PGAツアーとディスカバリーが結んだ「12年20億ドルの契約」への期待

PGAツアーがアニマル・プラネット、ディスカバリー・チャンネルなどを有する株式会社ディスカバリー(Discovery Inc.)と12年20億ドル(約2200億円)で契約したことが報じられています。

The PGA Tour broadened its international reach Monday in a $2 billion agreement with Discovery Inc., to deliver golf content directly to consumers in 220 markets outside the United States over the next 12 years.

引用元:Discovery, PGA Tour sign $2B international rights deal (Associated Press)

PGAツアーが、アメリカ国外の220のマーケットに直接コンテンツを配信する権利に関して、12年20億ドル(約2200億円)でディスカバリーと契約したと、アソシエイトティッドプレスが伝えています。

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PGAツアーのストリーミングサービスが2019年から開始

以下は同じ記事からの引用です。

Nine months after the PGA Tour chose not to opt out early of its U.S. network deals, it formed an alliance to turn over its content outside of the U.S. to Discovery, a company that already is reaching audiences around the world through its Eurosport network and other channels.

引用元:Discovery, PGA Tour sign $2B international rights deal (Associated Press)

アメリカ国内の放映権に関しては、2021年までCBSテレビとNBC・ゴルフチャンネルが権利を有しています。PGAツアー側は、その契約を9ヶ月前にオプトアウト(破棄)する権利を有していたのですが、それを行使せず、アメリカ国外の放映権をディスカバリーと契約することを選んだとのことです。

では、どのようなサービスになるのか?ということですが、以下のように説明がなされています。

The requirement includes a PGA Tour-branded streaming service to reach fans around the world on every mobile screen and device. That includes some 2,000 hours of content from more than 40 PGA Tour events, along with events from five other tours it runs. The PGA Tour has development circuits in China, Canada and Latin America.

引用元:Discovery, PGA Tour sign $2B international rights deal (Associated Press)

The 12-year deal, which begins next year, includes TV and online rights to the U.S.-based men’s golf circuit and the development of a Netflix-like video service. It covers more than 140 tournaments a year, including about 40 PGA Tour events.

引用元:Discovery to Pay $2 Billion to Distribute PGA Tour Globally(Bloomberg)

今回の契約ではPGAツアーの名前が冠されたストリーミングサービスを提供することが含まれていて、スマホ、タブレット、パソコンなどのディバイスで視聴可能なネットフリックスのような動画配信サービスとなります。

放送される内容は40試合のPGAツアー公式戦から2000時間、さらに傘下となっている他の5つのツアーのトーナメントのコンテンツも放送されるため、合計で140試合以上が中継される予定となっています。四大メジャーに関しては主催者が、各々、独自に契約しているため、この中には含まれないようです。

さらに興味深いのは、単に同じ国際映像を世界中に配信するのではなく、市場のニーズに合わせたものにカスタマイズしていく方向性であることが明らかにされていることです。

Zaslav said content created in the U.S. can be tailored to meet needs in Asia or other markets.

“Local matters,” he said. “What we found with sport throughout Europe is local is everything. So the fact that 50 percent of the top players on the tour are form outside the U.S. is huge.”

ディスカバリー社のCEOであるデイビット・ザスラフ氏は、アメリカで制作させたコンテンツを、アジアなど他のマーケットにニーズに合致するように、あつらえることも可能だと話しています。「欧州全体でのスポーツ放送を通じて、地域に合わせてカスタマイズすることが全てだということを発見した。」「ゴルフにおいて、トッププレイヤーの50%が米国外の選手であるということは大きな魅力だ」とのことです。

7億人の視聴者を抱えるディスカバリー・ヨーロッパは、2024年までのオリンピックの放映権も契約しているのですが、すでに平昌オリンピックでもライブ配信を行った実績があります。その時の経験や実績をベースに、放送をローカライズ化することが成功の鍵になると認識しているということです。

この後、アソシエティッド・プレスの記事ではセルヒオ・ガルシアが具体的な例として取り上げられています。

Facts about the former Masters champion don’t reveal much. He checks in at 5-foot-10 and 180 pounds. He turned pro in 1999. But what’s going on in his game and fun activities away from golf are rarely mentioned unless Garcia is near the lead. For so many players, there is a lack of personal information.

引用元:Discovery to Pay $2 Billion to Distribute PGA Tour Globally(Bloomberg)

セルヒオ・ガルシアの体重、身長、プロ転向の時期などについてはわかるものの、それ以外の多くのことは明らかになっていません。彼のゲームがいまどのような状態なのか、ゴルフ以外では何をしているのかなどの詳しい情報は、セルヒオ・ガルシアが優勝争いをしている時でないと、放送で知ることはできません。そして、それはガルシアだけでなく、大部分のプレイヤーにあてはまることです。

そこをディスカバリーがカバーしようと考えているようです。

“We want our players from those home countries to have a greater voice and to be able to tell their story,” Monahan said, “and for them to be able to share to their fans in their home country how they’re progressing through the year, and what they’re eating, how they’re training, the ups, the downs, the life cycle of a season, which has incredible highs and lows, but really to be able to follow that player more intimately than we currently can today.”

引用元:Discovery to Pay $2 Billion to Distribute PGA Tour Globally(Bloomberg)

「今季がどのようなシーズンで、どのような浮き沈みを経験しているのか、どんなトレーニングをしているのか、何を食べているのか、など選手が母国のファンに直接伝えることができるようにする」ことなどを実行し、今以上に選手についてより詳しく知ることができるようにするプランがあることを明かしています。

12年20億ドルの契約そのもの内訳については、ブルームバーグが以下のように伝えています。

Discovery’s rights payments will be about $50 million a year in 2019 and 2020, rise to $100 million in 2021, and then continue to increase through 2030.

ディスカバリーが支払う放映権料は2019年と2020年が5000万ドル(55億円)、2021年には1億ドル(110億円)に上昇し、さらに2030年まで増え続ける契約となるようです。

PGAツアー側は、得た資金をさらなるのツアーの拡大、ファン獲得のために投資する可能性が高く、ストリーミング以外でもファンサービスの向上が期待できそうです。

ストリーミングサービスの開始で視聴者の選択肢は増えることに

PGAツアーがPGA TOUR LIVEを導入する際に、先立って世界中にコンテンツを配信していたメジャーリーグ(MLB)と提携してスタートしたため、全世界でMLB.TVのようなサービス展開を視野に入れていることがうかがえました。

私はメジャーリーグ中継を見るために毎年年間契約をしています。英語放送のみとはなりますが、全30球団の試合のほぼ全てを視聴することができるため、好きな球団や好きな選手、新たに出てきた注目選手などを追いかけたい時に重宝しています。

現在、日本ではNHK-BSを中心にメジャーリーグ中継がなされていて、その日の1試合、もしくは2試合を見ることができます。ですが、必ずしも見たい試合ではないことが多くあります。しかし、MLB.TVであれば、自分の好みの球団や選手のプレーを選んで見ることができます。

野球とは異なり、ゴルフは広大なコース内の様々な場所で、同時に多くの選手たちがプレーをすることになるため、すべての選手を放送でカバーすることは容易ではありません。

ただ、放送を市場のニーズに合わせていこうとするなら、視聴している国からの出身選手が放送に多く映るようにするということは避けて通れない課題ではないかと考えられます。

もしストリーミングサービス内で、松山英樹のプレーを18ホール見れるチャンネルがあるとするならば、契約しないという選択肢は、個人的にはあり得ません。そこまでのサービスが提供されなくても、放送内で、松山英樹の生のプレーが、現状よりも多く見られるのであれば、十分に契約する価値を感じます。

日本のマーケットに合うようにカスタマイズしていくのであれば、ぜひともディスカバリーには検討してもらいたいことです。

このようなストリーミングサービスが始まることは、ゴルフファン、視聴者にとって大きなメリットとなります。既存のNHK-BS、ゴルフネットワーク以外の選択肢も持つことができるようになるためで、よりサービスの質が高いものを選ぶことができるようになるからです。

個人的には、”PGA TOUR LIVE”が登場したときから、メジャーリーグの”MLB.TV”と同様に、”PGA TOUR.TV”のようなサービスに発展することを待ちわびていました。

みんなのゴルフダイジェストの記事(総額2200億円!? PGAツアーが「ディスカバリー」と“前代未聞”の長期契約)によると、オーストラリア、カナダ、イタリア、日本、オランダ、ロシア、スペインなどは、2019年1月1日からサービス開始になるとのことです。

どのようなサービス、どのようなコンテンツを提供してくれるのか、新たなPGAツアーのストリーミングサービスの動向に注目していきたいと思います。

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