松山英樹の全米プロでの惜敗は「メジャー制覇」と「世界ランク1位」へのステップ

松山英樹は全米プロゴルフ選手権2017では10番パー5を終えた時点では1打差の単独首位でした。11番パー4でボギーを叩いた時点でも、まだ首位タイでリーダボードのトップに名前がありました。

しかし、12番と13番でボギーを重ね、14番と15番でバーディを奪い返したものの、16番でボギーを叩いたことで、メジャー初制覇が大きく遠のきました。

10番ホールを終えた時点で松山英樹は8アンダーまで伸ばしていました。優勝スコアが8アンダーに終わったことを考えると、松山英樹が崩れてチャンスを逃したとは言えます。ただ、四大メジャートーナメントの最終ラウンド、そのバックナインでは珍しい出来事ことではなく、「メジャー制覇」と「世界ランク1位」の両方を成し遂げた選手たちも経験していることです。

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「メジャー制覇」と「世界ランク1位」は惜敗を経て成し遂げられている

松山英樹2013年4月にプロ転向してから、世界ランク1位の座にいた選手はタイガー・ウッズ、アダム・スコット、ロリー・マキロイ、ジョーダン・スピース、ジェイソン・デイ、ダスティン・ジョンソンの6人です。

この先数十年、同様の選手が現れるかどうかも定かではないレベルにいるのがタイガー・ウッズです。1996年8月のプロ転向後、プロとしてのメジャー初出場となった1997年4月のマスターズでいきなり優勝という、離れ業をやってのけています。あまりにも規格外すぎるため、松山英樹に限らず、どの選手にとっても参考にしにくい存在です。

しかし、タイガー以外の5人の「メジャー制覇」と「世界ランク1位」の両方を果たした選手たちの、そこまでのプロセスは似通ったものがあり、松山英樹も似たようなステップを踏んでいると考えられます。

アダム・スコット、ロリー・マキロイ、ジョーダン・スピース、ジェイソン・デイ、ダスティン・ジョンソンの「メジャー制覇」と「世界ランク1位」の道のりを見れば、ある意味、松山英樹は正しい方向へ進んでいるとも考えられます。

アダム・スコット:メジャー1勝・世界ランク1位(11週)

アダム・スコットは、2012年の全英オープンでは3日目を終えた時点で11アンダーの首位に立ち、最終ラウンドも14番ホールまでは順調にメジャー初制覇に近づきました。しかし、15、16、17、18番の4ホール連続でボギーを叩いてしまい、7アンダーのアーニー・エルスにかわされ1打及ばずの2位となりました。アダム・スコットは一時は10アンダーまで伸ばしていましたので、自滅した形になりました。その後の全米プロゴルフ選手権では11位タイに終わったももの、翌年の2013年のマスターズでその時が訪れます。

2013年のマスターズでは、アンヘル・カブレラと通算9アンダーで首位に並び、雨中のプレーオフとなります。そのプレーオフを制し、自身メジャー初優勝を果すと同時に、オーストラリア勢初のマスターズ制覇も成し遂げました。これはアダム・スコットが2001年に全英オープンに出場してから12年後、メジャー48戦目、2度の2位フィニッシュを含むトップ10フィニッシュを8回を経ての出来事でした。その後、1年1ヶ月を経て2014年5月19日に世界ゴルフランキングでタイガー・ウッズを抜いて1位となっています。

ロリー・マキロイ:メジャー4勝・世界ランク1位(95週)

ロリー・マキロイは2009年に全米プロで3位タイ、2010年には全英オープン、全米プロゴルフ選手権と連続で3位タイとなり、いつメジャー制覇を果たしても不思議ではないとされる立場となります。

メジャーで2戦連続トップ3フィニッシュを経た、2011年のマスターズでロリー・マキロイは大きなチャンスをつかみます。初日に65を出して首位に立つと、69、70とさらにスコアを伸ばして12アンダーとし、4打差の首位で最終ラウンドを迎えます。フロントナインでは1オーバーと苦しみながらもリードを保っていたのですが、バックナインに入ると10番ダブルボギー、11番ボギー、12番ダブルボギーと大きく乱れてしまいます。結果、このラウンドは8ストローク落とす「80」と大崩れし15位タイという結果に終わりました。

しかし、その次の四大メジャーとなった6月の全米オープンでは16アンダーを叩き出してメジャー初制覇を果たし、その9ヶ月後となる2012年3月に世界ランク1位に輝いています。

ジョーダン・スピース:メジャー3勝・世界ランク1位(26週)

ジョーダン・スピースはプロ転向後の2013年は全米オープンと全米プロゴルフ選手権で予選落ちを喫し、全英オープンでは44位タイと結果を残しきれませんでした。しかし、2014年のマスターズで大きなチャンスが訪れます。

3ラウンド(54ホール)を終了した時点で、ババ・ワトソンと並ぶ5アンダーの首位タイで最終ラウンドをジョーダン・スピースは迎えます。最終ラウンドは7番ホールまでに4つのバーディを奪って8アンダーまで伸ばし、ババ・ワトソンに2打差をつけて単独トップに立っていました。

しかし、8番と9番で連続ボギーを叩き、連続バーディを奪ったババ・ワトソンに2打差をつけられます。10番パー4でババ・ワトソンがボギーを叩いて、1打差に一旦は縮まったのですが、12番パー3で池に入れてボギー、続く13番パー5ではティショットを右の林に入れてパーに終わり、バーディを奪ったババ・ワトソンと3打差となり、そのまま追いつくことはできませんでした。

この後のスピースは全米オープンで17位タイ、全英オープンで36位タイ、全米プロで予選落ちと今一歩だったのですが、2015年のマスターズで壁を乗り越えます。初日に64を出してトップに立つと、そのまま残り3日間を独走してメジャー初制覇を果たしました。

続く全米オープンも制し、全米プロゴルフ選手権で2位となった後の2015年8月16日に世界ランク1位となっています。

ジェイソン・デイ:メジャー1勝・世界ランク1位(51週)

ジェイソン・デイはメジャー出場2戦目となる全米プロで10位タイとなり、2011年にはマスターズで2位タイ、全米オープンで2位となるなど、一気にメジャー制覇を視野に入れる結果を残しました。しかし、そのまますんなりとはメジャータイトルにたどりつけませんでした。

2013年のマスターズで3位となった後、その年の全米オープンで再び大きなチャンスを迎えます。最終ラウンドの10番ホールでバーディを奪い首位タイに浮上します。しかし、11番、14番、18番とボギーを叩いて後退し、メジャーで3度目の2位フィニッシュに終わりました。

その後は2013年全米プロゴルフ選手権で8位タイ、2014年全米オープンで4位タイ、2015年全米オープンで9位タイなどトップ10を積み重ね、2015年の全英オープンでメジャータイトルに近づきます。

セント・アンドリュースでの全英オープンでしたが、首位タイで最終ラウンドを迎えるも、72ホール目となる最終18番では、首位に1打及ばない状況でした。そこでバーディパットを決めればプレーオフ進出という局面を迎えますが、これを決めきれず再び優勝を手にすることはできませんでした。

しかし、翌週のRBCカナディアンオープンを制した後、2015年の全米プロゴルフ選手権にのぞみ、20アンダーでジョーダン・スピースを3打差で振り切ってメジャー初制覇を果たしています。

勢いにのったジェイソン・デイは、同年のプレーオフシリーズの初戦であるザ・バークレイズ、第3戦のBMWチャンピオンシップを制し、2015年9月20日に自身初の世界ランク1位に浮上しています。

ダスティン・ジョンソン:メジャー1勝・世界ランク1位(26週*)

*ダスティン・ジョンソンの世界ランク1位の期間は2017年8月14日時点

ダスティン・ジョンソンのメジャー制覇へのニアミスは2010年の全米プロゴルフ選手権から始まります。

ダスティン・ジョンソンは最終ホールを1打リードで迎えたものの、ボギーを叩いてしまい、マルティン・カイマー、ババ・ワトソンとのプレーオフになると一旦は思われました。しかし、「砂地はすべてバンカー扱いとする」という大会前の通知を読まず、クラブを砂地にソールしたことで2打罰が加えられ5位タイという結果に終わりました。

次に大きなチャンスが訪れたのが2011年の全英オープンでした。3ラウンドを終えた時点では首位のダレン・クラークに1打差で迎え、最終ラウンドはその差に近いところをキープし続けます。しかし、14番パー5で2打目がOBとなり、ダブルボギーを叩いてしまい2位に終わっています。

その後も、2014年の全米オープンで4位タイ、同年の全英オープン12位タイ、2015年のマスターズで6位タイと好成績を残しますが、優勝には手が届かず、2015年の全米オープンでは再び優勝に大きく近づきます。最終ホールで4m前後のイーグルチャンスにつけ、決めれば優勝、外してもバーディであればプレーオフという大きなチャンスを迎えます。しかし、3パットでパーに終わり2位タイで再び苦杯をなめました。

その年は全英オープンが49位タイ、全米プロが7位タイ、2017年のマスターズでも4位タイと優勝になかなか手が届きませんでした。しかし、四大メジャー29回目の出場となった全米オープンで優勝を果たし、その8ヶ月後に世界ランク1位に浮上しています。

全米プロゴルフ選手権の惜敗は、さらなる飛躍へのステップに

松山英樹が全米プロゴルフ選手権の最終ラウンドに優勝スコアまで伸ばしながら、3連続ボギーで首位を陥落していますので、自ら崩れてしまったことは否定し難い現実なのかもしれません。

ただ、このような体験は、松山英樹だけではないことは、アダム・スコット、ロリー・マキロイ、ジョーダン・スピース、ジェイソン・デイ、ダスティン・ジョンソンらの「メジャー制覇」と「世界ランク1位」へのプロセスを見れば明らかです。

すでに松山英樹は四大メジャーで4度のトップ5を経験していながらもメジャー制覇に手が届いていませんが、最終的に勝っている選手にとって、これも珍しい経験ではありません。

「メジャー制覇」と「世界ランク1位」を成し遂げているこれらの選手たちに、大きな痛みを感じるような敗北がなかったわけではありません。逆に、メジャータイトルに手を掛ける寸前まで行きながらも、最終ラウンド、とりわけバックナインで苦しんで、手が届かないという辛い経験を経ている選手ばかりです。

これらの選手は、痛みを感じるような敗北から多くのことを学び、より一層自分を磨いていくことで、結果として大きな飛躍を遂げています。

松山英樹が全米プロゴルフ選手権終了後に、優勝争いに絡むレベルまで来る選手は多くいるけれど、ここからが差が出るところで、自分は「勝てる選手になりたい」と話していました。その分析どおり、ここからが頂上に達するための最後の急登になると考えられます。

学習能力が高く、様々な課題や問題を克服し、世界ゴルフ選手権2勝を含むPGAツアー5勝を上げ、世界ランク2位まで上り詰めてきた松山英樹です。数々の惜敗を通じて、着実に強くなってきた選手です。これからの道のりは険しいものではありますが、アダム・スコット、ロリー・マキロイ、ジョーダン・スピース、ジェイソン・デイ、ダスティン・ジョンソンらと同様に、今回の惜敗が松山英樹にとって、さらなる飛躍へのステップになるような気がしてなりません。

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