ゴルフのスコア・成績への重要度が高いのはショット?それともパット?トップランカーの成績で検証

パット・イズ・マネーというゴルフの有名な格言があります。

重要なパッティングを決めないと優勝できないのは事実ではあるため、その格言どおりパットはプレーで重要なものとなります。

しかし、パッティングが良いだけでは、優勝争いに絡むことができないということは、見過ごされやすい、軽視されやすい事実ではあります。

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グリーン上のパフォーマンスは印象に残るがその重要度は?

スコアが最終的に決定するのがグリーン上でカップにボールが入った時となるため、優勝を決定する印象的なシーンはグリーン上となることが多く、自然とテレビ中継でも映る時間が多くなります。

そのため人間の記憶に対して、グリーン上でのパフォーマンスのインパクトが強く、記憶に残りやすいのは間違いのない事実ではあるのですが、それが得てして大きな偏見を生むことにもつながることがあります。

ゴルフの成績、スコアメイクにおいて何が重要なのかを、より正確に割り出そうと考えたのがゴルフアナリティクスの権威であり、コロンビア大学ビジネススクールのマーク・ブローディ教授です。

その方法として、マーク・ブローディ教授はツアー選手のトーナメント中のボールを追跡してデータ化したものをベースに全体の平均値を割り出し、1人の選手がどれだけ他の選手より優れているのかを数値化したStrokes Gained(ストロークス・ゲインド)というスタッツを開発しました。

このスタッツにより、1人の選手がティーショット(ドライビング)、アプローチ、ショートゲーム、パッティングなどの、どの部分でスコアを他の選手より稼いでいるのかを把握することができるようになりました。

つまり優勝した選手がどこで差をつけることができたか、ランク上位の選手がどこで他の選手に差をつけることができているのか、ということをより正確に把握できるようになりました。

現時点でPGAツアー公式のスタッツとなっているのはストロークス・ゲインド・トータル(フィールドの平均との差)、ストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(ショットで稼いだ打数)、ストロークスゲインド・パッティング(パッティングで稼いだ打数)の3つです。

マーク・ブローディ教授の研究ではストロークス・ゲインド・ドライビング、ストロークス・ゲインド・アプローチ、ストロークス・ゲインド・ショートゲームとショットがさらに細分化されているのですが、こちらは公式なスタッツとはなっていません。

そのため現在公開されているストロークス・ゲインドの3つスタッツで、ゴルフのスコアと成績に占めるショットとパットの重要度を見ていきたいと思います。

トッププレイヤーたちが他の選手よりも優れている理由は?

ストロークス・ゲインド・トータルとは試合に出ている選手の平均よりも、どれだけ良いスコアでプレーしたかを知ることができます。

そしてストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーンはショットでどれだけスコアを稼いだか?ストロークスゲインド・パッティングはパッティングでどれだけスコアを稼いだか?を知ることができます。

このストロークス・ゲインド・トータルの2014-15シーズンにおけるトップ30と、そのストロークス・ゲインドの内訳をまとめた表は以下のとおりとなっています。

*SG:Total – ストロークス・ゲインド・トータル(フィールドの平均との差)
*SG:T2G – ストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(ショットで稼いだ打数)
*SG:Putt – ストロークスゲインド・パッティング(パッティングで稼いだ打数)

Rank Player Name Average SG:Total SG:T2G SG:Putt
1 ヘンリック・ステンソン 2.210 97.245 78.110 19.135
2 ババ・ワトソン 2.088 116.927 105.223 11.704
3 ジョーダン・スピース 2.082 137.436 99.716 37.720
4 ジェイソン・デイ 2.030 115.698 82.336 33.362
5 ジム・フューリック 1.611 83.774 85.009 -1.235
6 ジャスティン・ローズ 1.427 69.940 69.053 0.887
7 松山 英樹 1.414 98.990 93.628 5.362
8 ダスティン・ジョンソン 1.372 74.100 67.003 7.097
9 ウィル・ウィルコックス 1.156 47.403 34.253 13.150
10 ポール・ケーシー 1.152 72.591 72.031 0.560
11 マット・クーチャー 1.122 86.427 61.880 24.547
12 ロバート・ストレブ 1.093 104.938 68.553 36.385
13 ザック・ジョンソン 1.084 75.903 72.954 2.949
14 セルヒオ・ガルシア 1.045 37.624 38.207 -0.583
T15 リッキー・ファウラー 1.027 58.541 40.815 17.726
T15 ブルックス・ケプカ 1.027 66.762 39.400 27.362
17 キーガン・ブラッドリー 0.951 60.888 65.382 -4.494
18 ケビン・ナ 0.927 65.815 49.309 16.506
T19 ライアン・パーマー 0.923 49.855 42.038 7.817
T19 ジャスティン・トーマス 0.923 88.625 84.534 4.091
21 ブレンダン・スティール 0.902 68.530 72.621 -4.091
22 リー・ウエストウッド 0.879 28.112 8.975 19.137
23 J.B.ホームズ 0.874 57.714 56.673 1.041
24 ジミー・ウォーカー 0.860 55.029 10.864 44.165
25 パトリック・リード 0.834 63.347 32.548 30.799
26 ブレンドン・トッド 0.804 61.070 16.704 44.366
27 ラッセル・ノックス 0.757 65.885 68.620 -2.735
28 ジェイソン・ボーン 0.732 63.658 42.678 20.980
29 ハリス・イングリッシュ 0.712 62.619 13.662 48.957
30 ウェブ・シンプソン 0.700 44.777 86.151 -41.374

現在、世界のゴルフシーンでビッグ4とも呼ばれる4人が、ジェイソン・デイ、ジョーダン・スピース、ロリー・マキロイ、リッキー・ファウラーの4人です。

このうちロリー・マキロイは規定試合数に到達しなかったためランキング対象外となっています。

他の3人はともにショットのスコアへの貢献度がパットのスコアへの貢献度を大きく上回っています。

特に注目すべきはパッティングの名手とされるジョーダン・スピースで、ストロークスゲインド・パッティング(パッティングで稼いだ打数)のトータルは37.720と大きいのですが、ストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(ショットで稼いだ打数)が99.716で大きく上回っています。

ジェイソン・デイ、ババ・ワトソン、ヘンリック・ステンソンらがショットでスコアを稼いでいるのは、印象からしても驚きではないのですが、グリーン上での強さのイメージが強いスピースが、実はショットによって稼いだスコアの方が、パットで稼いだスコアよりも多いことになります。

このストロークス・ゲインド・トータルでトップ30に入った選手のうち、パッティングの方がショットよりも貢献度が高い選手は、22位のリー・ウエストウッド、24位のジミー・ウォーカー(10.864/44.165)、26位のブレンドン・トッド(16.704/44.366)、29位のハリス・イングリッシュ(13.662/48.957)の4人だけで、トップ20の選手はいずれもショットでスコアを稼いでいることになります。

つまりPGAツアーでトップクラスの成績を残し続けているような選手たちの大部分が、ショットでスコアを稼いでいる、ショットで平均的な選手たちに大きなを差をつけているということです。

ちなみに規定試合数に達しなかったロリー・マキロイはストロークス・ゲインド・トータルの合計が60.708で、その内訳はストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーンが63.086、ストロークスゲインド・パッティングは-2.378となっています。

2015年度末に世界ランクトップ20にいた選手は以下のとおりとなっています。

  • ジョーダン・スピース
  • ジェイソン・デイ
  • ローリー・マキロイ
  • ババ・ワトソン
  • ヘンリック・ステンソン
  • リッキー・ファウラー
  • ジャスティン・ローズ
  • ダスティン・ジョンソン
  • ジム・フューリック
  • パトリック・リード
  • セルヒオ・ガルシア
  • アダム・スコット
  • ザック・ジョンソン
  • ブランデン・グレース
  • 松山 英樹
  • ブルックス・ケプカ
  • ケビン・キスナー
  • ルイ・ウーストハイゼン
  • ダニー・ウィレット
  • マット・クーチャー

世界ランクトップ20のうちロリー・マキロイ(3)は規定試合数不足、ブランデン・グレース(14)、ダニー・ウィレット(19)はPGAツアーメンバーではなかったため、ストロークスゲインドのランク対象外となっています。

その3人除く17名中15名がストロークス・ゲインド・トータルでPGAツアーのトップ30に入っていて、いずれの選手もショットの方がパットよりもスコアへの貢献度は高くなっています。

アダム・スコット、ケビン・キスナーは2014-15シーズンのストロークス・ゲインド・トータルのトップ30ではありませんが、やはりショットの方が貢献度の高い選手です。

この2選手のストロークス・ゲインドの2014-15シーズンのスタッツは以下のとおりとなっています。

Rank Player Name Average SG:Total SG:T2G SG:Putt
35 ケビン・キスナー 0.590 55.430 32.195 23.235
78 アダム・スコット 0.206 6.577 19.244 -12.667

2015-16シーズンのスタッツは以下のとおりとなっています。

Rank Player Name Average SG:Total SG:T2G SG:Putt
1 アダム・スコット 2.629 52.581 44.746 7.835
T41 ケビン・キスナー 0.681 21.098 14.301 6.797

この両者もやはりショットの貢献度が、パットの貢献度を上回っています。

これらの数字を見るとPGAツアーのトップ20、世界ランクのトップ20にいる選手たちは、ショットで他の選手達を大きく上回るため上位にいることができていると考えられます。

ショットがスコアに占める割合が高く、優勝する上で重要であることは松山英樹のPGAツアー2勝目のスタッツを見てもうかがい知れます。

そしてショット力の高さが世界のトップレベルで戦い続けるための重要な要素で、それが認識されているため、世界屈指のアイアンショットを持ち、ベストのボールストライカーともされる松山英樹が世界で高い評価を得ています。

「優勝するためには勝負どころでしっかりとパッティングが決まることが重要」ということには疑いの余地がありません。

ですが、ストロークス・ゲインド(Strokes Gained)の指標で見ていくと、現在の世界のゴルフシーンで活躍するためには、ショット力がかなり重要で、その比重の方が高く、ショットに優れている選手たちが世界のゴルフシーンをリードしていると言えそうです。

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