松山英樹が2014年に初出場初優勝を果たしたメモリアル・トーナメントに3年連続3回目の出場を果たします。
メモリアル・トーナメントの開催コースであるミュアフィールドビレッジでは2014年にプレーオフの末に優勝し、2015年は首位と3打差の5位タイとなるなど、PGAツアー2勝目を上げたウェイストマネジメント・フェニックスオープンのTPCスコッツデールと並ぶ相性の良いコースです。
そのため今季2勝目、PGAツアー3勝目の期待がかかるのですが、フィールドの強さを考えると簡単ではありません。
新BIG3であるジェイソン・デイはプレイヤーズで優勝、ジョーダン・スピースはディーン&デルーカ招待で優勝、ロリー・マキロイは欧州ツアーのアイルランドオープンで優勝と、良い状態でこのトーナメントに参戦してきます。
リッキー・ファウラー、ババ・ワトソン、アダム・スコットらはやや調子を落とし気味ではありますが、メジャーに向けて調子を上げてくる時期になってきましたし、ハイレベルの安定感を持つダスティン・ジョンソンらもいるなど、メジャー、WGC、プレイヤーズを除く通常開催のトーナメントではかなり厚いフィールドとなります。
このようにタフなフィールドで戦うことになる松山英樹ですが、やはり優勝候補の一人としてランクインしています。
PGAツアー公式サイト(PGATOUR.com)
PGAツアー公式サイト(PGATOUR.com)のロブ・ボルトン(Rob Bolton)氏によるパワーランキングは以下のとおりとなっています。
- ジョーダン・スピース
- 松山英樹
- ロリー・マキロイ
- ジェイソン・デイ
- マット・クーチャー
- ババ・ワトソン
- パトリック・リード
- ダスティン・ジョンソン
- クリス・カーク
- リッキー・ファウラー
- ダニエル・バーガー
- ビル・ハース
- ジェイソン・ダフナー
- ジャスティン・トーマス
- フランチェスコ・モリナリ
ジャスティン・ローズが出場を回避したものの、フィールドの強さは500ポイント設定のトーナメントでは今年1番の厚さになる見込みです。
そして好調な新BIG3が出場する中でありながら、その3人に割って入るかたちでの堂々の2位評価です。
松山英樹に対するコメントは以下のとおりとなっています。
Tied for fifth in his title defense last year. Actual scoring average in eight rounds here is 68.875. No worse than T11 in last four stroke-play starts.
『ディフェンディングチャンピオンと出場した昨年は5位タイでのフィニッシュだった。ここ(ミュアフィールドビレッジ)での8ラウンドの平均スコアは68.875だ。ストロークプレーでの最近の4試合では11位より悪いフィニッシュはしていない。』
最近の5試合となるとWGC-デルマッチプレーが入るのですが、ストロークプレーだけとなると以下のような結果となります。
- アーノルドパーマーインビテーショナル 6位T
- マスターズ 7位T
- ウェルズ・ファーゴチャンピオンシップ 11位T
- プレイヤーズチャンピオンシップ 7位T
2015年は1月から2月にかけての欧州ツアーメンバーがあまり参戦していない時期にトップ10フィニッシュが多かったのですが、今年はシーズン中盤に差し掛かってからもトップ10フィニッシュをしています。
トップ10回数がすでに5回となっているのですが、13試合に出場して5回となっていますので、その割合は38.46%となっています。
またトップ10とはならなかったもののノーザントラストオープンとウェルズ・ファーゴチャンピオンシップは11位Tとなっていますので、定評のある安定感がさらにハイレベルにものになりつつあります。
その松山英樹の現状を把握するのにスタッツが役に立つのですが、その中でもストロークスゲインドのスタッツはより正確にプレイヤーの強みと弱みを知れる画期的なものです。
そのストロークスゲインドのスタッツに新たなものが加わり、より詳細に選手のプレーの内容を知ることができることになりました。
松山英樹のメモリアル・トーナメント開幕前のストロークスゲインドのスタッツは以下のとおりとなっています。
ストロークスゲインド:オフ・ザ・ティー(SG:OFF-THE-TEE) | +0.676(7位) |
ストロークスゲインド:アプローチ・ザ・グリーン(APPROACH-THE-GREEN) | +1.143(3位) |
ストロークスゲインド:アラウンド・ザ・グリーン(SG:AROUND-THE-GREEN) | -0.080(132位) |
ストロークスゲインド:ティー・トゥ・グリーン(SG:TEE-TO-GREEN) | 1.738(5位) |
ストロークスゲインド:パッティング(SG:PUTTING) | +0.067(94位) |
ストロークスゲインド:トータル(SG:TOTAL) | +1.806(9位) |
これまではストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(ショットで稼いだ打数)とストロークスゲインド・パッティング(パッティングで稼いだ打数)の2つのスタッツでした。
ストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーンという名のとおり、グリーン上でのパッティング以外がひとまとめになっていたのですが、今回、ショットのスタッツが細分化されました。
このストロークスゲインドを開発したコロンビア大学ビジネススクールのマーク・ブローディ教授は、以前から詳細なスタッツを公開していたのですが、いよいよ公式なスタッツとしてリリースされることになりました。
オフ・ザ・ティーはパー4とパー5のティーショットでどれだけスコアを稼いだかを示しています。
アプローチ・ザ・グリーンは公式サイトでは距離について明らかにされていないのですが、これまではピンまで100ヤードを越えるグリーンへのアプローチでどれだけスコアを稼いだかを示しているとブローディ教授は説明していました。
そしてアラウンド・ザ・グリーンについても公式サイト上では距離の説明がないのですが、ブローディ教授のこれまでの説明ではグリーン上のパットを除くピンまでの距離が100ヤード以内のアプローチでどれだけスコアを稼いだかを示していることになります。
松山英樹はドライビングディスタンスが292ヤードで63位と飛距離がないわけではないのですが、飛び抜けてある方ではなく、フェアウェイキープ率も60.98%で89位ともに物凄く良いわけではないのですが、そのバランスが良いためスコアへの貢献度はPGAツアーでも上位となる7位となっています。
定評のあるロングアイアン、ミドルアイアンの精度は数字にも現れていて、ストロークスゲインド:アプローチ・ザ・グリーンは3位となっています。
ただ、本人も課題として感じているグリーンまわりに課題があることが数字に現れていて、ストロークスゲインド:アラウンド・ザ・グリーンは-0.080とマイナスで132位となっています。
ストロークスゲインド・パッティングが+0.067で94位となっていますので、このグリーン周りでのショートゲームが今年の課題となっています。
パーオン率は70.05%で11位と高く、平均パット数も1.720で7位と良いため、バーディ率4.76はPGAツアー全体でも2位となっています。
ただ、パーオンできなかった時のスクランブリング(パーオンできなかったホールで、パーもしくはバーディであがれた割合)が61.09%で60位とやや弱く、その大きな原因となっているのがバンカーからのリカバリーでサンドセーブ率は42.37%で170位となっています。
このあたりの課題が克服されれば、優勝争いの回数、トップ5、トップ10の回数もさらに増え、世界ランクトップ10、トップ5、メジャー制覇がより身近なものになってくると予想されます。
様々な課題を着実に克服しつつある松山英樹の、さらなる成長に注目したいメモリアル・トーナメント2016です。
コメント
golf さん
お早うございます。
いよいよ待ちに待ったメモリアルです。
パワーランキングは、世界ランキング上位3名が優勝したばっかりですので、4位のランキングかなと、想像していましたので、2位のランキングは、嬉しい限りです。
松山選手は凄い‼
昨年は、バウンスバック率が悪く、日刊現代にも、たたかれていましたが、何と今年は、現在1位・・・・・
必ず努力で改善してくれる選手です。
スクランブリング率も、必ず上昇してくれると思っています。
そしてその時は、ワールドランキングベスト10内に定着だと確信しています。
本当に楽しみです。
目標に向かって、ぶれることなく努力する松山選手はまぶしい限りです。
golf さんの、的確な、分析・コメント
いつも有難うございます。
松山選手の応援の楽しみが倍増しています。
KEY- keiさん、コメントありがとうございます。
楽しみにしていたメモリアル・トーナメントがいよいよ始まりますね(^.^)
昨年くらいからビッグ3の強さが際立つようになってきたので、この3人が出ているフィールドで勝つのは簡単ではなくなりつつあります。
でも、良いプレーができれば、それでも勝てるレベルになりつつあります。
今週もかなり質の良いプレーをしないと優勝は難しそうなフィールドですが、相性の良いコースなので頑張ってもらいたいです。
昨年の日刊ゲンダイの記事は揚げ足を取るところがあまりに少なくて、バウンスバック率くらいしかつつけなかったからだと思います(^_^;)
揚げ足をとることが目的の記事なので、あまり気にしないで松山英樹にはやっていってもらいたいです。
彼の学習能力の高さはピカイチだと思います。PGAツアーとは比較にならないほど易しい日本のコースで育った日本人が、ここまで短期間にアジャストできるのは驚異的と言わざるをえないと思います。
まだ差はありますが、それを着実に縮めていけるだけの学習能力の高さがあるので、本当に楽しみです。
今週がこれからのビッグトーナメントが続く3ヶ月あまりの良いスタートになることを願っています。
golfさん、更新ありがとうございました。今週の分厚いフィールドの中で、パワーランキング堂々の2位。素晴らしいですね。松山選手は得意とされるコースでは毎回結果を出してくれますので、いい争いをしてくれるのではないかと今からワクワクしています。
過去のチャンピオンですから注目組に入るのではないかとこちらも期待です。
ストロークスゲインドのシステムって本当に素晴らしいですね。今回の更に細かい内容をみてとても納得しました。課題ははっきりしていますね。選手達からベストサンドセイバーと言われるKJチョイ選手はPGAで戦う若手韓国人プレイヤーに「とにかくバンカーを練習しろ!」とそれはそれはしつこく指導したと聞いたことがあります。体格等に関係なく、練習した分だけ結果に現れる分野だから、そこを強くしろと指導したのだろうと思います。
松山選手は他の選手が努力してもなかなか補えない素晴らしいボールストライキングがありますから、グリーン周りの精度が上がればもう、「無敵」ですね(*^_^*)
人一倍努力をする松山選手なので、その日はもうすぐそこまで来ていると思います。本当に応援しがいがありますね。今週も宜しくお願いします。
ACEさん、コメントありがとうございます。
BIG3に割って入っての2番手評価というところに、彼の世界での評価の高さがわかりますよね。本当に素晴らしいプレイヤーが日本から出てきてくれたことが誇らしいです。
様々な課題を着実に克服してきて、大きな差を感じる部分が少なくなりつつあります。
これまでと同様にショートゲーム、サンドセーブも必ず克服してくれると思います。
その時にはBIG3と肩を並べるような存在になれるかもしれないですね。その日がくることを楽しみにしながら応援したいと思います。
1年の間でも楽しみにしているトーナメントなので、しっかりと応援したいと思います。こちらこそ、よろしくお願いします。
今日本ではリオ五輪の予選会などで世界レベルの強豪国としのぎを削っていますが、最も世界レベルのスポーツ選手として松山英樹を忘れてはいませんか?と声を大にして言いたいです。テニスの錦織と肩を並べるくらい国際的で世界レベルである事実を何故日本のマスコミ(特にスポーツ誌)は彼の真の実力を理解しようとしないのでしょうか? TVのスポーツ報道番組などでは、何しろ一位にならないと評価しない風潮がありませんか? 「なーんだ今回も5位どまりだね」なんて言うキャスターが多いと思います。 どれだけ彼の実力や本場での評価が凄いのか全然日本のマスコミは分かっていませんね。
プロ野球も大相撲も外国選手の力を借りなければトップクラスになれないこの日本に彼ほどの勇気と実力を兼ね備えた若武者が世界のトップレベルで戦っている事にもっと賞賛とエールを送るべきです。
今回golf さんの記事でメモリアルのパワーランキングでなんと2位との事で日頃のうっぷんを書かせてもらいました。
日本のマスコミはこの2位の記事だけでも凄い事であると理解して欲しいものです。勿論今週末に歓声を上げられれば最高ですが、我々英樹ファンは10位でも5位でも大喝采を上げたいですね。
シマモン
シマモンさん、コメントありがとうございます。
日本のマスコミが扱う、扱わないはお金になるかならないかという判断が一番先にきています。後は、利害関係ですね。
錦織圭は日本人男子プレイヤーとしては考えられないような成績を残していましたが、全米オープンの決勝に行くまで、あまり大きく扱ってくれませんでした。
でも、そこまで行ってお金になるとわかったら手のひら返しでした(^_^;)
そんなマスコミの評価は群がるのもの早いですが、去っていくのも早いので、あまり気にせずに松山英樹には自身の目標目指して頑張ってもらいたいです。
アメリカの方がゴルフに集中しやすくて、心技体を磨くのには良いと思うので、このまま頑張って世界の頂点を目指してもらいたいです。