『世界トップ5』の共通点 – スタッツで見る強さの原動力

PGAツアーの公式ツイッターが以下のようにツイートしています。

議論の余地がない世界のトップ5としてジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマス、ダスティン・ジョンソン、松山英樹、ジョン・ラームの5人を並べています。

この5人が世界ランキング、フェデックスカップ(FedExCup)の両方でトップ5を占めていることもあり、「議論の余地がない世界のトップ5」としています。

この世界のトップ5プレイヤーをPGAツアーのスタッツで比較分析していきます。

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ストロークスゲインドのスタッツで分析

ここではストロークスゲインド(Strokes Gained)のスタッツを中心に、旧来からのスタッツを交えながら、それぞれの選手の強さの秘密を探っていきます。

ストロークスゲインドとは「フィールドの平均的な選手よりも、どれだけスコアを稼いだか」を示しています。平均的な選手よりも優れていればプラス、劣っていればマイナスとなります。

野球のセイバーメトリクスなどでは既に一般的な分析手法ですが、PGAツアーではカップまでの距離別のデータを元に、この数字を出しています。

現在、PGAツアーの公式サイトはこのストロークスゲインドを5つのカテゴリーで算出しています。

  • ストロークスゲインド・オフ・ザ・ティー(SG:OFF-THE-TEE):ティショットのスコアへの貢献度
  • ストロークスゲインド・アプローチ・ザ・グリーン(SG: APPROACH-THE-GREEN):パー3のティショットを含むカップまで30ヤードを越えるアプローチショットのスコアへの貢献度
  • ストロークスゲインド・アラウンド・ザ・グリーン(SG: AROUND-THE-GREEN):カップまで30ヤード以内のアプローチショットのスコアへの貢献度
  • ストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(SG: TEE TO GREEN):上記の3つを合計したショット全体のスコアへの貢献度
  • ストロークスゲインド・パッティング(SG: PUTTING):パッティングのスコアへの貢献度
  • ストロークス・ゲインド・トータル(SG: TOTAL):フィールドの平均スコアとの差

まずは、このストロークスゲインドで5名の選手を比較していきます。5選手のストロークスゲインドのスタッツは以下の表のとおりとなっています。ランクは195選手中のものです。

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今季のPGAツアーをリードしてきた5選手のため、多くの部門でツアー全体のトップ10にランクされています。

ダスティン・ジョンソンはティショット、その後のグリーンまでのアプローチショットを中心にスコアを稼いでいて、ショートゲームではやや落ちるもののプラスを維持しています。そのため、ショット全体ではPGAツアーの平均的な選手よりも毎ラウンド1.966ストローク上回ってトップとなっています。パッティングにやや弱さがありますが、それでも平均以上の水準を維持していて、強力なショットの足を引っ張らないレベルにとどめています。

パッティングのイメージが強いジョーダン・スピースですが、今季の好調の原動力はアプローチショットです。ティショットはもともと強いカテゴリーではないのですが、今年はアイアンが切れていて、ストロークスゲインド・アプローチ・ザ・グリーン(SG: APPROACH-THE-GREEN)はツアー1位となっています。5勝した2015年はショット全体の貢献度が2位、パッティングの貢献度が9位となっていましたので、その時に比較すればパッティングでは数字が落ちていますが、それでも29位と悪くない水準を維持しています。

松山英樹の今季は、ショットのどのカテゴリーもトップクラスにはいるものの、突出しているところには至っていません。ただ、DJとラームのショートゲーム、スピースとトーマスのティショットのようにショットで数字が落ちるカテゴリーがありません。このような総合的な穴の少なさによりショット全体のスコアへの貢献度を示すストロークスゲインド・ティー・トゥ・グリーン(SG: TEE TO GREEN)は4位にランクされています。ただ、他の4選手との大きな違いはグリーン上にあります。松山英樹のみがマイナスで-0.197の148位とツアーで下位に沈んでいます。ダスティン・ジョンソン、ジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマスらのアメリカ人、スペイン生まれもアメリカで大学時代を過ごしたジョン・ラームとの経験の差が大きく現れている部門となっています。

ジャスティン・トーマスはティショットの飛距離に注目が集まりがちですが、ダスティン・ジョンソンのように、ここで大きくスコアを稼いでいるわけではありません。30ヤードを越えるアプローチショットがスコアメイクの軸ですが、グリーンを外した場合のショートゲームも安定していて、パッティングもツアーの上位にランクされています。ジャスティン・トーマスのスタッツを見ると大きな穴がなくバランスも良いことがわかります。このことが、メジャー制覇とシーズン5勝の原動力となっています。

ツアールーキーでありながら優勝1回、トップ3フィニッシュが5回、トップ10が9回とハイレベルな結果を残しているジョン・ラームです。ショートゲームにやや弱点があり98位となっていますが、それでも0.024と僅かなプラスにとどめています。スコアメイクの軸となっているのがティショットで、グリーンへのアプローチ、パッティングともに安定しています。ラームもショットに注目が集まりがりがちですが、ストロークスゲインド・パッティング(SG: PUTTING)はトーマスやスピースを上回る数字を残していて、グリーン上での強さも好成績の要因となっています。

世界のトップ5プレイヤーの強さを支えるカテゴリーは

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最後に旧来からのスタッツも含めて、ティショット、アプローチショット、ショートゲーム、パッティングのカテゴリー別にデータをまとめた表は以下のとおりとなっています。

重要になるのが30ヤードを越えるアプローチショットで、今シーズン3勝以上をあげている4選手はストロークスゲインド・アプローチ・ザ・グリーン(SG: APPROACH-THE-GREEN)でトップ10にランクされています。

逆にストロークスゲインド・アラウンド・ザ・グリーン(SG: AROUND-THE-GREEN)とストロークスゲインド・パッティング(SG: PUTTING)では5人共にトップ10にランクされていません。

これらのデータを見れば、ショット力が世界のトップ5プレイヤーたちの原動力となっていることがわかります。基本的にパーオン率が高くなればボギーを叩く確率は低くなり、平均スコアも良くなります。

ショートゲームがどれだけ優れていても、ライや障害物など運にも左右される面が強くなるため、リカバリーし続けることには限界があります。ハイレベルな成績を安定して残すにはショット、特にバーディ、イーグルを奪うためにグリーンを狙うアイアン、ウェッジの精度が重要であると、これらのデータから推測されます。

松山英樹は今季3勝、トップ3フィニッシュが6回あるにも関わらずパッティングのスタッツが良くありません。

これは2位となったCIMBクラシック、優勝したWGC-HSBCチャンピオンズでショットリンクが採用されていないため、ストロークスゲインドを始めとする距離別のデータが集計されなかったことの影響もあります。

ただ、シーズン全体を通してみて、他の4選手に比較すればパッティングで遅れをとっていることは間違いありません。

松山英樹のショット力は世界屈指のレベルではあるのですが、残念ながら他の4選手も遜色ない、もしくはそれ以上の力量を持っています。

それ以外の選手であれば松山英樹がショット力で圧倒してしまうこともできます。が、これらの選手に対しては大きなアドバンテージにはなりません。

これらの選手と直接マッチアップして優勝争いをすると、グリーン上での力量差が結果に反映されやすくなるため、メジャーで勝つためには非常に重要な改善点です。

現在の状況ではショットが本来のレベルであることを前提に、パッティングが平均レベルになれば優勝争い、それを上回ればブリヂストン・インビテーショナルなどのように圧勝となります。

ショットが本来の状態にあるということが大前提ではありますが、パッティングのパフォーマンスが世界ランク1位とメジャー制覇の両方を成し遂げる抜きん出た存在になれるかどうか左右することになると考えられます。

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