PGAツアーもトラベラーズチャンピオンシップ2015を終了した結果、8週10戦(裏開催含む)を残すところまできました。
シード権ラインに到達できていないと考えられる選手はフェデックスカップポイントランキングで125位以内に入るために凌ぎを削ることになります。
賞金ランキング125位でもシード権は確保できるのですが、フェデックスカップで125位以内に入ることは大きなメリットがあるため、多くの選手がそこを重視する傾向が強まりつつあります。
フェデックスカップランキングを重視する傾向が強まるPGAツアー
賞金ランキング125位によるシードでも、出場資格の厳しいトーナメント以外は出場できるため、一定の価値があるのですが、フェデックスカップランキングで上位に入ることには大きな恩恵があります。
それらの恩恵は以下のものがあります。
- フェデックスカップランク125位以内
プレーヤーズチャンピオンシップの出場権
RBCヘリテージの出場権
クイッケンローンズナショナルの出場権 - フェデックスカップランク80位以内
クラウンプラザ招待の出場権 - フェデックスカップランク75位以内
メモリアル・トーナメントの出場権 - フェデックスカップランク70位以内
アーノルドパーマー招待の出場権 - フェデックスカップランク60位以内
CIMBクラシックの出場権 - フェデックスカップランク30位以内
マスターズの出場権
全米オープンの出場権
全英オープンの出場権
ザ・プレーヤーズチャンピオンシップの出場権
WGC-キャデラックチャンピオンシップの出場権
フェデックスカップランキングで125位以内に入ることは来季のシード権を確保できるだけにとどまらず、ポイントの設定が4倍になっているプレーオフに進出することで、さらなる大きな恩恵を手にすることができるようになっています。
そのため選手たちはシード権確保というだけでなく、最終的にはメジャーの出場資格を確保を目標として、シビアに計算しながら戦っています。
昨シーズンはレギュラーシーズンでトップ30ではなかったにも関わらず、最終戦のツアーチャンピオンシップに出場し30位以内に入った選手がいるのですが、以下のとおりとなっています。カッコ内はレギュラーシーズンの順位です。
- ゲーリー・ウッドランド(32位)
- ジェイソン・デイ(34位)
- ラッセル・ヘンリー(50位)
- キャメロン・トリンゲール(61位)
- ハンター・メイハン(62位)
- ビリー・ホーシェル(69位)
- ジェフ・オギルビー(90位)
- モーガン・ホフマン(124位)
ビリー・ホーシェルはレギュラーシーズンでは69位でしたが、そこから年間王者となっています。そしてモーガン・ホフマンはレギュラーシーズンでは124位とラインギリギリでしたが、プレーオフで好成績をおさめ、最終的には松山英樹よりも上位の年間26位となりメジャーや主要トーナメントの出場権を手にしています。
このようなことを多くのプレイヤーたちが把握していますので、フェデックスカップポイント重視の傾向は強まっています。
そのため2014-15シーズンでは、シーズン序盤からポイントを稼ぐために出場する上位・中堅クラスのプレイヤーが増え、昨シーズンまではフィールドが弱かったトーナメントを狙ってくるトッププレイヤーも増えているため、今季はフィールドの強さのバラつきが昨季よりも減ってきています。
また石川遼が出場権を獲得した全米オープン予選会場では28名がエントリーを取り消しました。というのも悪天候が予想されて月曜日だけでなく火曜日にずれ込む可能性があり、その週に行われるフェデックスセントジュードクラシックでの悪影響を避けるためでした。
エントリーを取りやめた選手の中にはシード権を確保するために、そしてフェデックスプレーオフでトップ30に入って来季のメジャーの出場権を獲得するために、今年の全米オープンは諦めて、ポイントの取りやすいセントジュードを優先すると明らかにしていました。
このようなフェデックスカップランキングを重視する傾向が強まっていることが影響しているのか、今シーズンは昨シーズンよりも125位ラインのポイントが上回る状態が続いています。
このような状況を踏まえた上で、2013-14シーズンと2014-15シーズンの125位のポイントの推移などを見ていきながら、今季のシード権ラインを予想したいと思います。
2013-14シーズンと2014-15シーズンの125位のポイントの推移から見るシード権ラインの予想
次に2013-14シーズンと2014-15シーズンの125位のポイントの推移と、この2シーズンの比較した表は以下のとおりとなっています。
まず、昨年の125位ラインが438ポイントだったのですが、今年はラインが上昇することが有力です。というのも、昨シーズンはレギュラーシーズンが39週41戦でしたが、今シーズンは39週43戦となっていて、300ポイント設定の試合とは言え2試合増加していますので、普通に考えればボーダーラインが上がると予想されるためです。
次に第27週を除いて、今シーズンは昨シーズンに比較して125位のラインが上回り続けています。
一時は最大42ポイントもペースが上回っていましたが、ビックトーナメントが多く開催される時期に一旦ペースが落ちたものの、トラベラーズチャンピオンシップを終えた時点では、前年比で31ポイントも多くなっています。
もし仮にこのまま31ポイントを上回るペースで行く場合には、昨年のシード権ラインが438ポイントとなりますので、469ポイントが当確ラインとなります。
またそれよりややペースが落ちて25ポイント程度の伸びにとどまったとしても、463ポイント程度が当確ラインとなります。
この31ポイントを上回るペースが維持されるかは、今後の結果次第で完全には読めないのですが、昨年との大きな違いとしてあげられるのは全英オープンの裏開催としてバーバソルチャンピオンシップがあることです。
昨シーズンは全英オープンの開催週に125位のラインが上昇しなかったのですが、今年はバーバソルチャンピオンシップがありますので、7-14ポイント程度上昇する可能性があります。
そのため先の469ポイントに7-14ポイントが加わると476-483ポイントが当確ラインになる可能性があります。
またもう一つ、前シーズンの最後の8週間でのポイント上昇の観点で見ていきます。
前シーズンは最後の8週間で125位ラインが312ポイントから438ポイントと、126ポイント上昇しています。
そして仮に今年も同様のポイントの上昇があり、さらに昨年はなかった裏開催の7-14ポイントが加わると、今シーズンの残り8週で125位ラインが133-140ポイント上昇する可能性があり、トラベラーズ終了時点の343ポイントに加えると、476-483ポイントとなります。
これらをまとめると2014-15シーズンのフェデックスカップランキングで125位以内に入るには、悪くても460ポイント、争いが激しくなってハードルが上がった場合には480ポイントまで想定する必要があると予想されます。
石川遼のシード権確保のために必要なポイントと現状について
上記のような試算はあくまでも机上のもので、出場する選手のパフォーマンスによって大きく変動があり、絶対的なものではありません。
ですが、上記のようなシュミレーションをすると、現時点でシード権ラインで安全圏内と考えられるのは480-500ポイントと言わざるをえない面があります。
そのためトラベラーズチャンピオンシップ2015を終えた時点で石川遼は319ポイントとなっているのですが、安全圏内までには残り161ポイントから181ポイントという計算をしたほうが無難と考えられます。
またシード権ラインが予想を下回り結果として450ポイント前後になる可能性もありますが、そこを目標ポイントにした場合にはレギュラーシーズン最終戦のウィンダムチャンピオンシップで全選手のホールアウトが終わるまでわからないという状況下でプレーすることも覚悟する必要がありそうです。
石川遼は出場資格のない全英オープン、ブリヂストン招待、全米プロゴルフ選手権の3つを除いた場合に、最大で7試合に出場できますが、そのためには全米オープンから8連戦が必要になるため、実際には6試合になると予想され、しかも、そのうち2試合は300ポイント設定のトーナメントなっています。
460ポイントを目安にして、予選通過試合数に応じて必要な平均での獲得ポイントは以下のとおりとなっています。順位の目安は単独のものです。
予選通過数 | ポイント | 500 point | 300 point |
---|---|---|---|
6試合 | 23.5 points | 47位 | 29位 |
5試合 | 28.2 points | 42位 | 19位 |
4試合 | 35.3 points | 35位 | 12位 |
3試合 | 47.0 points | 24位 | 8位 |
2試合 | 70.5 points | 11位 | 4位 |
1試合 | 141 points | 3位 | 2位 |
480ポイントを目安にして、予選通過試合数に応じて必要な平均での獲得ポイントは以下のとおりとなっています。順位の目安は単独のものです。
予選通過数 | ポイント | 500 point | 300 point |
---|---|---|---|
6試合 | 26.8 points | 44位 | 22位 |
5試合 | 32.2 points | 38位 | 13位 |
4試合 | 40.3 points | 30位 | 9位 |
3試合 | 53.7 points | 17位 | 7位 |
2試合 | 80.5 points | 8位 | 3位 |
1試合 | 161 points | 3位 | 2位 |
上記の順位はあくまでも単独でのもので、同スコアの選手が多くなれば当然より上の順位でないと目安となるポイントを稼ぐことはできません。
予選落ちが許されない状況になりつつあり、そうできない場合には一発勝負をかけて試合にのぞまざるを得なくなります。1日でも早く状態を上げ、1試合1試合を大事に頑張ってくれることを期待しています。
コメント
golfさん情報ありがとうございます。
第3弾なんて前回言いましたが、この分析を見せていただくと1戦でも多く予選突破しポイントを積み上げないと大変ですね。
全米出場なんて浮かれている場合ではなかったですね。ボーダーラインの選手たちはフェデックスポイントを取りやすいスケジュールをくんでいたとは。
本人のコメントでは「スイング改造にはもう少し時間がかかる」と言っていましたが、大丈夫でしょうか。
何としてもシード権確保をしてもらいたいのですが。
ps松山選手は7月、福島のダンロップ主催トーナメントにかえってくるんですね。
コメントありがとうございます。
松山の参戦については以下のページにコメントお願いします。
松山英樹が7月23日からのダンロップ・スリクソン福島オープン2015に出場!
マチダさん、コメントありがとうございます。
石川遼が予選会で出場権を獲得した時点で、有力な選手28名が出場を回避し、そのことにより難易度が下がっていたことは把握していました。
しかし、出場権を手にできること自体が素晴らしいこと、喜んでいるファンに水を差したくないこと、そして全米オープンで結果を残せば、戦略成功となるので、その時は、この事実にはあまり触れませんでした。
ただ、あのスケジューリングがリスクの高いものであることは伝えておくべきかと思い、予選会突破の意味と価値は本戦の結果次第という表現は、前回の現状分析の時に入れておきました。
スイング改造に時間がかかればかかるほど、一発勝負の色合いが強くなってきて、リスクの高い攻め方を試合で繰り返すことになります。
今シーズンはリスクの高い攻め方が裏目にでることが少なくなかったので、できれば早い段階でポイントを稼ぐことを優先したほうが良いという記事を書いてきました。
スイング改造はタイガーが1-2ヶ月の完全休養をとっても仕上がらないくらい簡単ではありませんので、石川遼が残り2ヶ月でどこまで仕上げられるか不安は残ります。
不安がある状態で結果を残せるほどPGAツアーは甘くありませし、これからの時期にかけて経験豊富な選手は調子をあげてきて上位フィニッシュが簡単ではなくなりますので、一日も早く良い状態にしてくれることを願うばかりです。
おはようございます。
やっとジョンディアのフィールドリストにRyo Ishikawaの名前が記載されました。
いつもエントリーが遅いのでヤキモキします。もっと早くできないものでしょうか。
今月は8ラウンドしかプレイしていないので体力的には問題ないでしょう。
精神的な疲れは有ると思いますが、これは休んでいても回復はしないと思いますし。
今週、来週でなんとかシード確保が見えてくるポイントを確保して欲しいものです。
takahashiさん、おはようございます。
本当ですね。ジョンディアクラシックも出場することになったみたいですね。ここは絶対外すべきではないトーナメントだったので、最悪の場合は8連戦も覚悟で日程を組むしかないかもしれません。
takahashiさんのおっしゃるとおり、ラウンド数が少ないですし、出場してポイントを稼がないことには精神的にも落ち着けませんので、エントリーの方が良いと思います。
状況を好転させるためにはトップ10くらいが欲しいところですが、トップ25でも十分に価値があります。なので、そのあたりを念頭に置きながら、まずは予選通過し、トップ25を確保できるようにプレーし、あわよくばトップ10を狙うという感じで頑張ってもらいたいです。
おはようございます。
いよいよ、折半詰まって連戦もやむなしと、臨戦態勢を採りましたね。
以前にも書きましたが、現況では一発合格とはいかないでしょうから、確実に予選を通ることに傾注した方が良いと思いますが、私の頭の中には「一発合格」を願う気持ちが強い(笑)。
石川チームには当然、golfさんの『予選通過試合数に応じて必要な平均での獲得ポイント』が計算されていて、まさか私の頭の中と同じことを考えてはいないでしょうね。
tokiさん、おはようございます。
一発狙いはバラクーダ、ウィンダムあたりまでは控えておいて、残り2試合で優勝か、トップ3しかないとなれば、そういう選択をするように思います。
今の時点ではトップ10、トップ25に複数回入ることでシード権ラインに到達しますし、逆に今から一発狙いをして外れた場合には予選落ちが増えることになりますので、リスクが高過ぎるように思われます。
そのあたりのバランスをどうとるかのかは本人や周囲のスタッフが検討していると思いますが、現時点では後者のほうが可能性が高い気がします。