松山英樹のザ・メモリアル・トーナメント2019でのホールバイホール、キースタッツ、プレーの速報です。
目次
1. 使用される用語の簡単な解説
このページで使用される用語の簡単な解説です。速報の分析で頻繁に出てきますので、不明なときはご参照ください。
■ 簡単な用語解説
ストロークスゲインド(Strokes Gained):同大会の同一コースの過去のデータをベースに、その選手が平均値よりも優れているか、劣っているかを数値化したもの
ストロークスゲインド・オフ・ザ・ティー(SG:OFF-THE-TEE):パー4、パー5のティーショットによって、どれだけ平均的な選手よりスコアを稼ぐことができたかを示す。ティーショットのスコアへの貢献度。
ストロークスゲインド・アプローチ・ザ・グリーン(SG: APPROACH TO THE GREEN):30ヤードを越えるグリーンへのアプローチショットによって、どれだけ平均的な選手よりスコアを稼ぐことができたかを示す。アプローチショットのスコアへの貢献度。
ストロークスゲインド・アラウンド・ザ・グリーン(SG: AROUND THE GREEN):30ヤード以内のグリーンへのアプローチショットによって、どれだけ平均的な選手よりスコアを稼ぐことができたかを示す。ショートゲームのスコアへの貢献度。
ストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(SG: TEE TO GREEN):ティーからグリーンまでのショット全体によって、どれだけ平均的な選手よりスコアを稼ぐことができたかを示す。ショット全体のスコアへの貢献度。
ストロークスゲインド・パッティング(SG:PUTTING):グリーン上のパッティングによって、どれだけ平均的な選手よりスコアを稼ぐことができたかを示す。パッティングのスコアへの貢献度。
ストロークスゲインド・トータル(SG:TOTAL):フィールドの平均よりも良いスコアでそのラウンドをプレーできたかを示す。
2. 松山英樹の開幕前の直前情報
松山英樹の開幕前のインタビューです。ゴルフネットワークの“松山英樹「新たなことをやることで、さらに上に行けると思う」 米ツアー初Vの地で2年ぶりの勝利を掴めるか”からの引用です。
―全米プロの感想
やっていることが上手く行きつつある中で、2日目まではショットが安定していたので良かったですが、最後になってくると風もありましたし、自分が思ったようなスイングがなかなか出来なかったです。ただ繰り返し練習するのではなく、また新たなことをやって、さらに上に行けると思ってやっています。
―調子は良くなってきている
ショット、パットともに徐々に、一時期の悪かった時と比べれば大分良くなっているので、それを結果に繋げていくためには何かが足りないと思うので、そこを埋めていく作業が大事かなと思います。
―足りない部分とは
安定性がないのかなと思います。
―パッティングに関して
大分良くなってきていますが、その週のグリーンスピードなど、やってみないと分からない状況なので、まずは自分が崩れないように形をしっかり作るのが大事かなと思います。
―初優勝の舞台だがイメージは
イメージは悪くないですが、だんだん難しく感じているというか、そういう傾向があるので、まずはティーショット、あとはセカンドがすごく大事になってくると思います。そこを調整したいです。
―ティーショットの落とし場所が大事
フェアウェイはさほど狭くないので、フェアウェイに置ければ次のアイアンショットで勝負ができると思うので、まずはフェアウェイに置くことが大事かなと思います。
―今週の目標は
まずは初日、2日目と良いスコアで回れるようにしたいと思います。
予選ラウンドはプレジデンツカップでコンビを組むこともあるなど親交が深いアダム・スコット、メールのやりとりなどもあるジェイソン・デイとの組み合わせとなっています。
3. ラウンド別の結果速報
ザ・メモリアル・トーナメント2019のラウンド別の結果とデータの情報です。
3.1. ROUND 1 (30位T) 序盤は好調も後半に失速し首位と6打差
松山英樹の初日はジェイソン・デイ、アダム・スコットとの組み合わせで午後1時5分に1番ホールからスタートしました。
第1ラウンドのホールバイホールとプレーの詳細は以下の表のとおりとなっています。
最初の7ホールで3連続を含む4つのバーディを奪ったものの、それ以降ではバーディなしのボギー3つと失速してしまい6打差の1アンダーでの滑り出しとなりました。
後半に入り風が強くなったり、グリーンの凸凹が目立つようになった影響もあったラウンドでした。
第1ラウンドのストロークスゲインドのスタッツは以下のとおりとなっています。
- ティショットの貢献度 (OFF THE TEE) 1.709
- アプローチショットの貢献度 (APPROACH TO THE GREEN) 1.254
- ショートゲームの貢献度 (AROUND THE GREEN) -0.433
- パッティングの貢献度 (PUTTING) -0.981
- ショット全体の貢献度 (TEE TO GREEN) 2.531
- フィールド平均との差 (TOTAL) 1.550
ショートゲームとパッティングでスコアを落とし、伸ばしきれませんでした。ロングゲームのショットそのものは風の影響などを考えると上々の数字と言えます。
初日のホールアウト後の情報です。
ゴルフダイジェスト・オンラインの“「めちゃめちゃ腹立つ」「心配してない」松山英樹のふたつの心境”からの引用です。
流れが悪い方に傾いたのは、初めてパーオンを逃した8番(パー3)。グリーン左手前から寄せきれずボギーをたたいた。「イージーなところで、イージーにできなかった。もったいない」。3mをねじ込んでボギーを免れた12番(パー3)も「あんなパーパットを残すライではなかった」と直前のアプローチを反省。終盤16番(パー3)からの2連続ボギーもグリーン周りから、がまんが利かなかったことを悔やんだ。
(中略)
「内心はめちゃめちゃ腹立ってます」と、首位と6打差のスタートを嘆く。ただ表情には笑みもあった。2週前の「全米プロ」でも得たショットの好感触を持続。「チャンスにつく、つかないのは別にして、自分のフィーリングで『ここをこうしておけばいい』というのができた。これが安定すればもっとチャンスは作れる」という。
(中略)
2日目は午前8時15分のティオフ。例によって居残り練習もこなして休息時間は短いが、残した言葉が前向きだ。「なんか、そこまで心配していないというか…。久々に何も考えずにあしたを迎えられると思います」
3.2. ROUND 2 (25位T) ダブルボギー2つも終盤に巻き返し
松山英樹の2日目はジェイソン・デイ、アダム・スコットとの組み合わせで午前8時15分に10番ホールからスタートしました。
第2ラウンドのホールバイホールとプレーの詳細は以下の表のとおりとなっています。
第2ラウンドも第1ラウンドと同様に序盤にスコアを伸ばします。7ホールで4バーディ、1ボギーと好調な滑り出しだったのですが、難関の18番パー4で3オン3パットのダブルボギーを叩くと、さらに3番パー4では2打目を池に入れ、1.4mのパーパットも外し、2つ目のダブルボギーを叩いてしまいます。
流れの悪さを考えると、予選カットラインも気になる状態となりましたが、初日とは異なり最後の5ホールで4バーディ・1ボギーと巻き返して、順位も25位タイに上げて決勝ラウンドに進出しました。
第2ラウンドのストロークスゲインドのスタッツは以下のとおりとなっています。
- ティショットの貢献度 (OFF THE TEE) 0.069
- アプローチショットの貢献度 (APPROACH TO THE GREEN) 0.575
- ショートゲームの貢献度 (AROUND THE GREEN) 0.560
- パッティングの貢献度 (PUTTING) 0.549
- ショット全体の貢献度 (TEE TO GREEN) 1.205
- フィールド平均との差 (TOTAL) 1.754
ショートパットできめきれないところはあったものの、比較的長い距離が決まった分、ストロークスゲインド・パッティング(パットの貢献度)はプラスとなっています。
ショートゲームのプラスになるなど、初日の問題はクリアされていたのですが、肝心要のロングゲームの精度が落ちてしまい、ティショット、アプローチショットはいずれもプラスとはなりましたが、物足りない数字で、スコアを伸ばしきれませんでした。
ホールアウト後の情報です。ゴルフダイジェスト・オンラインの“「落ちるのかな…」松山英樹は2ダブルボギーから挽回”からの引用です。
「10番はスタートにしてはタフなホールなので、良いスタートが切れたなと思ったんですけど、なかなかその後、思うようなショットが打てなかった」と、その後はピンチを招いた。
折り返しの18番でラフからのショットに苦しみ、3オンから3パットのダブルボギー。さらに後半3番、右ラフからの2打目をグリーン手前の池に入れた。「人(ギャラリー)が踏んでいるところで、ライも良かった。ただフライヤーするんじゃないかという余計な心配から、薄く当てようとしたら失敗しました」。1.2mの下りのパットも決めきれず、2つ目のダブルボギーを喫した。
スタート直後に稼いだアンダーパーを中盤に落としたのは初日と同じ流れだったが、この日は終盤に持ちこたえた。「4番(パー3)からうまく行ければな…と思っていたが、ティショットがバンカーに入って、『ああ、落ちるのかな…』と思いながら」。ここで2打目をOKに寄せてパーでしのぐと、5番(パー5)で手前8mを沈めてから3連続バーディ。8番(パー3)を2日続けてボギーとした後、最終9番では手前から4mを流し込み、バーディで締めくくった。
「思ったようなスイングができなかったけど、大きく崩れることなく最後に戻せたのは良かった」と安どする。「悪い流れになったところでパッティングもしっかり戻せている。その辺はプラス。ラウンドの途中で悪くなるのがネックになっている部分ですけど、戻せているのは最近ない」
(中略)
「まあ、いいんですよ。上位に行くだけです」。掲げる目標はそこばかりではない。「やはり優勝争いをしたいので、あしたがすごく大事になる。欲を言えばきょうも3つくらい崩さずに済んだ。まあ終わったことなので、あしたその3つを取り戻せるように頑張りたい」。
3.3. ROUND 3 (3位T) ビッグスコアで優勝戦線に浮上
3日目はリ・ハオトンとの組み合わせで午前11時45分に1番ホールからスタートしました。
第3ラウンドのホールバイホールとプレーの詳細は以下の表のとおりとなっています。
8バーディ・ノーボギーの64でプレーし、通算11アンダーで首位と4打差の3位タイに一気に浮上しました。
第3ラウンドのストロークスゲインドのスタッツは以下のとおりとなっています。
- ティショットの貢献度 (OFF THE TEE) 1.259
- アプローチショットの貢献度 (APPROACH TO THE GREEN) 2.824
- ショートゲームの貢献度 (AROUND THE GREEN) 2.624
- パッティングの貢献度 (PUTTING) 1.087
- ショット全体の貢献度 (TEE TO GREEN) 6.708
- フィールド平均との差 (TOTAL) 7.795
ショットとパットともに噛み合ったラウンドで、文句のつけようのない数字が並ぶラウンドとなりました。8バーディ・ノーボギーで優勝戦線に浮上するのは当然と言えるスタッツです。
初日はショートゲームとパッティングがマイナスで、2日目はティショットとアプローチショットが今一歩とチグハグでしたが、3日目は久々に噛み合ってくれました。
3日間を終えた時点でのスタッツは以下のとおりとなっています。
スタッツ | Round 1 | Round 2 | Round 3 | Total | Rank |
---|---|---|---|---|---|
ティショットの貢献度 | 1.709 | 0.069 | 1.259 | 3.038 | 5 |
アプローチショットの貢献度 | 1.254 | 0.575 | 2.824 | 4.654 | 7 |
ショートゲームの貢献度 | -0.433 | 0.560 | 2.624 | 2.751 | 11 |
パッティングの貢献度 | -0.981 | 0.549 | 1.087 | 0.656 | 40 |
ショット全体の貢献度 | 2.531 | 1.205 | 6.708 | 10.444 | 2 |
フィールド平均との差 | 1.550 | 1.754 | 7.795 | 11.099 | T3 |
フェアウェイキープ率 | 78.57% (11/14) | 57.14% (8/14) | 85.71% (12/14) | 73.81% (31/42) | T28 |
ドライビングディスタンス | 294 | 293.7 | 282.6 | 290.1 | 19 |
ロンゲストドライブ | 339 | 311 | 350 | 350 | 3 |
サンドセーブ率 | — | 50.00% (1/2) | — | 50.00% (1/2) | T43 |
スクランブリング | 40.00% | 20.00% | 100.00% | 46.15% | 64 |
パーオン率 | 72.22% (13/18) | 72.22% (13/18) | 83.33% (15/18) | 75.93% (41/54) | T3 |
パーオン時の平均パット | 1.692 | 1.462 | 1.600 | 1.585 | 1 |
ストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(ショット全体の貢献度)は10.444で2位と素晴らしい数字です。またその内訳もストロークスゲインド・オフ・ザ・ティー(ティショットの貢献度)が3.038で5位、ストロークスゲインド・アプローチ・ザ・グリーン(アプローチショットの貢献度)が4.654で7位となるなど、強みのロングゲームでスコアを稼げているのも好材料です。
ショットが良いときの松山英樹はパッティングが平均前後で優勝することができるのですが、パッティングも0.656で40位と、それに該当するラインにランクされています。
難しいコースではありますが、良いショットを継続できればビッグスコアも出るミュアフィールド・ビレッジです。
ショットは3日間を通じて安定していますので、最終日も継続したいところですし、アイアンでさらにもうひと押しあれば抜け出すことができます。
後は、久々の緊迫した優勝争いとなりますので、勝負どころでのショートパットもポイントとなります。PGAツアー初優勝の舞台が、復活優勝の舞台となることを期待しています。
最終ラウンドはパトリック・カントレーとの組み合わせで、午後1時40分(日本時間6月3日午前2時40分)に1番ホールからスタート予定です。
3.4. ROUND 4 (6位) ショットが不安定でスコアを伸ばせず
最終ラウンドの松山英樹のホールバイホールとプレーの詳細は以下の表のとおりとなっています。
最終日は3バーディ、1ダブルボギー、1ボギーでスコアを伸ばすことができず、同組で64を出し優勝したパトリック・カントレーとは8打差で6位となりました。
トップに立っていたマルティン・カイマーとの差を考えれば序盤でバーディを奪いたいところでしたが、ティショットが安定せず、パッティングで凌ぐ展開となってしまいました。
粘り強くプレーはしていたものの、6番でバンカーからのセカンドを池に入れてダブルボギーを叩いた時点で、残り12ホールで8打差まで開いたため、優勝は難しくなりました。
ティショットは前半の7ホール中2ホールしかフェアウェイに行きませんでした。特に痛かったのはイーグルを奪って差を縮めたいパー5でのティショットが上手くいかなかったことです。
アイアンショットは8番と11番で3m以内のチャンスをつくったものの、それ以外はなかなかピンに絡まず、昨日のようにはいきませんでした。
パッティングは前半9ホールは5.1m、2.9mのパーパットを沈めたり、ショートパットはしっかりと決めたりなど安定していました。しかし、11番では2.7mを決めたものの、10番では1.2m、12番では3.5m、15番では2.3mなどを外していまいます。後半はショットが安定しフェアウェイキープが7ホール中6ホール、パーオンが9ホール中8ホールと安定したものの、スコアを伸ばせない原因となりました。
最終日のストロークスゲインドのスタッツです。
- ティショットの貢献度:+0.638
- アプローチショットの貢献度:-0.913
- ショートゲームの貢献度:-0.172
- パッティングの貢献度:+0.571
- ショット全体の貢献度:-0.448
- フィールド平均との差:+0.123
ビッグスコアを出せるような軸が見当たらないラウンドで、ビッグスコアの次の日の難しさを感じさせる一日でした。
4日間のスタッツは以下のとおりとなっています。
スタッツ | Round 1 | Round 2 | Round 3 | Round 4 | Total | Rank |
---|---|---|---|---|---|---|
ティショットの貢献度 | 1.709 | 0.069 | 1.259 | 0.638 | 3.676 | 3 |
アプローチショットの貢献度 | 1.254 | 0.575 | 2.824 | -0.913 | 3.741 | 16 |
ショートゲームの貢献度 | -0.433 | 0.56 | 2.624 | -0.172 | 2.579 | 17 |
パッティングの貢献度 | -0.981 | 0.549 | 1.087 | 0.571 | 1.227 | 33 |
ショット全体の貢献度 | 2.531 | 1.205 | 6.708 | -0.448 | 9.996 | 4 |
フィールド平均との差 | 1.55 | 1.754 | 7.795 | 0.123 | 11.222 | 6 |
フェアウェイキープ率 | 78.57% (11/14) | 57.14% (8/14) | 85.71% (12/14) | 57.14% (8/14) | 69.64% (39/56) | T44 |
ドライビングディスタンス | 294 | 293.7 | 282.6 | 292.4 | 290.7 | 18 |
ロンゲストドライブ | 339 | 311 | 350 | 315 | 350 | 3 |
サンドセーブ率 | — | 50.00% (1/2) | — | — | 50.00% (1/2) | T43 |
スクランブリング | 40.00% | 20.00% | 100.00% | 85.71% | 60.00% | T33 |
パーオン率 | 72.22% (13/18) | 72.22% (13/18) | 83.33% (15/18) | 61.11% (11/18) | 72.22% (52/72) | T7 |
パーオン時の平均パット | 1.692 | 1.462 | 1.6 | 1.909 | 1.654 | 6 |
ストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(ショット全体の貢献度)は9.996で4位、ストロークスゲインド・パッティング(パットの貢献度)は1.227で33位でした。
パッティングは「良い」と手放しで言えるものではありませんでしたが、ショットでフィールドをリードできれば優勝できる数字となっています。ただ、ショットも良い数字では十分な成績のため、今週は松山英樹の順番ではなかっただけとも捉えられます。
後は安定して今週のような成績を残せるようになっていくことが、平場のトーナメントでの優勝、メジャーでの優勝争いにつながっていきます。
世界ランクポイント、フェデックスカップポイントを考えれば、トップ5、トップ3フィニッシュをしてほしいところでしたが、明るい材料も増えてきましたので次戦に期待しています。