松山英樹は日本人初となるPGAツアーのシーズン複数回優勝、さらにアジア人初の世界ゴルフ選手権制覇、世界ゴルフ選手権でシーズン2勝など、素晴らしい結果を残し、レギュラーシーズンをフェデックスカップ(FedExCup)ランク1位で終えました。
プレーオフシリーズでは調子を落として不本意な結果となりましたが、年間の賞金ラキングは4位、フェデックスカップ(FedExCup)は8位と、いずれもキャリアベストを更新するだけでなく、日本人歴代最高位を更新しました。
PGAツアーの規定により複数回優勝者はシード権が加算
獲得賞金は838万570ドルとこちらでも1シーズンでの日本人歴代最高の獲得賞金額となっています。さらに年間ランクで8位となったことにより、ボーナス賞金を60万ドル獲得しているため、今季のPGAツアーでは総額898万570ドルを稼いだことになります。
今日の為替レート112.30円で日本円に換算すると10億851万8011円となり、ゴルフだけで1シーズンに10億円を稼ぎ出すという、日本ゴルフ界の既成概念や常識を打ち砕くような実績を残しました。
PGAツアーのポイントランク上位30名しか出場できないツアーチャンピオンシップには4年連続で進出しました。これは松山英樹の他にはダスティン・ジョンソン、ジョーダン・スピース、ジェイソン・デイ、マット・クーチャー、パトリック・リードら5人しかいない素晴らしい成績で、名実ともに世界のトッププレイヤーであることを証明しています。
このような素晴らしい実績は歴史に残っていくことになるのですが、同時に松山英樹にとっても大きな恩恵をもたらしています。
今季のPGAツアーで3勝したことにより、「来季(2017-18シーズン)から5年間のPGAツアーのシード権」を獲得できたことです。
PGAツアーでは優勝した選手に以下のようなシード権が与えられています。
- 通常開催のトーナメントで優勝:シーズンの残りと翌シーズンから2シーズンのシード権
- ツアーチャンピオンシップ、世界ゴルフ選手権シリーズ、ザ・メモリアル・トーナメント、アーノルドパーマーインビテーショナルで優勝:シーズンの残りと翌シーズンから3シーズンのシード権」
- 四大メジャー(マスターズ/全米オープン/全英オープン/全米プロゴルフ選手権)で優勝:シーズンの残りと翌シーズンから5シーズンのシード権
それに加えてPGAツアーでは「複数回優勝をした場合にはシード権を1シーズン加算し、最長で5シーズンまで増える」という規定が存在します。
今年のハンター・メイハンはこの規定により、10番目の出場資格である『ツアー優勝者』のカテゴリーでPGAツアーに出場することができました。
ハンター・メイハンが最後にPGAツアーで優勝したのは2013-14シーズンのことで、この優勝による2年シードだけであれば2014-15、2015-16シーズンでシード権が終了します。
しかし、複数回優勝によるシード権の加算により2016-17シーズンまで上記の規定によりシード権を保持していたことになります。
PGAツアー公式サイトのボルトン氏が「PGAツアーの出場資格ページのコメント欄」で以下のように説明しています。
Career earnings exemptions aren’t allowed unless they’re needed. Mahan’s multi-year exemption carried him through 2016-17, so he’s never needed to burn one.
Timeline of wins with status:
2012 WGC-Match Play … thru 2014-15 (three-year exemption)
2012 Houston … thru 2015-16 (added one season via a multiple-win exemption)
2014 Barclays … thru 2016-17 (added one season via a multiple-win exemption)
ハンター・メイハンは2015-16シーズンでのフェデックスカップ(FedExCup)が183位に終わりました。先に述べたように2013-14シーズンでの優勝による2年シードだけであれば、2015-16シーズンで複数年シードは切れることになり、今季は出場権がなくなります。
そのためページのコメント欄では今季は「生涯獲得賞金による出場資格を利用したのではないか」とのコメントがあったのですが、ボルトン氏は「優勝による複数年シードが2016-17シーズンまで有効だった」と回答し、その流れを説明しています。
- 2012年に世界ゴルフ選手権シリーズのWGC-マッチプレーを制して、2013、2013-14、2014-15シーズンの3年シードを獲得。
- 2012年にシェル・ヒューストン・オープンを制して1年シードが加算され、2015-16シーズンまで延長
- 2013-14シーズンのザ・バークレイズを制して1年シードが加算され、2016-17シーズンまで延長
このようにPGAツアーでは、シード権が残っている状態で複数回優勝をすると、最長で5年までシード権が延長されるようになっています。
世界ゴルフ選手権2勝と通常開催で1勝した松山英樹は?
このルールを松山英樹にあてはめていきます。
まず2016-17シーズンのWGC-HSBCチャンピオンズを制したことで、2017-18、2018-19、2019-20シーズンまでの3年シードを獲得しています。
この後、ウェイストマネジメント・フェニックスオープンを優勝していますので、シード権の年数が加算され2020-21シーズンまで延長します。
さらにWGC-ブリジストンインビテーショナルを制したため、2021-22シーズンまでシード権が延長され、永久シード(ライフメンバー)以外では最長となる5年の上限に達することとなりました。
まとめると以下のとおりとなります。
- WGC-HSBCチャンピオンズ:2017-18、2018-19、2019-20シーズンまでの3年シード
- ウェイストマネジメント・フェニックスオープン(複数回優勝による加算):2020-21シーズンまで延長
- WGC-ブリジストンインビテーショナル(複数回優勝による加算):2021-22シーズまで延長
そのため仮に松山英樹がフェデックスカップ(FedExCup)ランクで125位以内に入れなくても、30歳となっている2021-22シーズまではPGAツアーでプレーできる資格を獲得したことになります。
すでにPGAツアーでのシード権を4年間守ってきた松山英樹ですが、今季の躍進により、さらに5年間は戦えることが確実となっています。
気候、文化、言語など様々なものが異なる海外での戦いで、アメリカ生まれ育った選手に比較すれば大きなハンディキャップを背負っている松山英樹です。
これからの5年間でそのハンディキャップを乗り越えて、「PGAツアー在籍15年以上、通算20勝以上」の選手に与えられる「ライフメンバー(永久シード)」を獲得するプレイヤーになってもらいたいところです。
すでに今季はマスターズで11位、全米オープンで2位タイ、全米プロゴルフ選手権で5位タイとなったことで、それぞれの来季の出場権を獲得していましたし、フェデックスカップ(FedExCup)ランクのトップ30に入ったことで全英オープンも出場権を獲得しました。
そのためすでに「2018年の四大メジャー全ての出場権を獲得」できています。
腰を据えて、メジャー制覇、世界ランク1位、年間王者、賞金王を目指して頑張ってくれることを期待しています。