PGAツアーで抜きん出た存在になるには?スタッツ解析の第1人者が松山英樹らトップ選手を分析

2016-17シーズンのPGAツアーの年間王者にはジャスティン・トーマスが輝いたものの、レギュラーシーズンは松山英樹が賞金とポイントのランキングトップで終えました。

その事実がシーズン全体を通じて松山英樹がPGAツアーにおいても、支配的な立場にたったことを示しています。

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スタッツで見るトッププレイヤーのトレンド

松山英樹の獲得賞金は22試合で838万570ドル(約9億5500万円)、1試合平均では38万935ドル(4300万円)という驚異的なものとなりました。

松山以上の1試合あたりに稼いでいる選手はジャスティン・トーマス(39万6862ドル)、ジョーダン・スピース(41万131ドル)、ダスティン・ジョンソン(43万6609ドル)で、松山に次ぐ5番手にはリッキー・ファウラー(28万9676ドル)となっています。

この5人の選手がいかにしてPGAツアーにおいて支配的な立場となったのか?トーナメントを支配することができたのかについて、ストロークスゲインドの生みの親であるマーク・ブローディ教授が分析し、ゴルフマガジン電子版に寄稿しています。

ストロークスゲインド(Strokes Gained)とは、同大会の同一コースの過去のデータをベースに、その選手が平均よりも優れているか、劣っているかをストローク数で数値化したものです。

マーク・ブローディ教授は以下のツイートで表示されているデータなどと元に、3つの事実がキーポイントとなっていると指摘しています。

以下は記事からの引用です。

LESSON NO. 1: BALLSTRIKING IS THE BIGGEST WEAPON

In 2017, this illustrious group gained an average of 8.88 strokes on the field per tournament. Driving and approach shots (all shots starting outside 100 yards from the hole) accounted for 67 percent of their gain on the field.

一つ目の事実は「ボールストライキング(ショット力)が最大の武器」であるということです。

この5人はシーズンを通じて「一つのトーナメントあたり平均的な選手よりも8.88ストローク上回っている」とのことです。それだけ良いスコアを安定して出していたことになるのですが、そのうち67%を「ティショット」と「100ヤードを越えるアプローチショット」が占めているという事実をマーク・ブロディ教授は指摘し、ショット力が重要であることを伝えています。

LESSON NO. 2: ADD A HOT PUTTER FOR THE WIN

Week in and week out, these elite ballstrikers were likely to crowd the leaderboard. What, then, determined who won? I compared the group’s average play over the season with their performances that resulted in wins. In their winning weeks, the group, on average, gained 4.1 strokes on the field per round—1.88 strokes better than their season average. The difference-maker? Better approach shots yielded 36 percent of that 1.88-stroke improvement, but better putting really kicked them into overdrive, accounting for a hefty 45 percent of their added gain.

2つ目の事実は「好調なパターがその週の勝者を決める」です。

ブローディ教授は、この5人のプレイヤーはボールストライキングに優れるため、リーダーボードの上位に顔をだす回数がおおくなることを指摘します。その上で、ではどのような要素がその週の勝者と敗者を分けているのかについて、分析した結果「パッティング」だと結論づけています。

その根拠として以下のような事実を列挙しています。


  • 5人の選手は優勝する時には1ラウンドあたりフィールドの平均を4.1打上回っているが、それは5人のシーズン全体の平均値を1.88打上回る数字。
  • 優勝する時には1.88ストローク、通常時よりも改善されることになるが、そのうちの36%はアプローチショットによるものだが、45%はパッティングによるもの。

優勝する時には、そのトーナメントの平均スコアを大きく上回ることになります。そして当然のことながらその選手のシーズン全体の平均値よりも良いものとなります。

優勝する時には1ラウンドあたり1.88ストローク、4日間では7.52ストロークも通常のスコアを上回っているのですが、ショットによる改善は36%にとどまり、パッティングによるスコア改善が45%と占める割合が大きいという事実をブローディ教授は指摘し、「パッティングが好調かどうかが、その週の勝敗を分ける」と分析しています。

最後の3つ目の事実は「勝つための方法論は一つだけではない」ということです。

LESSON NO. 3: THERE’S MORE THAN ONE FORMULA

DJ’s biggest weapon is his driver. Per event, he gained nearly five strokes on the field. Jordan’s approach and short-game shots were the most impressive in the group. Rickie’s gain from putting was more than double that of JT, who, like Hideki (but with better putting), made balance in his winning formula.


  • ダスティン・ジョンソンの最大の武器はドライバーで、1つのトーナメントで平均5ストローク近く他の選手よりもスコアを稼いでいる。
  • ジョーダン・スピースのアプローチショットとショートゲームはこのグループの中で最も素晴らしい
  • リッキー・ファウラーはパッティングでジャスティン・トーマスのおおよそ2倍はスコアを稼いでいる
  • 松山英樹は優勝する時は普段よりも良いパッティング

など、優勝したり、好成績を残す時のそれぞれが軸となる部分が異なることが指摘されています。

ダスティン・ジョンソンは1ラウンドあたり2.45ストロークも平均的な選手よりも優れているのですが、そのうちティショットが1.22ストロークと大きな割合を占めています。

ジョーダン・スピースは平均より2.46ストローク優れているのですが、アプローチショットで0.94、ショートゲームで0.66と、その大部分をこの2つで稼いでいます。

リッキー・ファウラーは平均よりも2.37ストローク優れているのですが、そのうちパッティングが0.89と大きな割合を占めています。

5人の選手がPGAツアーで圧倒的な力を見せているものの、その結果を生み出すための方法論は5人ともに異なり、ベースとなるレベルの高いショット力は必要不可欠ですが、選手個々人の強みによって勝つための方程式、パターンは異なるということがわかります。

まとめると、基本的にはショット力が良くないと、PGAツアーをリードしたり、主導権を握るような立場にはなれません。その上で、多く優勝するためには、パッティングが好調な週が増えることが必要ということがわかります。

松山英樹は予選落ちこそ少なかったものの、シーズン中盤と終盤の不振もあり、平均よりも1.62ストローク上回るにとどまっています。この数字が示すとおり、「平均を上回るスコアをコンスタントに出す」という観点では他の4人よりは安定感が欠けていたことがわかります。(あくまでも、この4人と比較した場合の話です。)

松山英樹のスコアメイクの軸となっていたのはティショットとアプローチショットの2つで、それぞれ0.68、0.82ストロークも他の選手よりも稼いでいました。ショートゲームではスピースやトーマスには劣るものの0.45ストローク稼いでいて、リッキー・ファウラーやダスティン・ジョンソンよりも良い数字となってます。

にも関わらずトータルでは他の4人よりストロークスゲインドの平均値が低くなっているのはパッティングが原因で、5人の中で唯一マイナスとなる-0.32です。

そのためこの記事では以下のように書かれています。

As you can see from his negative average in strokes gained: putting, Hideki Matsuyama, once he becomes a more consistent putter, will dominate even more.

「見ての通り松山英樹のストロークスゲインド・パッティング(SG: PUTTING)はマイナスになっている。彼がよりコンスタントにパッティングを決めることができるようんあれば、今以上に支配できるようになるだろう」

松山英樹の2016-17シーズンのスタッツでは、ショット全体のスコアへの貢献度を示すストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(SG: TEE TO GREEN)は1.369で5位にランクされていて、世界最高峰のPGAツアーにおいても抜きん出た存在でいることができるベースを持っています。

後は、パッティングのパフォーマンスを、コンスタントにフィールドの平均レベルから上にすることができるかどうか、というところが焦点です。

すでに世界最高峰のPGAツアーにおいても抜きん出た存在になっているのですが、本人が目標とするキャリアグランドスラム、世界ランク1位となるためには、ハイレベルな結果を残している他の4人以上にコンスタントに良いスコアを出せるようになる必要があります。

頂上に近づきはしたものの、その最後が急な登り坂となっている感が否めませんが、そこを乗り越えて目標を達成してくれることを期待しています。

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