデッドが繰り返されたトーナメントであっても、2015年の日本ツアーのおよそ半分の観客を一つのイベントで動員していることになります。しかもホンダクラシックがPGAツアーで2番目に集客力があるトーナメントということではありません。

PGAツアーのトーナメント別で2番目の観客動員となっているのはトラベラーズチャンピオンシップで、その記録は40万人弱とされています。

このような現実を見れば、スポンサーがPGAツアーと日本ツアーのどちらに魅力を感じるのかは明白で、一つのトーナメントの賞金総額がPGAツアーと日本ツアーで大差がつくのは必然のことと言えます。

日本ツアーの賞金総額で一番高額なのは日本オープン、HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP、三井住友VISA太平洋マスターズ、ダンロップフェニックス、カシオワールドオープンの2億円で、優勝賞金の最高額は4000万円となっています。

一方のPGAツアーではメジャー、WGC(世界ゴルフ選手権シリーズ)といったトーナメントを除くと、松山英樹が7位タイとなった2016年のプレイヤーズチャンピオンシップが一番高額となるのですが、賞金総額が1050万ドル(1ドル102円で10億7000万円)、優勝賞金が189万ドル(1億9278万円)となっています。

ちなみに松山英樹のプレイヤーズチャンピオンシップの7位タイでの賞金は33万8,625ドル(約3400万円)、ウェイストマネジメント・フェニックスオープンの優勝賞金は117万ドル(約1億1900万円)となっています。

そしてPGAツアー公式サイトのアクセス数も月間で950万ユニークユーザー、月間閲覧数は3800万と発表されていて、その規模は桁違いです。

タイガー・ウッズがプレーできない状態が続いていたPGAツアーですが、タイガーが去った後の時代も見据えて準備をしていたこともあり、隆盛が続いています。

賞金総額と獲得賞金において、これほどの差がPGAツアーと日本ツアーについているわけですが、観客動員の差を見れば、当然のことと言えます。

日本ゴルフ界の責任者のひとりでもある評論家、テレビ解説者が「アメリカの賞金は高すぎない?」と話していましたが、現状を冷静に、かつ客観的に比較・分析すれば、大きな差がつくことは当然のことと言えます。

このような高額の賞金設定でも冠スポンサーが次々と現れる魅力を提供しているわけですから、ここは素直にPGAツアーの手腕と経営能力を称えるべきではないかと思われます。

日本ゴルフツアーの低迷は、スター不在という目に見えやすいこと以外にも多くの問題を抱えていることが原因です。

特定の選手が出場することで観客動員のアップを期待する、そして観客動員が百人単位、千人単位で増えたのを取り上げて○○効果と騒ぐ。

そして期待通りにならなければ、期待はずれと叩くということをやっているようでは、根本的な問題から目を背けているだけで、PGAツアーとの差は開くばかりです。

そもそも問われるべきは、選手個々人の人気ではなく、ツアー運営側の経営手腕です。

過去の栄光や成功体験に頼ろうとするのではなく、現実を受け入れて、謙虚な姿勢で日本ツアー(JGTO)の改革がなされていくことを願ってやみません。

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6 Responses to “観客動員数で見るPGAツアーと日本男子ゴルフツアー(JGTO)の格差”

  1. テシ より:

    USPGAツアーの試合は見たことなく、日本の男女の試合のみ観戦経験がありますが、個人的には日本は男子はまた観に行こうとは思わず、女子はまだ観に行ってもいいかなという印象ですね。
    松山選手や石川選手などUSPGAの選手が参加するなら別ですが、このレベルの選手な参加するとなると現地に行っても観戦者が多く、あまり近くで観られないのは残念に思いますね。
    USPGAはこの集客の多さで、どのように来客者に対して価値を提供しているのか気になりますね。
    20万人も日本のゴルフ場に入ったらとんでもないことになりそうと想像しちゃいますね。

  2. golf より:

    テシさん、コメントありがとうございます。
    PGAツアーでは観客を多く収容できるコースでないと、不向きなコースとして自然淘汰されていく感じでしょうか。
    また時代遅れになって対応しきれなくなると改修なども積極的にやっています。
    日本のコースでプロトーナメントを開催すること、多くの観客を収容することを想定しているコースそのものが少ないので、20万人というようなギャラリーには対応しきれないだろうと思います。
    後は日本のように一組だけに集中するということはないことも成立している理由ではないかと思います。多くの注目組があるので、観客は応援している選手のところにバラけていきますので。またPGAツアーでは支払う金額プラスすることで、良い席を確保できたりもするようです。
    後は、ファンが会場全体の動きを楽しめるような仕掛けも用意されていて、現在のショットトラッカーもその一つとして開発された面があるようです。ゴルフ以外にも楽しめるような要素を準備していて、その地域のイベントのような面も持たせていて、トーナメント運営側の地域へのチャリティもかなり積極的です。
    松山が優勝したメモリアル・トーナメントは1976年から2014年までに2350万ドル(約24億円)もオハイオに寄付しているようです。トーナメントに対する考えかたも大きな違いがあるように思います。

    国内でも女子の場合はティーを下げることで、難易度を上げることもできますが、男子は限界があるので、日本ではなかなか世界基準の実力を身につけにくいと思います。
    プロアスリートが競技するためのコースが少ないというのが日本の実情で、それが日本選手が低迷し、さらにファン離れの原因になっている気がします。

  3. ニャン丸 より:

    言ってしまえば日本とアメリカのスポーツに対する成熟度、理解の違いですかね。
    欧米ではスポーツは生活の一部として根付き、1つのジャンルとして確立されていますが、日本では「芸能の中の1ジャンル」に過ぎません。
    これは国民性の影響なのか、環境の違いなのか分かりませんが、全スポーツに言える事ですね。唯一の例外はプロ野球と言えるでしょうか。プロ野球が無くなったら多くの人が悲しむでしょうが他は残念ながらそうでもないでしょう…

    女子ツアーはそんな中頑張ってますね。あれも残念ながら「ゴルフ」が人気を得たのとは違いますが、客を増やすために努力し、結果を出しているので素晴らしいことですね。

  4. golf より:

    ニャン丸さん、コメントありがとうございます。
    スポーツを奥深いところで楽しもうとするファンが欧米のほうが多い気がします。野球でも、ゴルフでもメディアが提供している情報も中身が濃いものが多く、とても成熟しているように思います。
    女子ゴルフは今のところ上手く行っていると思いますが、男性が女性を目当てにいっている感がするような歓声も多いので、どこまで長続きするのかなとは思ったりします。女子ゴルフの観客の年齢層と男女別の構成まで見てみたら、そのあたりもわかるとは思いますが。
    もし女子ゴルフに若い世代が多く詰めかけているのであれば良いですが、そうでなければ男子ゴルフよりスピードが遅くなるだけで、いずれは苦しくなる気はします。女子ゴルフも中長期的に見たら安泰とは言えないかもれしないので、早めに若い年齢層のファンが増えていく努力が必要になるのではないかと思います。今の隆盛があるうちに、次の一手を打ってもらいたいです。PGAツアーはその点でも運営が巧みだったように思います。タイガーの人気に胡座をかかなかったので。

  5. sama より:

    日本ではスポーツというのは大抵
    観客の見える範囲ですべて行われている。
    (競技する舞台がすべて見える柔道、テニスなど)

    ゴルフは、これとは真逆(舞台が広大で1ホールも長い)
    選手のショットが300ヤード先まで届くので今のショットが良かったか悪かったかわかり辛い
    ホール毎の結果ならわかるが、優勝者となると、4日目の最終ホールまで判明しない。
    など、ライトな観客が競技の全体像を把握し辛い。
    コアなファンならそれはそれで楽しむ方法も知ってはいるのだろうが
    やはりライトな層にわかりやすい運営方法にしないと観客増は見込めないだろう。

    なにより、会場まで遠い。

    と、今まで観戦したことのない人は、上記のようなことを思っているのではないかな?

    一度見てみると、印象がガラリと変わってくるのだろうが
    ゴルフってわかり辛いという印象を持たれているように思う。
    運営側も組織側もいろいろと試行錯誤しながら改善しているのだろうけど
    その取り組みが伝わらない(伝えていない?)ので
    観戦する前から敬遠されているようにも思う。

    まぁなにより、会場が大人数を収容することを想定していないから
    マスコミや業界もプッシュするのを躊躇っているように思う。
    (現場混乱してしまっては元も子もないし)

    これをマスコミやスポンサーと連携してそういう印象を変えていく試みを今以上にしないと観客増は難しいだろう。

    わかりにくい長文ですみません。

  6. golf より:

    samaさん、コメントありがとうございます。

    ライトなファンが楽しめるようなものになっていないというのは私もそうだと思います。また、日本のゴルフコースは特にアクセスが悪いところが多く、車を持たない割合が増えている若い世代にとって足を運びにくくなっているところもあると思います。

    会場の収容人数に関しては現在の3倍近くを収容していた時期もあるので、それくらいまでは扱えるのだと思います。また女子ツアーでは少なくとも男子ツアーの1.5倍から2.0倍の観客動員をさばいていますので、日本のコースであってもキャパシティに余裕はあるはずです。
    ですが、観客動員を増やす方法がわからないので、増えないのだと思います。増やす方法がわからないので、選手の人気に頼ろうとしているのだと思います。

    そもそも運営側が客が来たら困るというほどの観客動員数でないにも関わらず、動員をためらう、そして取り組みを伝えていないとすれば、それはやはり運営側の落ち度と力不足だと思います。

    今はスマートフォンがあるので、ライトなファンでも楽しめるような、会場全体の様子がわかる工夫もできると思います。それをやっているトーナメントもあるのですが、テレビ放送との兼ね合いで途中で止めたりしています。とにかくファンが楽しめるようにということが第一にはなっていなくて、スポンサーありきの面が強いと思います。

    プロアマの充実というのもファン目線ではなく、スポンサーに気に入ってもらうための接待を充実をさせようとしているように見受けられます。

    一つのトーナメントの主催になるだけで億単位の金が動くのに、プロ・アマでの接待が良いだけで、今のシビアな経済情勢の中で一流企業が簡単に腰を上げるとは思えません。

    トーナメントに多くの人が集まる、多くの人が関心を持っているのであれば、スポンサーにつきたい会社は増えていくわけですから、ファンを楽しませること、ファンが来たいという思いにさせることに、主眼をおくべきだと思います。

    海外ツアーをメインとする選手の出場義務試合数、岩田寛の日本オープンのエントリーに関するペナルティなどなど、ファンが不在なものが多くあります。

    スポンサーを大切にしていれば、ファンがいなくても大丈夫なわけではないと思います。ファンが多くいるからこそ、そこでアピールできるのでスポンサーが集まるというものだと思います。

    かつては観客動員がダメだった野球の球団が成功しているのは、ファン目線に立てているからだと思います。残念ながらJGTOはそれが決定的に欠けていると感じます。

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